フットハットがゆく【126】「ひとやすみ21(特別編)」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【126】「ひとやすみ21(特別編)」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2007年2月1日号の掲載記事です。

ひとやすみ21(特別編)

今回は特別編である。
何が特別かというと、今この原稿をお風呂の浴槽の中で書いているのである。
今日は原稿の〆切日であったが、なんとパソコンが壊れて全く動かなくなってしまったのだ。
いつもパソコンで原稿を書いている僕はほとほと困った。
原稿用紙にペンで書いてFAXで送ろうかと思ったが、恥ずかしながらここ15年ほどペンで文章を書いたことがない。
それならばいっそ携帯電話で書くことにした。
せっかく携帯で原稿を書くのだから、話のネタにどこか変わったところで書こうと考えた。
喫茶店? 公園?
いやいや、そんなところはありきたりだ。ノートパソコンを持ったにいちゃんがそちこちで仕事しておる。
他人と一緒じゃつまらない。
「そうだ! いっそお風呂で書こう!」と思いたった。
僕の携帯は、なんと防水性なのだ。やったね。

さっそく、銭湯かサウナに行こうかと思ったが、そんなところにカメラ付き携帯を持ち込むと、男子好きの変態盗撮魔と間違われそうなのでやめて、結局、家のお風呂で書くことにした。
ということでここまで書いてきたが、そろそろ指もふやけてのぼせてきた。
半身浴の状態とはいえ、さすがに1時間も湯の中にいるのは辛い。
そろそろ、あがることにする。
…余談だが、うちの風呂の湯はとても汚い。
昔なにかのテレビ番組で、「万が一の火事の時のため、風呂の湯は捨てずに防火水として浴槽に貯めておくのがよい」といっていた。
そして次に風呂に入る前にいったん水を捨て、浴槽を洗ってから新しい水をはるのだ。
でも僕は水を捨てるのがついつい面倒くさくて、古い水のまま沸かしてしまう。
それを繰り返すうち、水がどんどん濁ってきてしまうのだ。
まぁ独り暮らしだから誰にも迷惑はかからないのだが…、ただ、湯から出る時に少しコツがいる。
普通に出ると、湯垢やら髪の毛やら浮遊物が肌にくっついてきてしまうので汚い。
そこで、バシャバシャとタコが溺れたかのように暴れまくった後、正に間髪をいれずにザバァッ!と勢い良く出なくてはいけない。
これが僕が湯から出る時のくせになっている。
が、くせというのは恐ろしいもので、銭湯でうっかりこれをやってしまったことがある。
まわりの客は、僕がいきなり湯船で大暴れしはじめたので、たいそう驚いたようだった。

今回は風呂の中で原稿を書くという試みをしてみたが、もし次回の〆切日までにパソコンが直らなければ、今度はトイレで書いてみようと思う。

 

 

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