フットハットがゆく【274】「五輪」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【274】「五輪」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2016年9月1日号の掲載記事です。

 

五輪

このエッセイを書いている頃はちょうどリオオリンピックフィーバーでした。
僕は仕事の方で、ロケハン中に車がオーバーヒートしてレッカー車で運ばれるわ、撮影中に右ひざの半月板を損傷して歩くのも苦痛になるわ、踏んだり蹴ったりの中、ドラマの撮影、通常のTV番組撮影は継続し、充実しすぎて忙しすぎる中、オリンピックをチェックしていました。

もともとスポーツミーハーで、オリンピックとか大好きです。
どんなスポーツも、じっくり腰を据えて見れば絶対面白い、はずなのですが、仕事が忙しすぎたので、そんなに腰を据えては見られておりませぬ…。
しかも、ひざを故障して痛みがジンジンしているので、柔道とか見るのはもう苦痛でした。
足技の小内刈りとか、小外がけとか見たら、あぁひざが痛い! と、僕が悲鳴を上げていました。

あと、体操の着地も痛かったですね。
マットがあるとはいえあの勢いで着地をしたら、ものすごい衝撃がひざに来ます。
あんなことをしたら(できないですが)、半月板損傷中の僕のひざはあさっての方を向きます。
あとラグビー、サッカー、もう痛くて痛くて…。ひざをケガしたまま、オリンピックは見るものではないですね(笑)。

地球でいうとブラジルはちょうど日本の真裏です。
日本から見ればブラジルの人は逆立ちをして歩いているというジョークがありますが、ブラジルの人も、日本人は逆立ちをして歩いているというジョークがあり、これは僕が小学生の頃ブラジルに住んでいたので、確かにそういうことを言う人はいました。
地球の引力を頭では理解しても、球体の表と裏に人が立っているという感覚はなかなか不思議ですね…というのはどうでもいいのですが、そういうことで、地球の真裏のブラジルと日本の時差は12時間。
となると気になるのがテレビの生放送、向こうの昼の競技はこちらの真夜中になるので、これを見てしまうと、次の日の仕事に差し支える…。
どうしてもLIVEで観戦したい!けど睡眠はしっかりとりたい…。

ということで僕はある観戦方法を開発しました。
実はこれはヨーロッパのサッカーを見るときに体得したのですが、夢見るように観戦する、という方法です。
布団に入って枕を高めにしてテレビが目に入るようにして、部屋は暗くして、音量はごくごく小さめ。
薄目でぼ〜っと画面を見ます。ゆっくり呼吸して、とにかく試合に集中せず興奮しない、というのが重要です。
脳には自分は寝ているのだ、と錯覚させ、ライブで映像は見ているがそれはあくまで夢の中のこと、という感覚が必要です。
ゴールが入っても喜ばない。失点しても悲しまない。
応援している選手がファールを受けても怒らない。目が覚めてしまうようなエキサイトは禁物!…

そこまでしてライブで見たいか? といわれるかもですが、まぁその方法だと次の日もしっかり睡眠が取れた気になるし、試合内容も覚えているし、一石二鳥です。
でも、昨日真夜中にリオ五輪の卓球女子団体涙の銅メダルを見て、感動して泣いてしまったので、夢見観戦は失敗でした。

 

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