五山の送り火の「大文字」を定番スポットの京都御苑(御所)から見る

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五山の送り火の「大文字」を定番スポットの京都御苑(御所)から見る

京都を取り囲む山々で点火される五山の送り火は、京都のいろんなところから見ることができます。
中でも五山の中心の「大文字形」を見る定番スポットとして人気なのが、京都御苑(御所)です。
京都のど真ん中にありながら、遮る建物もなく大文字形を見ることができます。

京都御苑(御所)からの五山の送り火レポート

大文字形の真西にあたる京都御所の南へ

京都市民は東西700m南北1,300mの京都御苑全体を指して「京都御所」と呼ぶことが多いですが、正確には京都御所と京都御苑は別です。
環境省が管轄する国民公園全体が京都御苑で、京都御苑の中にある宮内庁が管轄する皇室関連施設が京都御所です。
五山の送り火の時間帯は京都御所は公開されていません。五山の送り火が見えるのは、国民公園部分の京都御苑です。

街灯もない京都御苑内

19:24 間之町口から京都御苑へ 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:24 間之町口から京都御苑へ 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

五山の送り火の大文字形は20:00に点火されます。30分余り前に地下鉄丸太町駅の1番出口を出て間之町入り口より京都御苑へ。
大文字形の鑑賞スポットは京都御苑のちょうど真ん中にあるため、丸太町駅からでも距離に差はありません。

この時期はまだ19時台半ばでも空の明るさが残っているものの、京都御苑内は街灯も少なく薄暗いです。
五山の送り火だからといって、京都御苑に街灯が増設されたりはしていません。むしろ大文字形の鑑賞スポットである建礼門前付近などでは、街灯が消灯されます。
暗さに目が慣れないうちは慎重に歩きましょう。

 

中立売駐車場は営業時間延長

19:32 営業時間延長中の中立売駐車場 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:32 営業時間延長中の中立売駐車場 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

中立売駐車場は、京都御苑内唯一の駐車場です。
京都御苑内の中立売駐車場の入庫時間は普段は20時までですが、五山の送り火が開催される8月16日は21時まで延長されます。
出庫は24時間可能なので、五山の送り火が終わってからあわてて出庫する必要はありません。
幕末期には、今の中立売駐車場のあたりには、毘沙門堂の里坊、烏丸家(名家)、勧修寺家(名家)の屋敷がありました。

京都市史 地図編「文久三年刊 内裏図」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

京都市史 地図編「文久三年刊 内裏図」出典:国立国会図書館デジタルコレクション

烏丸(からすまる)家は日野家の庶流で、家格は名家です。中級公家ながら1,153石1と五摂家に次ぐ領地を持っていました。室町中期の「三魔」の一人として知られる烏丸資任や、江戸初期の歌人として知られる烏丸光広が著名です。
勧修寺家は家格は名家ながら、後陽成天皇や仁孝天皇の外戚となり、石高も708石1ありました。「晴豊公記」の著者で織田信長との因縁も深い勧修寺晴豊が知られます。

19:35 まだ空きのある中立売駐車場 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:35 まだ空きのある中立売駐車場 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

五山の送り火の点火まであと25分ですが、131台の収容台数がある中立売駐車場にはまだ空きがあります。
京都御苑に車で五山の送り火を見に来る人は多くはないようです。
観光バスもたくさん止まっています。京都御苑では五山の送り火鑑賞の団体客の姿は見かけなかったので、おそらく京都御苑が目的地なのではなく、近隣の京都ガーデンパレスや京都ブライトンホテルの五山の送り火鑑賞ツアーの観光バスではないでしょうか。
京都御苑に送り火を見に来る人の多くは京都や近隣の人たちだと思われます。

 

限定メニューもある中立売休憩所

19:36 営業時間延長中の中立売休憩所 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:36 営業時間延長中の中立売休憩所 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

普段は16:30に営業を終了する中立売休憩所も8月16日は五山の送り火にあわせて営業時間を延長しています。
中立売休憩所は、2019年にリニューアルオープンした新しい建物です。
喫茶(ドリンク・デザート)のラストオーダーは20:30で、売店も含めて21:00営業終了です。
レストランは多くの人でにぎわっています。五山の送り火限定メニューなんかもあります。2024年も売店では俵屋吉富「送り火」や亀屋良長「夏たより 大文字」、檜垣茶寮では「抹茶ゼリー~アイス添え~」などが限定発売されます。
看板には「送り火 Bon Fire」の文字が踊ります。

19:37 内も外もにぎわう中立売休憩所 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:37 内も外もにぎわう中立売休憩所 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

幕末期には今の中立売休憩所の位置には施薬院がありました。
京都の人々に無料で薬を与えていた、今の国立病院のような施設です。

 

清水谷家の椋の前へ

19:40 清水谷家の椋の前から見る大文字 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:40 清水谷家の椋の前から見る大文字形 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

京都御所の南西角にある清水谷家の椋の前から真東を見ると、ちょうど大文字形が見えます。
大文字形の火床は、ちょうど京都御所南隣の通路の正確に延長線上にあります。
火床にはちらちらと準備中の光がきらめきます。
なお、大文字形がある山を一般に大文字山といいます。厳密には、山全体の名称を如意ヶ岳(472m)といい、大文字の火床の直上の支峰を大文字山(465m)といいます。
京都御苑から見ると、大文字形の上の峰が大文字山で、右の少しだけ高い峰が如意ヶ岳です。

京都御苑内には、すでに多くの人が五山の送り火見物に集まっています。
京都御所の塀に近づきすぎた人がいたのか、皇宮警察の警報が鳴り響きます。
近づきすぎないように注意しましょう。

19:44 清水谷家の椋の前から見る大文字 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

19:44 清水谷家の椋の前から見る大文字形 2022年8月16日 撮影:MKタクシー

清水谷家の椋のあたりは幕末期には清水谷家(羽林家)の屋敷跡でした。清水谷家は西園寺家の庶流で、家格は羽林家です。幕末維新期の清水谷公考は、箱館府知事として榎本武揚らと戦いました。
今も清水谷家にあった樹齢300年と言われる大きな椋の木が残っています。
蛤御門から130m東の位置にあり、元治元年(1864年)の禁門の変(蛤御門の変)では、長州藩の遊撃隊を率いた猛将・来島又兵衛がこの椋の前で討ち死にしました。マンガなどでもこの最期のシーンはよく描かれます。
京都を震撼させた武力衝突の激戦地だったのです。当時でも樹齢150年ほどなので、大きな木だったのでしょう。

19:48 京都御所の南東角から見る大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

19:48 大宮御所(仙洞御所)の北から見る大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

さらに東へと300メートルほど進み、大宮御所(仙洞御所)北の通路へ。
京都御所の南側と比べて大宮御所(仙洞御所)の北側はやや狭いため、より混雑しているように見えます。
大文字形の手前に見えている建物は、京都府立医大の病棟です。
かつて病棟からも送り火を見たことがありますが、大文字形が見事に見えました。
もちろん、見られるのは病院関係者か入院者のみですが。

 

京都御苑から見る大文字形

20時に大文字形が点火

20:01 大文字が点火 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:01 大文字形が点火 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

大宮御所(仙洞御所)の北側で待つことしばらく、ついに大文字形が点火されました。
観覧者も一斉にスマホを向けます。
この付近はいつもはある程度の該当が設置されているのですが、五山の送り火にあわせて日没から20:30までは消灯されています。

20:02 もうもうと煙を上げる大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:02 もうもうと煙を上げる大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

 

燃え盛る「大」の字

あっという間に大文字形の全体に火が周り、「大」がくっきりと見えました。
もうもうと煙を上げながら激しく燃えています。
下には京都府立医大の病棟の最上階(8階)です。五山の送り火前後の19:50~20:50は京都市内の山科区と伏見区を除いたエリアでは、京都市から消灯要請が出ます。ただし、医療機関は例外です。

20:03 夜空を明るく照らす大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:03 夜空を明るく照らす大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

激しく燃える大文字形が暗い夜空をほんのりと明るく照らし出します。
あまり東に近づきすぎると、京都府立医大病院の病棟が邪魔になるため、やや遠めの建春門前あたりの方がおすすめです。

 

建礼門前から見る大文字形

20:07 建礼門院前から見た大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:07 建礼門前から見た大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

どうしても京都府立病院も病棟が気になるため、さらに西へ160メートルほど移動。
京都御所の南正面の建礼門前から見た大文字形です。
わずかの移動ですが、大文字形の見える角度も変わりました。

京都御苑から見た大文字形は、正面ではなくやや右ななめから見た姿です。
きれいに「大」が見えるのは、京都御苑の北の相国寺付近です。
一説には、相国寺付近にあった室町幕府の「花の御所」を正面になるように火床を設計したとも言われています。

20:07 建礼門院前から見た大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:07 建礼門前から見た大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

京都御所の南側からは京都府立医大病院の病棟は邪魔になりませんが、大宮御所の樹木によって大文字形が完全には見えないところもあります。
道幅が30mほどある京都御所南側通路でも、北よりからだと半分くらいしか見えません。
通路の南よりからだと大文字形の全景が見えます。

建礼門は、京都御所の正門にあたる門です。通常開門されることはありませんが、天皇皇后両陛下をはじめ元首クラスの要人が京都御所を訪れる際に開門されることがあります。千日回峰行を満行した「大行満大阿闍梨」が土足参内する際にも、建礼門が開門されます。

 

清水谷家の椋の前から見る大文字形

20:16 清水谷家の椋の前から見た大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:16 清水谷家の椋の前から見た大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

さらに西に130メートルほど移動し、先ほどの清水谷家の椋の前へ移動。
大文字形の全体像がよく見えます。ただし、遠ざかった分大文字形が小さくなります。

 

20:20 火勢が衰え始めた大文字 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:20 火勢が衰え始めた大文字形 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

鳥居形にも点火され、五山の送り火が全て揃う20:20。
一番乗りの大文字形は点火から20分経過し、火勢の衰えも目立ち始めてきました。
このころになると、もう帰路へとつく人の姿も目立ち始めます。
京都御苑から見える五山の送り火は大文字形のみです。残りの送り火は全く見えません。

20:30 そろそろ終わりを迎える「大文字」 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:30 そろそろ終わりを迎える「大文字」 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

 

終わりを迎えた五山の送り火

点火から30分が経過し、まだ大文字形は判別できるものの、そろそろ終わりを迎えようとしています。
大文字形を見に来た人々も次々に家路につきます。五山の送り火を終え、20:30には街灯が点灯されるはずです。
京都御苑はたくさんの人でにぎわいましたが、広々とした京都御苑ではそれほど混雑はしませんでした。
少なくとも動けないほどの混雑はなく、あちこちに移動しながら送り火を楽しむことができました。

20:43 京都御苑の間之町口より帰途につく 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

20:43 京都御苑の間之町口より帰途につく 2023年8月16日 撮影:MKタクシー

 

おわりに

2024年の五山の送り火は、例年通り開催予定です。
夕立ちくらいはあるかもしれませんが、天候もまずまずです。
夜とはいえ、暑さはまだ残っているかもしれません。

 

MKトラベルの五山の送り火鑑賞ツアー2024

MKタクシーのトラベル部門であるMKトラベルでは、毎年五山の送り火鑑賞ツアーを催行しています。
五山の送り火鑑賞ツアーは他社でもたくさんありますが、MKトラベルのツアーの特徴は、日中に点火前の五山の送り火をジャンボタクシーの車窓から見学する点です。
明るい時間の送り火を見ておくことで、夜の点火された送り火をより楽しむことができます。
コロナ禍前より続く、MKトラベルの人気恒例ツアーです。

五山の送り火を鑑賞するのは、京都の真ん中にある西陣織会館の屋上です。
次々と灯されていく五山の送り火をお楽しみいただけます(鳥居形は見えません)。
夕食には、京料理立神(たてがみ)の会席コースもついている豪華ツアーです。
ぜひ、MKトラベルの五山の送り火ツアーで豪華な旅をお楽しみください。
募集は限定20名なので、申込はお早めに。

過去の五山の送り火鑑賞ツアーのレポートはこちらです。

 

浴衣ならMKタクシーの「タクポきもの還元」がお得

夏の1ページを彩る五山の送り火、やっぱり似合うのは浴衣姿です。
五山の送り火を訪れるなら、是非浴衣でお越しください。
(ただし、混雑や交通規制もあって配車困難な場合が多いことはご了承ください)

浴衣で歩き疲れたら、是非MKタクシーをご利用ください。
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