山の一家*葉根舎「葉根たより」【45】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【45】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2020年9月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

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葉根たより

カナカナカナ…七月二十日頃から、今年も美しく軽やかに唄いだした蜩。けれどまだ梅雨はあけず、長雨にあらゆるところがしっとり。待ちに待った梅雨明けは夏土用の中頃。
お日様の光ありがたく、あちこち拭き掃除、梅干し、畳干し。身の回りを整えると、自身の身体、心もスッキリするのは不思議だけれど、全てはつながっているということを思えば当然ですね。
立秋を迎え、「涼風至(すずかぜいたる)」「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」秋を感じさせる涼しい風が吹き、ひぐらしが鳴き始める頃。日中はまだまだ暑い時期だけれど、朝夕の変化に心を澄まします。窓の外はすぐ山のわが家では、鈴虫がすぐそこで奏で始め、そのボリュームに困ってしまうこともしばしばあります。

<天土草獣>

水分たっぷりの夏野菜、暑い季節にもりもりと頂きたいところですが、今年は収量が少ないです。長雨のためではなく、ウサギたち…。農作業は主に夫げんがしているのですが、田畑のお土産話にはウサギ、キジ、カモ、サギ、カラス、シカ、イノシシなどなど、生き物いっぱい。
にぎやかで楽しそう…ですが、お土産の野菜はさみしい…。ナスは葉も茎もウサギに食べられてしまい全く採れず、大豆は何度も蒔き直し対策をしますがなかなか。
夏野菜はすぐに火が通るのでお料理しやすい嬉しい時期なのですが、仕方ありません。山の暮らしを始めた頃は収量に一喜一憂していましたが、今は採れれば感謝、採れなかったら「まあいっか、なんとかなるだろう」とあまり動揺しなくなり、鍛えられた気がします。
長雨でなかなか収穫できなかったジャガイモは、しっかり土が乾いた八月九日に子供たちとやっと収穫。無農薬無肥料で余計なものが入っていない野菜は、こうした時に雨で腐ったりしないところが心強い。
収量は少し少なめでしたが、来春までもつジャガイモは貴重な食材です。里芋、生姜は土寄せし、草おさえと保水のため草を敷きました。秋の野菜はよく実りますように。

<粘菌>

今年の子供たちの夏休みは、三月から五月までお休みが続いたため九日間だけになりましたが、うちの子たちはあまり気にしていないようです。お休みになってもならなくても、特に気にならないのは頼もしいです。子供たちは家が好きなようで、出かけたいと言い出すこともありません。
けれど、鳥取県立博物館で開催されていた粘菌の一種である変形菌の展示には興味があり行ってきました。菌といってもカビやキノコとは別種。朽ちかけた木々などはカビやキノコなどにより分解されていくのですが、変形菌がそれらを食べることで分解の速度は緩やかになり、様々な生き物がそこへ介入できるようになるそうです。
薪の表面などに見かけるものだったので、そういう菌だったのか、とすぐに暮らしに直結するところがこの暮らしの魅力。変形菌が子実体になった姿は、拡大するととても綺麗なので、そのような想像を膨らませ続けたいです。

<人と森の世界>

変形菌の展示と共に、身の回りの森で採取したものを加工して作品を作っている高田光治先生の展覧会も開催していました。博物館と美術館の要素が垣根を越え、緩やかに繋がるような展示。普段、アートを遠く感じている方や子供たちが素直に楽しんでいる様子が印象的でした。
高田先生は自分が前に出るのではなく、作品の世界、森の世界が広がり、美術に詳しくない人たちが楽しめるような展示を考えていらっしゃるそうです。その価値観にとても共感しました。自然の中で暮らしていると人間中心の感覚は薄れていきます。自分が描くのだけれども、自分が出るのではない世界を描きたいと改めて思いました。

<からだのーと>

秋を迎えると肺と大腸が弱りやすくなります。秋のもの悲しさは、それらが弱っているというサインでもあります。脂や乳製品のとりすぎが肺や大腸のリンパ管の目詰まりを起こし、水はけが悪くなり弱るというサイクル。大根や玉ねぎ、ねぎ、生姜といった辛みの食材が油を溶かします。食物繊維が豊富な玄米も油脂のたまりを防ぐのでおすすめです。旬の食を楽しみながら夏の疲れを取れるよう、身体としっかり対話をしていたいです。
九月二十二日は陰陽調和の秋分の日。少し食を控え、感覚が開くような日に。このような状況だからこそ、より本能や直感のようなものが頼りになる気がしています。

(2020年8月11日記)

葉根舎について

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~現在
大森梨沙子さん「葉根たより」(連載中)

葉根たよりのバックナンバー

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