山の一家*葉根舎「葉根たより」【44】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【44】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2020年8月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

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葉根たより

しっとり満ちた空気の中、白く浮き上がる十薬の花。青く滴る露草。雨あがりの曇り空、静かな光が清らかに照らし、蜩もそっと鳴き始めました。
「蓮始華(はすはじめてひらく)」「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」
蓮の花が咲き始め、強い陽気が土の湿り気を蒸発させ蒸し暑くなる頃。いよいよ大暑、夏土用です。
三日三晩の梅干し、畳干しは充実感、安心感のある紡ぎ続けたい営み。季節に寄り添う仕事の尊さを想います。

<いろんな生き物>

すくすく育つ稲たち。でも、田んぼによって様子は様々。
私たちの暮らす村は、山の中の狭い谷にあるので小さな田んぼが三ヵ所に分かれて、六反で十四枚。順調によく分蘖している田もあれば、おたまじゃくし目当てのカラスが毎日やってきて植えたばかりの稲を倒すので、直したけれど消えてしまった稲もある田、なぜか成長があまりよくない田、毎年同じことをしているようでいろいろあります。
また、秋までにどんな変化があるかもわかりません。気候の変化などその年の環境にどんな反応を田畑が見せるのか、意外な驚きや喜び、大変さなど毎年ドキドキワクワクしています。
無農薬だと大変な田草取りは、うちではほとんどありません。夫げんが工夫している代掻きが今年もうまくできたようで、田打ち器を一度かけただけで大丈夫そうです。
でも、田の周りの草刈りはなかなか。山の中に点在する田畑、あっという間に草が大きくなってしまいます。あまりに草だらけで安心したのか、田畑の畔では雉子や鴨が子育てを始めました。ある日十個ほどの卵を温めているところを見つけ、あまり近寄らないようにそっと見守っていたらかわいい雛たちが孵りました。
でも、その様子にほっこりしていたのも束の間、畑ではせっかく芽を出した青大豆を雉子の雄やウサギが食べてしまい、対策をして播き直してもまたやられ、今年は種子用だけでも採れたら、というほどです。
やはりもっと草刈りをしなければ、暮らしを守っていくことは難しそうです。この教訓をなんとかよき学びにしていこうと考えつつ、大変だけれど様々な生き物を肌で感じられることに充実感もある毎日です。

<佇む草木>

ぐんぐん伸びる草木に翻弄されつつ、めぐみもたくさん頂いています。草刈りをしながら、大きくなったよもぎ、いのこづち、ふき、どくだみ、露草、玄翁証拠などを摘み、お料理、お茶、チンキ作りなどに活用します。
どくだみのチンキを作られる方は多いと思います。花は化粧水に、茎や葉はお手当用に。時鳥が鳴き始める夏至の頃に咲きだすどくだみの花。夏至独特の空気感と、白く浮き上がるようなどくだみの花が重なるように記憶に沈殿し、チンキを使うたびに蘇る感覚を愛おしく感じます。
我が家ではその他、蛇苺や野ぶどう、よもぎ、雪の下などいろいろなチンキを作っています。それぞれのチンキにその季節が満ちているように感じます。

<からだのーと>

夏は心臓や小腸に負担がかかる季節です。ゴーヤ、三年番茶など苦味の野菜や飲み物、人参、トマト、梅干しなどの赤い食品がおすすめです。コーヒー、ビールなどの苦味の嗜好品、動物性のものは負担をかけてしまうので、取り過ぎに気をつけましょう。
夏土用の七月二十一日から八月六日は暑さ増し、食中毒が増えやすくなります。梅や畳、虫干しなど土用干しをしながら、自分の身体にも向き合えたらいいですね。夏土用の翌日は立秋です。暑さの中にも朝夕に秋の香りが微かに漂い始めます。忙しい毎日ですが心を澄まし、その変化を味わう暮らしでありたいと思います。

<趣ある夏を>

このような時期ですが、おかげさまで個展が無事に終了し、次の展覧会が始まりました。
八月三十日まで、あさご芸術の森美術館にて「Next story」が開催中(水休)です。十一名の平面や立体など様々な作家たちの作品が並ぶ、楽しい展覧会になっています。今年は夏休みが短く、あまり外出ものびのびとできませんが、お近くへお越しの際にはぜひお立ち寄り下さい。
八月一日には私のワークショップもあります。小さな木陰作り、葉っぱをもとにして涼しげな葉書やブローチ作りをします。詳しくはあさご芸術の森美術館079‐670‐4111、または私のホームページをご覧ください。
今年は少し静かな夏を穏やかに過ごせることをお祈りしています。

(2020年7月13日記)

葉根舎について

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~現在
大森梨沙子さん「葉根たより」(連載中)

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