フットハットがゆく【131】「エビちゃん」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【131】「エビちゃん」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2007年4月16日号の掲載記事です。

エビちゃん

僕はエビを飼っている。多分、300匹くらいいると思う。
もともとはメダカを飼う時に水槽に10匹入れたのが始まりで、それがわずか半年足らずで300匹に増えたのだ。

僕が飼っているのはミナミヌマエビという小エビで、大人になっても体長は2センチほど。
水ゴケや魚の餌の食べ残しを食べてくれるので、お掃除屋として水槽に入れられることが多い。
性格はおとなしいので他の魚を襲って補食することはない。

さて、飼ってみるとエビはいろいろ可愛くて面白い。

泳ぎ方…

その1:シャカシャカ泳法。お腹についた小さな足をシャカシャカさせて進む泳法。まるでゾウリムシのせん毛のように細かく足が動くので、なんとなく進化の過程が感じられて面白い。
その2:イルカ泳法。足を全部たたんで、しっぽを広げてドルフィンキックで泳ぐ。スィ~っと優雅に進む。
その3:エビワープ。背を瞬時に丸め後ろに跳び下がる方法で、これはびっくりした時や、他の魚に襲われそうになった時に見せる。実際に水中で見ると、瞬間移動のように動き、人間の目では追い切れない。僕はこれをエビワープと呼んでいる。たまに勢い余って水槽の外にワープしてしまうこともある。

食べ物…

雑食性でいろんなものを食べる。
一番喜ぶのが市販のザリガニ用の餌か魚の死骸。
例えば水槽でメダカが死んだら、よってたかって、数時間で骨まで食べてしまう。
虫でいうならアリ、鳥でいうならハゲタカである。
死骸を食べるのは一見残酷にも見えるが、食べて糞にして分解されることにより、食物連鎖が成り立っている。
エビがいなければ死骸は腐り、水は毒水と化す。
野菜も食べる。
ニンジン、キュウリ、ミカンなどもよく食べる。
エビの体は透けているので、腸の中身が見える。
ニンジン好きの個体はオレンジ色の腸になり、キュウリ好きの個体は緑色の腸になる。

脱皮…

エビは脱皮して大きくなっていく。
脱皮した皮もエビが食べてしまう。
「立つ鳥あとを濁さず」というが、「脱ぐエビあとを汚さず…」である。

産卵…

メスの腹にある細かい足の間に卵数十個を抱えたまま、何週間か過ごす。
足をシャカシャカと動かし、卵に新鮮な水(酸素)を送り込む仕草がとてもかわいい。
卵からかえった子供は最初プランクトンのような形で、人間の目では確認しにくいほど小さい。

さて、僕はエビを飼い始めてから、エビを使った料理をなんとなく敬遠してきた。
加工されてほとんど形が見えないエビバーガーでも敬遠していた。
しかしある日、エビワープで水槽外に飛び出し、干からびてオレンジ色になっていた小エビをそのまま食べてみた。
これは、このエビちゃんの死を無駄にしないために、僕の糧となってもらうための行為である。
この時ほどよく噛みしめてエビを食べたことはないし、とても美味しかった。
小さな生命に感謝!…このエビを食べた時の感謝の気持ちを忘れずに、これからはエビ料理を敬遠せずに食べたいと思う。

蛯原友里 1979〜 モデル。通称『エビちゃん』。エビバーガーのCMでブレイクした。

蛯原友里 1979〜 モデル。通称『エビちゃん』。エビバーガーのCMでブレイクした。

 

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