フットハットがゆく【240】|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【240】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2013年11月1日号の掲載記事です。

 

人間の祖先は猿だというのは誰もが知っていますが、では、今いる猿が何万年か経ったら人間になるのかというとそうではなく、今いる猿は進化の過程で猿であることを選択してきたので、人間にはならないのです。
進化というものは本当に面白いです。
現在、進化中の生き物と、完成系の生き物が地球上に混在しています。
一部のサメ類や昆虫は、何億年も前から同じ姿をしているそうです。
すでに完成した姿で、もう進化の必要がない生き物なのです。

逆に進化中の生き物もたくさんいます。
身近にいるものではネズミですね。
ネズミは人間によって生活範囲を広げた動物で、住む土地土地に適応して進化してきました。
そのネズミを殺そうとして殺鼠剤を使うと、ある程度は死にますが、その毒に適応してしまったネズミが出てきます。
従来の殺鼠剤が効かなくなり、新しい殺鼠剤を開発すると、また時を経て適応し、そうやって毒に対する抵抗力がどんどんとついたネズミをスーパーラットというそうです。
人間によって進化した殺せないスーパーラット、恐いですね。
マンガ「ドラえもん」の中で、未来のネコ型ロボットのドラえもんの耳はネズミにかじられた、という設定になっています。
僕は子どもながらに、未来の都市にネズミがいること自体不自然だなぁと思っていたのですが、このスーパーラットの話を聞いて納得しました。

他に身近な生物で進化し続けているのはウイルスですね。
年々新しいウイルスが発見され、人間は対応にてんてこまいさせられています。
そもそもウイルスは生き物なのか、という議論もありますし、進化するというより、ずっとどこかに潜んでいて、増殖した時に存在が明らかになる、という話もあります。
いずれにせよ、人間の生命を脅かすウイルスは、あまり進化してほしくないですね。

さて、人間は進化しているのかというと、多分急速に進化していると思います。
平均寿命も延びつつ、平均身長も伸びつつ、生命体として進化しています。
その反面、医療技術に頼りすぎて、抵抗力が落ち、便利な機械に頼って運動能力は低下している…。
スーパーラットと逆の退化ですね。
そんな人間がさらに進化するとどうなるのか、だいたいの人が想像するように、よくマンガや映画で描かれる宇宙人のような姿になるといわれます。
脳が進化して頭全体が大きくなり、頭髪は無くなり、目がぎょろっと大きくなり、体は細く手足がひょろ長くなる。
数百万年後の人間の姿を想像すると面白いです。

今いる動物も、進化の過程なのか完成系なのか考えると面白いですね。
キリンの首はまだ伸びるのか? 象の鼻はまだ長くなるのか? ライオンはいつまで肉ばっか食ってるんだろう? 魚はいつまで人間に釣られてばかりいるのでしょう? 今いる生き物が数百万年後にどう進化し、どう滅び、どうそのままなのか、興味があります。
そういうことを想像しだすと秋の夜長、眠れません。

 

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