フットハットがゆく【314】「笹の葉サラサラ」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【314】「笹の葉サラサラ」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2020年1月1日号の掲載記事です。

 

笹の葉サラサラ

新年あけましておめでとうございます! 今年もフッと思ったこと、ハッと気づいたことを書いていきます。

 

さて田舎暮らしを始めて数ヵ月経ちますが、毎日が何らかの格闘です。
今回の敵は「笹」です。5年以上放置された庭一面に、約3mの高さまで成長して群生しています。
両隣の庭にも進出してご近所迷惑となっています。
七夕で願い事をしたり、えびす神社の縁起物として1本や2本家にある分は問題ありませんが、何千本と群生されては、日当たりは悪くなるし、その茂みを拠点に害獣、害虫が行動するし、何ら良いことはないのです。
庭で自家菜園を夢見る僕にとって、この笹を刈ることは必須課題でした。
ということで、購入したばかりの草刈機で笹刈り開始! 笹は草というより、竹を細くした感じで、とても強く硬くしなりもあるので、普通の雑草を刈るようには、なかなか簡単にいきません。
しかしそこは努力と根性! 若い頃ラグビーで鍛えた突進力と精神力で、3m級の笹を刈り進めました。

 

ここから笹の逆襲が始まりました。
地面すれすれを刈ると、高速回転する刃に小石が弾かれて、火花を散らして顔面をかすめたりするのです。
地表の異物を確認できるまでは、笹を10~20㎝の高めに刈っておりましたが、それが長靴に突き刺さるのです。
僕は新品の長靴を1日目で穴だらけにされてしまいました。ご近所さんは、足まで突き抜けてしまったこともあるそうです。
昔は弓矢の材料にもなった笹です! 転んだ拍子に心臓に突き刺さればお陀仏です。
ベトナム戦争の映画や漫画でよくみる、恐ろしいブービートラップです。
僕はよくお酒を飲みすぎて千鳥足でずっこけますので、かくいう僕が一番危ない!
自分で刈った笹に、自分で突き刺さって死んでは、笑い事にもなりません。
ということで、できるだけ短く刈りたいのですが、またここで新たな敵が。

 

5年前はここにも家庭菜園があり、野菜を鹿や猪から守るために害獣ネットが一面に張り巡らされていたようです。
笹を刈り進むとその埋もれたネットが刃に絡みつき、作業がストップしてしまうのです。
ネットを除去しようにも、笹の根っこが絡みついて、押しても引いてもびくともしません。
タケノコ堀用の重く長いクワを買ってきて、土ごと掘り起こして根を切らないと、ネットも取れません。ネットを除去しないと草刈りも進みません。
とにかく、草刈りを4時間やっていたとしても、そのうち3時間がネットを除去している時間、という有様。
ビクともせず地中に埋まっているネットと対峙して、何度も心が折れそうになりました。
現代社会では、インターネット世界の悪行に悩まされる人も多いと思いますが、僕は人の残した鹿よけネットに辟易とさせられました。
いずれ畑ができて野菜ができれば、それを食べに来る鹿と敵対する時期も来るでしょう。
でも今はその鹿より先に、鹿ネットが憎い。
あまりイライラして草刈機を回すと怪我をしますので、そこは冷静に、冷静に! つづく…

 

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