フットハットがゆく【269】「回転」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【269】「回転」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2016年4月1日号の掲載記事です。

 

回転

回転寿し屋によく行きます。
僕は生き物好きなので、回転寿しで手に取った皿の生き物が、実際どれくらいの大きさなのか想像するのが好きです。
一番小さいのは、数の子でしょうか。
数の子自体が一口大でも、小さな卵の集まりですから、一粒の大きさを一生命体の大きさとすると、直径1mmにも満たない生命です。
それを一口で、数千体分食べてしまうのですから、本当に有り難や。
ちなみに数の子はニシンの卵です…ニシンの親の大きさは20〜30cmでしょうか。

イクラなどの魚卵系は飛ばしまして、次に小さいのはやはりシラスでしょうか。
シラスはイワシなどの稚魚で、見たままの大きさですから、一体数mmから1cm少々といったところでしょうか。
それを束にして食べてしまうので、一口で数百体…。
生まれたての稚魚ですから人間でいえば赤ちゃんですね。かわいい赤ちゃんを一口で数百人分ぺろり、有り難や。有り難や…。

大きさがわかりやすい寿司ネタとしましては、ホタルイカですかね。
見たままその形の大きさですから、3、4cmですね。海の中でキレイに光っていたものたちが、その美しさを知られぬまま人の口の中へ…有り難や。
同じイカ類でも、白く平べったいイカはアオリイカなどの切り身で、実際は40〜50cmですか。
ちなみにタコも似たような大きさですね。タコは軟体中の軟体ですから大きさがわかりにくい生き物ですが…。

大きさがわかりやすいものでいけば、エビやシャコですかね。
シッポと胴体が口に入れる部分ですので、それの頭をつけた大きさがだいたいの大きさですね。
4〜5cm。ゆでてあるものはだいぶ縮んでいます。僕は川エビを観賞用に飼っていたことがあるので、その時期はエビを食べるのはなかなか抵抗がありましたが、今はよく食べます。

飼っていたかわいいエビたちを思い出しながら…有り難や。
ネタの大きさが一口大でも、実際はそれより大きな生き物が多いですね。

  • ウニ…種類にもよりますが針も入れて10㎝前後でしょうか。
    あの刺々しい外見と、まろやかな風味と食感、このギャップを感じながら、有り難や。
  • サーモン…寿司ネタのサーモンはほとんど北欧、北米の養殖輸入もの!
    ということで、現地のサーモンの大きさは1mから1.5m! でかい! 養殖技術、有り難や。
  • アンキモ…アンコウも種類によりますが50cm〜2mくらいになるものも。
    アンコウを捕って腹を割いたらペンギンが出てきた、という話もあるほど凶暴なんです。いろんな生命体の命を奪った、アンコウの栄養が詰まったキモをいただく…有り難や。
  • マグロ…種類によりますが、大きいもので3〜4mになるものもいますね。
    回遊魚ですから大海をぐるぐる泳ぎ回っております。そんな豪快な生き物が、小さな皿の上でレーンを回っていると思うと、悲しくもあり…有り難や。

いろいろ、ネットで調べておりますと、回転寿しのネタは代用魚が多く、例えばマグロと称されるものも実は…の魚だったりするそうですが、まぁ想像は自由ということで…。

 

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