フットハットがゆく【260】「コンプレックス」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【260】「コンプレックス」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2015年7月1日号の掲載記事です。

 

コンプレックス

誰にでも、人に言えないコンプレックスというのはあると思います。
他人からしてみれば、何をそんなに気にするのか…? と思うようなことも、本人にはものすごいコンプレックスだったりすることは多々あります。

僕もこのエッセイで何度か自分のコンプレックスを公表してきました。
言うてしまうと楽になる、という部分もありますし…。
僕の場合は、トイレ大が長くて、痔であるというところがコンプレックスですね。
物心ついた時からトイレが長くて、20~30分引きこもっていることもよくあります。
本を読んだり、スマホやパソコンを眺めたり、なんならこのエッセイも今トイレの中で書いています。
まぁ自宅にいるときはそれでもいいのでしょうが、外出先や、仕事のホテルで誰かと相部屋とか、そういうときはトイレが長いというのはかなりコンプレックスですね。
圧倒的に人に迷惑をかけますから。でもどうにもこうにも腸が長いのか、しょうがないのか、あきらめています。

痔の方も物心ついたときからのもので、今まで手術は3回しました。
3回目の手術がとてもよくて、すっかり治ったのですが、そのときの医者に言われたのが、同じような食生活をしていると、また10年後くらいに新しい痔が出てきます、と…あれから15年、たしかに新しいのが出てきて、ちょっと深酒した次の日なんかは大変です。
出血と痛みで不機嫌、無愛想になって人に迷惑をかけるのがコンプレックスです。
でも逆に、やたらと不機嫌な人と出会ったとき、この人も痔なんだろうなぁ、とあえて思うようにしてストレスを和らげます。

さて、これまで公表してきた以外にも僕には大きなコンプレックスがあって、これが一番しょうもないとも思うのですが、僕は常に乳首が立っているのです。
普通の男はTシャツとか着ても乳首の形は浮きぼりにならない、いわゆる胸ポチは出ないのです。
まぁ興奮状態になったら立つ人もいますが、僕は興奮していようがいまいが、いつでもどこでも固く立っている体質なのです。
外見は強面ですが、鏡や写真などで、シャツに浮き出た自分の胸ポチを見ると非常に格好わるいというか恥ずかしいというか女々しいというか、もう誰にも言えないコンプレックスだったのです。

そんなある日、偶然見たテレビで、某有名男子無差別級の柔道家が、テレビに出るときは胸ポチが出ないようにニップレスをつけている、とカミングアウトしていました。
ゴリラのような大男が胸ポチを気にしていると知り、とても共感したと同時に、僕もすぐ通販でニップレスを取り寄せました。
ニップレスには男性用もあり、これは主に長距離を走るスポーツ選手が、乳首とユニフォームがすれて、靴ずれならぬ乳首ずれを起こさぬよう使用するものですが、もちろん胸ポチも隠せます。
まだ取り寄せただけで使っていないのですが、また使用感などご報告します。

 

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