フットハットがゆく【287】「イタチゴッコ」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【287】「イタチゴッコ」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2017年10月1日号の掲載記事です。

 

イタチゴッコ

最近、新婚の女の子から家にネズミが出て困るという話を聞いたので、僕もかつてのネズミとの格闘を思い出しました。(お食事中の方やネズミが嫌いな方は閲覧注意。)
もうだいぶ前に引っ越した家の話ですが、布団で寝ていると足元が妙にもぞもぞしたので飛び起きて電灯をつけますと、ウジ虫がたくさんいました。
身の毛がよだちました。
自分の足が腐ったのかと思いましたが、それはなく、さては布団に何かこぼしてそれにわいたかと思いましたが、それもなく、ふと天井を見るとセントラルヒーティングの壊れた通気口からポトリポトリとウジ虫が落ちてきていたのでした。

 

記憶を蘇らせるに、天井裏で小動物とそれを追いかける動物の運動会が行われていて、人間の存在などお構い無しにバタバタ走り回っていました。
ネズミとイタチですね。ネズミがいるところにはイタチがやってきます。
イタチは見た目の可愛さとは裏腹に、大変凶暴な動物で小動物を片っ端から殺すという殺戮本能の持ち主です。
だから屋根裏のネズミなど一網打尽に殺してしまいます。
一部は食べるか巣に持ち帰りますが、大部分の死骸は放っていくので、それが腐りウジがわくのです。
ネズミは様々な病原菌を持っていますので、それに触れたウジやハエも危険ですね。またそれらの動物の糞や血液目当てに他の虫、ノミ、ダニなども発生し天井裏の隙間から人間の生活テリトリーにも落ちてくるので、一旦ネズミが発生したら、もう天井裏はバイキン天国ですね。
いったんネズミが死に絶えると、イタチもこなくなります。死骸は、もともと雑菌だらけの体ですからバクテリアの分解も早く、やがて消えてなくなります。
静穏を取り戻した屋根裏に、再びネズミが侵入してきて繁殖し、それを嗅ぎつけたイタチがまたやってくるという、まさにイタチゴッコを数年サイクルで繰り返します。

 

ネズミはとにかく繁殖能力が強い生き物です。哺乳類の中ではダントツの№1ですね。
生まれてから成獣になる期間が短く、妊娠期間も短く、一年に何回も子供を産みますので、一つがいのオスメスが、計算上は一年で3000匹に増えるとも、9000匹に増えるとも言われています。
もちろん、餌の都合や生活環境、イタチのように見たら殺す天敵もいますので、実際にそんなには増えませんが、それでも条件が整えばまさに鼠算式で増えていきます。
駆除には毒餌を仕掛けることが多いですが、最近はその毒餌に対して抗体のできた「スーパーラット」なる新型ネズミもいるようで、これまで効いた毒でも死なないそうです。
スーパーラットを殺すために新しい薬が開発され、投入、大部分は駆除されても一部は抗体を作って生き残り、「ウルトララット」みたいなのが生まれるのでしょうか?
まさにここもイタチゴッコ。そのうち電子の力でしか殺せない、「スマートラット」なるものも出現するかもですね。
実際には駆除業者は薬よりも、仕掛け(粘着シート)や、進入路の密閉工事などで駆除するようです。それでもネズミはかじりのプロ、道なき壁に穴を開ける執念で、あなたの家を狙っているかも…

 

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