フットハットがゆく【243】「夢解析」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2014年2月1日号の掲載記事です。
夢解析
先日の個人ブログより…抜粋。
2014新年の初夢は、自分の肺の中にクルマエビが棲んでいる、というものでした。
病院でレントゲンを撮ったらちゃんとキレイにクッキリ、エビが2匹写っていましたね。
このエビ2匹はオスとメスの夫婦で、僕の左肺に棲んでいました。
なぜこのような夢を見たのか完全に理由があります。
昨晩大晦日、実家で活けクルマエビを調理して食べました。
僕は魚にしろエビにしろ、活け造りというものが苦手なのですが、いざ食べるとなったら、ありがたく感謝していただきます。
昨日も生きたエビの首を切って、ピクピク動く体の皮をむき、頭は焼いて食い、一部は熱々の日本酒につけてヒレ酒風に飲み、胴体はワサビ醤油で刺身でいただきました。
美味しいのは美味しいですが、僕は昔エビを飼っていたし、エビを主人公にした小説を書いたこともあるので、生きたエビを殺して食べるというのは、やはり脳裏にインパクトを残しました。
肺に関しては、僕は2年前に肺を患ったのでその影響があるでしょう。
自然肺気胸という肺に穴が開く病気で、左肺が完全につぶれ、呼吸困難で死にそうになりました。
手術で完治はしましたが、トラウマは残り、ちょっとしんどかったり、空腹でおなかが鳴っただけでも、また肺に穴が開いたのではなかろうか、と思って不安になるという、『再び肺に穴が開くのが常に心配シンドローム』(塩見造語)なのです。
だから定期的に通っている町医者もレントゲンのあるところを選び、ちょっと心配になったらすぐ肺のレントゲンを撮ってもらうという、レントゲン依存症(塩見造語)なのです。
最近はデジカメと一緒で、レントゲンも撮ったらすぐに医院のパソコンで見られるので、便利なものです。
母親はX線を浴びすぎて体が何とかなってしまうのではないかと心配していますが、いうても半年に1回くらいのペースなので大丈夫です。
最後に、肺に入っていたのがエビ2匹、しかも夫婦だった件ですが、先月くらい、エッセイのネタにならないかなと、洞穴海老のことを調べていたので、完全にそれですね。
ドウケツエビというのは、一つの洞穴の中に一生、夫婦で暮らすというエビのことで、実在するエビです。
とてもロマンチックなエビで、婚礼のときの縁起物としても扱われますね。
実際には、カイロウドウケツという海綿生物がおり、網目筒状の深海生物なのですが、幼生のときにその網目の中に入り込んだエビが、成長するうちに網目よりも大きくなり、筒の外に出られなくなるのです。
エビ同士は互いに食い合うなどして、最終的に一つのカイロウドウケツの中に夫婦のエビだけが残るという感じです。
そんなエビのことを調べていたので、肺という閉ざされた空間に、夫婦のエビが棲むという発想につながったのでしょうね。
ということで、塩見の初夢徹底解析でした。
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