フットハットがゆく【282】「青春高校ラグビー」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【282】「青春高校ラグビー」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2017年5月1日号の掲載記事です。

 

青春高校ラグビー

2017年4月9日の日曜、京都の宝ヶ池球技場で、とあるラグビーの大会が開催されました。
これは、京都の高校ラグビーOBが参加する大会で、現在40代、50代の人限定の大会です。
今回が第1回目になります。僕は鴨沂(おおき)高校ラグビー部88年卒で、今年48歳の学年になります。
高校3年生の頃を18歳と考えますと、まさに、30年前の高校ラガーマンということになります。
今回僕は、ジャージは受け取りましたが、両膝ケガのため試合には出られず、撮影係に徹しました。

 

さて、集まった高校は、花園、伏見工、東山、同志社、京都商(あえて昔の校名)、洛北、大谷、城南。
参加OBが15人に満たない高校のために合同チームとして1チーム作られました。

 

試合は15分1本、チーム力が拮抗していそうな同士で3試合ずつ行い、レフリングはしっかりしますが、あえて順位は決めない、という感じでした。
とにかく、ケガをせず帰りましょう、ストレッチは入念に! を合言葉に始まったこの大会。
グランドを見ると、懐かしい強豪校のユニフォームにノスタルジーな気分が蘇りました。

 

炎天下、50点差以上でぼろ負けした黒と水色の花高のジャージ。
タックルに行って脳しんとうを起こし、帰りの道で片目が見えなくなった赤と黒の伏工のジャージ。
3年最後の試合でタックルをあごに受けて、その後1週間は水しか飲めなかった青と黄色の東山のジャージ。
高校を卒業してから10年くらいは、それらの配色を見ただけで、むしずが走るほどでした。
さすがに30年経つと、そんな思いも消えました。
あの時の勇ましい若武者たちも、いまやビール腹、ハゲ頭、白髪とシワだらけのおじさんたち。
客席から俯瞰で見ると、老兵が対峙した合戦場のようでした。

 

さて朝10時、いよいよ、第1試合のキックオフです。伏見工 対 東山。
30年前の2強で、何度京都の大会を繰り返してもこの2校が決勝、という時代がありました。
見る方もワクワク、でもさすがに50近いおじさんたちのラグビーだから、タックルは軽めかな? と思いきや、ガッシン! ドッシン! のマジ当たり、みんな口では、歳やしあかん、と言ってはいても、ボールを持てば燃え上がるものがあったようです!
現役さながらの熱い試合が展開されました。
15分1本勝負で交代自由、というルールも功を奏してか、どんどんメンバーが入れ替わり、本気モードでぶつかり合いました。
見ていて、遥か昔の青春時代を思い出して目頭が熱くなりました。
もちろん、珍プレーも続出しましたが、家族やお孫さんが応援に来られているところもあり、客席も非常に盛り上がりました。

 

50代OBによる伏見工 対 花園。
京都の代表といえば花園高校、という時代が10数年続き、その花高に100何対ゼロで負けた伏工が奮起し、数年後に花高を破りさらに全国制覇も成し遂げたという、いわゆるドラマ『スクールウォーズ』のモデルになった人たちですから、見ていて鳥肌ものでした。

 

僕は弱小高校でしたが、あの3年間は死に物狂いでラグビーをやりましたし、その30年後に、先輩からこういう大会に誘っていただけるのは、本当に幸せなことだとつくづく思いました。
当時創立間もなかった京都成章が今や不動の強豪校となり、伝統の伏見工の名前はなくなる…、そんな時代の流れも感じつつ。

 

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