山の一家*葉根舎「葉根たより」【67】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2022年7月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
山はあちらにもこちらにも卯の花白く咲き乱れ、散り始める頃には梅雨の香り。
雨の山はひんやりと、洗濯物を乾かすためにも薪ストーブをほんのり焚く朝も。
「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」
「梅子黄(うめのみきばむ)」
蛍が光り始め、梅が黄色く色づく頃。
梅仕込み、田植え、ぐんぐん伸びる草刈りに忙しない季節ですが、大切な仕事たち、丁寧に進めてゆきたいものです。
<稲の心>
今年も6月7日から田植えが始まりました。
長い畦塗りをなんとか終え、代掻きをし、二週間おき、田植え前にもう一度ゆっくり丁寧に代掻き。
この工程でだいぶ草が抑えられます。
そして、二条植えの田植え機で植えてゆくのですが、もうすぐ十年経つ機械、調子が悪く、田植えの合間に修理。
植え直しも多く、畑や養蜂の仕事も気になりますが、焦らず腰を据えて田んぼと向き合うように心がけています。
きっとそうした心が稲へと移ることでしょうから…
<暮らす身体>
畑では子供たちと里芋植え。昨年収穫した里芋の一部を種用として残し、芽出しした里芋を植えてゆきます。
次男すぎなは農業高校へ通い始めたのですが、高校での作業は少なくゆっくりに感じるそうです。
林業の学校へ通う長男つくしは、薪割りなどをする森林バイトが楽しいとか。
私は個展の準備に追われ、後回しにしていた家周りの草刈りをやっと。
わが家は、獣の領域を一部借りているような敷地なので、草刈りもなかなかの量です。
三男かやも草刈りをすると言い出し、助かっています。
子供たち、スポーツはしませんが、コツコツと身体を動かすのが好きなようです。
<大地の呼吸>
おかげさまで個展「大地の呼吸」は充実した期間となりました。
この春で20年が経った山の暮らしを振り返るような心地もあり、自分が選んできたこと、続けてきたことを認められる気持ちになれたことに感謝しています。
そして、たくさんの方々のお運び、お心寄せ、あたたかいご感想が励みになり、またさらに深めてゆきたいと感じています。
次なる展示は、7月1日(金)から11日(月)、宝塚文化芸術センターにて「未生空間ism展」。
日本人の空間意識をテーマにしたグループ展です。
暑い季節、見通しのよい涼やかなセンターへぜひ涼みにいらして下さい。
<からだのーと>
夏期は心臓や小腸に負担のかかる時期。
それらの働きを助けるゴーヤ、三年番茶や玄米コーヒーなどの苦味のある野菜、野草、お茶や、人参、トマト、梅干し、お味噌などの赤い食品がお勧めです。
冷房対策には、お醤油か梅酢を入れた三年番茶を。
7月20日から8月6日(立秋の前日)までの夏土用は食中毒が増えること、心臓、小腸対策のためにも、コーヒー、ビールなどの嗜好品、動物性食品の食べ過ぎに注意をしましょう。
わが家では、山桜に続き、山藤、栃、山柿の生蜂蜜が採れました。
どれも私たちの暮らす山、標高四百メートル付近の花々です。
それぞれの香り、色合い、味わいの違いを楽しんでいただけましたら嬉しいです。
単糖類の蜂蜜は身体へ負担なく速やかに吸収されますので、お湯やハーブティなどへ溶き、ほんの少しお塩を入れたものを夏場のお飲み物にしていただけるとよいかと思います。
暑い日々となりますが、よい風の流れる日々となることをお祈りしております。
(2022年6月13日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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