山の一家*葉根舎「葉根たより」【68】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2022年8月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
夏至を迎えた途端、ぐっと暑い季節へ進みました。
一気に暑さが増したためか、ゆっくりと咲いていく合歓の木が一斉に満開になりました。
ふわふわと咲いている様子も、道に落ちてゆく花もとても美しいです。
また梅雨入り、梅雨明けと伝えられますが、暦では夏至の前後二十日間が梅雨期。その間は降らずとも湿度は高く、梅雨との心構えで過ごしています。
「温風至(あつかぜいたる)」
「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」
暖かな白南風が吹き、土がじっとりとして蒸し暑くなる頃です。
夏土用に大暑、暑さに気をつけながら、暑いからこそできる仕事、梅や畳を干す季節です。
<生蜂蜜の不思議>
六月中旬に無事に田植えを終え、田打車をかけました。
代掻きの工夫で草は少ないのですが、稲の根に活力を与えるイメージでかけていきます。
すると今年は一部だけコナギがいっぱい。久しぶりに草取りに苦戦しました。
麦刈りも終えましたが、大雪だったためか収量は少なめ。
大豆もたくさん植えましたが、植えた途端一部をウサギに食べられてしまいました。
直播きをすると小さな芽をすぐに食べられてしまうのでしっかり苗にし、あいにくの雨の中、子供たちと定植したのですが…。
うさぎ対策に低い電柵を設置するまでの一晩の間のことでした。
そんな苦戦ばかりですが、蜂蜜はたくさん採れました。
山桜、山藤、栃、山柿、山栗と五種類揃いました。
朝晩スプーンひと匙の蜂蜜をお湯やハーブティにといていただくと、目覚めがよくなります。
そこへ少しのお塩を入れるのもおすすめ。
蜂蜜は単糖類なので、二糖類のように分解する一手間なく、すぐに身体へ吸収されエネルギー源となるので、汗をかいた後や熱中症対策にも。
そのためには汚染のない健やかな環境で暮らす蜂であること、加熱していない酵素や菌が生きている生蜂蜜でないと効果はありません。
夫が山の中で育てる蜂たちからいただく生蜂蜜は、香りや味わいも素晴らしいです。
身体のためにも、楽しみのためにも味わっていただけたら嬉しいです。
花の種類により、香りの美しさ、味わいの爽やかさ、濃厚さが違う不思議も楽しんでいただけたらと思います。
<暦の唄>
一雨ごとにぐんぐん伸びる草木たち。
草刈りが追いつかないのは毎年のことですが、ビニールハウスのない我が家でもやっと夏野菜も育ってきました。
トマトの支柱を立て、伸びる度に芽かきをしながら麻紐で支柱へ括っていきます。
忙しない合間に梅も収穫。五島列島の手塩で三十キロの梅を漬けることができました。
大暑の頃は暑いのですが、毎年しっかりと晴れることに感動と共に、梅や畳をしっかり干すことができ感謝、星のめぐりに不思議な気持ちになります。
<からだのーと>
8月4日は旧暦7月7日七夕。新月から七日目なのでちょうど半月となり、彦星さまが月の船に乗ることができるのです。
また新暦7月7日のように梅雨期でないので晴れることも多く、やっぱり旧暦がいいなあと思います。
盆踊りは満月の旧暦7月15日前後。お盆に帰ってきた先祖供養、秋の豊作祈願と共に、男女の出会いの場ともなっていたそうです。
陰の気が極まる満月の日は、生き物を結びつけるコミュニケーション能力が高まるからです。
古の人々は感覚的に自然の摂理を感じ取っていたのですね。そうした感覚を取り戻すような日々を過ごしていきたいものです。
満月の翌日から新月まではデトックス期。
夏野菜はカリウムが多く、体内の毒素を出してくれますが、身体を冷やす力が強いので食べ過ぎに気をつけて下さい。
梅干しやお味噌汁、梅醤番茶など身体を温めるものとバランスを取りながら、健やかな夏をお過ごし下さい。
(2022年7月10日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)
2017年1月1日号~2022年12月1日号
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