フットハットがゆく【220】「失敗は成功!?」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【220】「失敗は成功!?」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2012年3月1日号の掲載記事です。

失敗は成功!?

2011年の暮れから2012年の2月まで、京都の吉祥院にサーカスが来ておりまして、僕は仕事(撮影)の都合上、4回観に行きました。
このサーカスは中国を母体としており、巨大テントを建てて興行していました。
僕は子どもの頃からサーカスというものが大好きで、エンターテイメントの基本だと思っていますから、何回見てもその都度勉強になることが多かったです。
今回は現場の人とも仲良くなって知ったことを書きます。
多少ネタバレの部分もあるので、これからサーカスを楽しみたいと思う人はスルーしてくださいね。

○サーカスのさくら

昔ながらのスタイルをとっているサーカスには必ずさくらはいます。
さくらというのは客のフリをして実は関係者・・・という人のことで、歓声や拍手を大げさに行って会場を盛り上げたり、素人のフリしてピエロと絡んだりします。
さくらをさくらと知ってしまうと、興ざめする場合もありますが、僕はそれも含めてパフォーマンスだと思っていますので、盛り上がれば大いにOKだと思います。
よく、「手品の種を知っていたら、手品を楽しめるか?」 ということがありますが、本当にうまいパフォーマーは、客が種を知っていようがいまいが、楽しませてくれるものです。

○失敗は成功

サーカスの団長さんに聞いた話ですが、パフォーマーがミスをすると、罰金だそうです。
自転車の曲芸乗りをして転んだら、罰金。フラフープのトリッキー技でミスったら罰金。
プロの世界はシビアです。簡単な技では客は満足しないし、難しい技にトライして失敗したら罰金。
そのギリギリの境目を見極めるのは難しいものです。

ところが、あえて失敗する場合もあります。
それは、失敗した方が客が興奮する場合です。有名な話は『綱渡り』。
ミスなしで成功してしまうより、わざと失敗して高い綱から落っこちかけた方が、客はハラハラドキドキ、悲鳴と歓声をあげます。
客を盛り上げるという意味では、失敗が成功なのです。
ということで今回のサーカスの危険なスタントショーで、同じ人が同じ場所で同じ失敗をするシーンを4回見ましたが、毎回客は盛り上がっていました。
ちなみに僕自身も3回目まで演出と気付かず、あぁ、あの人毎回失敗して罰金だらけでかわいそう・・・と思っていました(笑)。

○子どもたちの学校は?

10才の軟体少女や、12才の空中ブランコ少年がサーカスにはいました。
みな、中国からやって来ています。
サーカステントの裏側をのぞくとコンテナがたくさんあり、そこに団員が住んでいて、子どもたちも舞台衣装のまま洗濯などしておりました。
思わずチャップリンの映画『サーカス』を思い出しました。
さてここで普通に疑問になるのが、何ヵ月もの日本公演の間、子どもたちの学校は?
団長さんに聞いた話では、中国の法律による教育資格を持った方が帯同していて勉強を教えているそうです。
もっとも、子どもたちは勉強したがらないそうですが・・・(笑)。
ちなみにその子たち、国の両親より稼ぎがいいそうです。

 

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