山の一家*葉根舎「葉根たより」【46】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2020年10月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
リリリリ…秋を過ぎた頃から、少しずつ鈴虫など秋の虫たちが奏ではじめ、ほのかに秋の到来を告げていました。
九月初めの台風が去るとお日さま傾き、朝夕はすっかり涼しく、虫の音も深まり、秋が満ち満ちています。
いよいよ秋分。昼と夜の長さが等しくなる陰陽調和の節目、そしてお彼岸。新しいエネルギーに変わる時なので、精神的にも物質的にもゼロに近づけておくとよいそうです。
ご先祖さまへの感謝も大切にしたいですね。
<お天気と共に>
今年は夏野菜の出来がよくありませんでしたが、トマトは八月下旬にやっと色づき始め、かまどでコトコト、今年もノンシュガートマトケチャップを煮込んでいます。鉄鍋に完熟トマト四キロ、玉ねぎ、ニンニク、米酢、自然塩、胡椒、ローリエなどを三時間煮詰めて瓶詰めします。
とってもおいしい人気商品。一年保存でき、その間も少しずつ熟成し、まろやかになっていきます。季節に合わせるように変化する味に毎年感心してしまいます。
その八月下旬からのよいお天気でトマトはよく実ったのですが、二週間雨がなく、二日に一回は里芋、生姜、ヤーコンへ水やり。両手に二十リットルのタンクいっぱいの水を、川から汲むこと七往復。夫げんががんばってくれます。村の水道水も減ってきてたので、九月はじめの雨はありがたいものでした。
八月二十日に白菜、人参、九月七日に大根、蕪の種まき。秋野菜はよくできますように。
<自然との営み>
現在の一般的なお盆は八月中旬ですが、日本本来のお盆である旧盆は、旧暦七月十五日(今年は新暦九月二日でした)の満月。毎年満月であることに、本来の営みの素晴らしさを感じます。陰の気が高まる満月は、結びつける力が高まり、盆踊りには秋の豊作や男女の出会いが込められていたそうです。
こうした営みをされてきた古代からのご先祖さまを想うと、自然から離れてしまった人々の営みを感じます。様々な変化が起きている今、本来の営みへ近づく変化になることを祈ります。
<潮のみち ゼロプロジェクト>
この夏、知り合いのプロジェクトへお誘いがあり、子供と参加してきました。
それは、自然に倣う循環コミュニティを目指し、海や川に漂着、散乱したプラスティックなどのゴミ資源を皆で拾い、100%再資源化装置EE21を使って水質、土壌環境を改善可能な無結晶有機炭素(アトミックカーボン)などに再資源化し、採集地域の自然環境へ還元する、微生物や自然の働きに倣ったプロジェクト。
今回は、播磨の海で拾ったゴミたちを加古川の廃棄物リサイクル業者さんでキューブ状に圧縮。その重さ百九十キロ! そこへ絵を描き、埼玉の100%再資源化装置EE21まで軽トラでお披露目をしながら運ぶというものでした。
この「潮のみちゼロプロジェクト」は、ハワイなどでダイバー、写真家として活躍してきた菅原真樹さんがはじめられ、今はたくさんの方が関わっています。ぜひホームページなどをご覧下さい。
優れた技術が、経済や目の前のことでなく、自然と共に生きるために使われていって欲しいと思います。
<幸せな末っ子>
最近、末っ子のかやは、お布団の中で聴くお兄ちゃんたちの創作話が楽しくて仕方ないようです。
夜九時には離れの子供部屋へ子供たちは行くのですが、行く前によく、「今日もお話しして~」とかやはお兄ちゃんたちにおねだりします。「え~また~」と兄たちは面倒がる時も。結局してくれなかった時は、子供部屋から泣き声が山に響き渡ります。
思いっきり泣けることも幸せなことだなあ、と私たちは呑気に泣き声を聞いています。そのまま眠ることも、仕方なく話してくれることもあるようです。
何をするのもお兄ちゃん、特に次男のすぎなを求めるかや、母の座を奪われてしまった気分になることも(笑)兄弟の仲がよく、本当にありがたいなあと感じる毎日です。
<からだのーと>
旧暦の九月九日(新暦では今年は十月二十五日)は重陽の節句。陽性な「九」が重なることから尊ばれてきた日。各節句には、その日のエネルギーを受け取るための植物があり、重陽の節句では菊になります。菊の花を生けたり、菊のお茶を頂いたり、心を落ち着けて過ごしましょう。
また、十月二十日から十一月六日は秋の土用になるので、冬を迎えるために素食でよくかみ、身辺を整えて寒さに備えることができたらいいですね。
(2020年9月10日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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