フットハットがゆく【209】「死と恩1」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【209】「死と恩1」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2011年4月1日号の掲載記事です。

死と恩1

ふと、生き物の寿命について調べました。

アリ:
種類や役割によって寿命が違いますが、日本でよく見かけるクロオオアリの場合・・・オスアリは短命、ほぼ生殖のためのみに生まれるため、ふ化して死ぬまで一ヵ月少々。
メスで働きアリは1年から2年生きる。
メスでも女王アリは10年から20年生きるそうです。
同じ種類でこれだけ寿命が違う生き物も珍しいですね。

カブトムシ:
虫の王者的イメージですが、日本のカブトムシの場合、寿命は1年です。
しかもその大部分が幼虫として過ごし、成虫になってからは1〜2ヵ月ほどで死にます。
逆にいつもカブトムシにケンカで負けているイメージのクワガタムシは、寿命が3〜4年になるものもいます。
オオクワガタなどは、成虫になってからも越冬できるので、飼育マニアの間でも人気があります。

セミ:
1週間で死ぬ、というイメージがありますが、幼虫時代を入れると土中で5年も6年も生きており、種類によっては17年も土中にいるそうですから、虫としてはそうとう長命です。
成虫になってからも1ヵ月ほどは生きるそうです。
飼おうとすると数日で死んでしまうので、短命のイメージがつきまといます。

メダカ:
1年から2〜3年。自然下では天敵が多く、1年余りで死んでしまうものが多いそう。
飼育下では2〜3年生きることもありますが、同じ水槽に卵やふ化したての子メダカを入れておくと親メダカが全部食べてしまう・・・子メダカの寿命を縮めるのが親メダカとは・・・世知辛いのは人間世界だけではないようです。

魚類:
調べたWEBページによると、うなぎ20年。イセエビ25年。サメ40年。タイ50年。ナマズ70年。コイ80年。だそうです。
僕は今、サメの寿命くらいを生きています。
そしてもし今度、寿司屋にいってタイを注文して、自分よりお年上のタイだったらどうしましょう?・・・いただく時に両手を合わさずにはいられませんね。
ナマズは見た目がグロテスクですが、実は白身で美味。
日本の加工食品で使われる魚も、海外から輸入したナマズ・・・というパターンがあるそうですよ。
10代の子がおいしそうに食べるフィッシュフライが実は70歳のナマズ…だったりして。う〜ん、ちゃんと感謝していただかないと、お怒りをかって地面を揺らされますぞ!
80年生きるコイで、ちょうど人間くらいですね。僕はコイと同じくらい生きられるのでしょうか?
コイといえば鮮やかな色の錦鯉を思い浮かべますが、普通の川や池には灰色のコイが棲んでいます。
うちの実家近くのドブにも、コイがたくさん泳いでいます。
信号待ちの時、ぼ〜っとそのドブのコイを見ています。
中にはかなり大きなお方もおられます。いったいおいくつなんでしょうね?
多分、僕より年上なんじゃないかと思っているのです。
小学生の時、僕が釣りかけてバラしたあのコイが、いま立派に成長なさって悠々と泳いでいるのではなかろうか・・・とか考えながらドブのコイを見ていると、信号一回やりすごしてしまいます。

シートン 1860~1946 『シートン動物記』で有名な英出身の博物学者、作家。

シートン 1860~1946 『シートン動物記』で有名な英出身の博物学者、作家。

 

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