フットハットがゆく【239】「80%の法則」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2013年10月1日号の掲載記事です。
80%の法則
腹八分目という言葉があります。
満腹食べるより、少し食い足りないぐらいが、健康にいいということです。
実際に腹八分目生活を続けると、体重が減り、血糖値、コレステロール値、血圧など、生活習慣病に関連する数値が減少するそうです。
じゃぁもっと減らせばいいじゃないかと、腹七分目、六分目と減らしていくと、こんどは栄養バランスが悪くなってしまいます。
ある研究結果では、食べ放題に食べさせたマウスに対し、80%に食事制限したマウスは、1.6倍も寿命が延びたそうです。
仕事に関しても、80%くらいがいいといわれますね。
もちろん、何事にも全力で当たることは大切ですが、常に100%、120%の力で仕事をしていては、集中力や体力が持たず、結果的にどこかで破綻する確立が高くなるでしょう。
手を抜く、という意味ではなく、どこかに心の余裕というか『あそび』がなければならないということです。
車だって、ハンドルにはしっかり『あそび』があって、ドライバーの感覚の誤差を微調整できるようになっています。
タイヤの空気だって100%入れすぎたら逆にパンクしやすい、ということになります。
スポーツ選手なんかも、この80%という言葉をよく口にします。
MLBのイチロー選手は、「練習で作った形を100%としたら70%や80%の力で結果を出さないといけません」と言っていますし、スピードスケート元世界記録保持者の清水宏保は「80%の力しか出せなくても勝てるようにする」と言っていました。
知り合いのストリートダンスのインストラクターは、コンテストに出る生徒さんに「本番では100%ではなく80%くらいで踊るように」と言っていました。
コンテストなんだから100%出し切ればいいのに、と思うのですが、がむしゃらに全力を出しすぎると音が聞けなくなり、結果、音とダンスがずれて、作品として点の低いものになってしまうそうです。
前出のアスリートの話も合わせると、いかに普段練習して、自分の中の100の水準を上げておくか、が大切になりますね。
はじめから水準の低い人が、さらに20%ダウンで本番に臨めば、当然勝てないでしょう。
80%の発想で調べていて、面白い情報に行き当たりました。
アリです。アリはせっせとよく働くことで有名ですが、最近「働かないアリ」が群れの中にいることが分かりました。
何をするでもなくうろうろしているだけの「働かないアリ」。
なんと、働きアリ80%、働かないアリ20%の割合らしいです。
そして、この働かないアリがいる方が、集団として長く存続するらしいです。
さらに面白い実験があり、働きアリだけを隔離すると、それまで働いていたアリの20%は働かなくなるそうです。
逆に働かないアリだけを隔離すると、80%は働きだすそうです。何なんですか? この80%の法則。
実はアリにも過労死があり、よく働くアリほど早く死ぬらしいです。
みんながみんな一生懸命働いて一斉に死んでは、集団としての滅亡…。働かない予備軍が働きアリとなって、死んだものの穴埋めをしていき、集団を存続させるらしいです。
その絶妙のバランスが8:2ということです。
う〜む。興味深き80%!
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