フットハットがゆく【237】「編集の取捨選択」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【237】「編集の取捨選択」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2013年8月1日号の掲載記事です。

編集の取捨選択

KBS京都で毎週木曜日深夜24時から放送中のB-TRIBE TV(ダンスTV…ストリートダンスを紹介する番組)のディレクター兼カメラマン兼編集マンをしています。
今回は編集の取捨選択を書きます。

あくび…あくびのシーンはあまり使いたくないですね。
例えば、出演者のリポートを撮って、すごくいい感じに撮れたカットがあって、そのシーンを使おうと思ってよく見ると、背景のどうでもいい通りすがりの人が、思いっきり大あくびをしていたとしたら、悩みます。
あくびというのはイメージ的に、「たいくつ」「ひま」「だるい」「ねむい」という感じなので、いずれもテレビの大敵。画面のはしっこに映り込むだけで、だるい絵になってしまうので、やはりカットしたくなります。
そのシーンをカットしたことによる、構成上の矛盾との天秤にかけて結論を出します。

くしゃみ…くしゃみの場合はおおきな音が出るので、ほぼ撮影時に気づいて撮り直します。
だから編集時にくしゃみ付きのカットを使用するかどうか悩むことは少ないですね。

酒・タバコ…うちの番組は深夜に放送していますが、録画して見るキッズたちも多いため、酒、タバコの扱いには注意しています。
ダンス番組なので夜のクラブを撮影することも多いのですが、基本的に、でろでろに酔っている人はカットします。
タバコを吸う人も、基本的にはあまり使いません。
でもたまに、非常に格好いい吸い姿のダンサーがいたりして、その時は使ってしまいます。
ちなみにこれまでタバコを吸う人を何百人と見て来て、吸い姿が本当に格好いいと思った人は2、3人です。

パンツ…女性の下着が映っていたら、基本は使いません。
短いスカートをはいた女性出演者の下着がチラッと映ってしまうことはないわけではないわけで、その場合は本当に下着が映っているのか、今はやりの下着に見えるズボンなのか、スローで何度も見直したりします。
もしギリギリセーフなら、それはセクシーショットとして使用する価値あり! ギリギリアウトなら、卑猥なショットとしてカット!
僕は自分が編集している姿で、この下着が見えているか否かのスロー確認のところは…人に見られたくありませんね(笑)。
ただ、ダンサーが舞台上で、いわゆる演出上の見せるパンツをはいている場合は使います。
あと、男子の腰パン(腰の上から見えているパンツ)も普通に使いますが、腰パンがずれて半ケツはみ出していたダンサーはカットしました。(笑)

むだ毛…そでのない衣装で踊るダンサーは多いし、ごくたまにむだ毛の処理を忘れて、カメラに映ってしまう女性ダンサーもいました。
そんなシーンが公共の電波に乗ってしまったら、その人が可哀想なので、カットしました。
後日その人に、「塩見さん、どうして私のシーン、テレビで使ってくれなかったんですか? 」と聞かれ、「わき毛が映っていたからや! 」ともいえず、「ごめんごめん、ちょっと手ブレがひどくてカットした…」と答えました。
「ちゃんと撮ってくださいよ…」といわれた時の空しさよ…。

 

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