フットハットがゆく【210】「死と恩2」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【210】「死と恩2」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2011年5月1日号の掲載記事です。

死と恩2

ふと、生き物の寿命について調べた前回、今回もその続きです。

なんだかんだといって、平均寿命が一番長いのは人間ではないかと思います。
平均寿命が仮に70年だとして、この平均というところが大きいのです。
自然界の生き物は、生まれて間もなく命を落とすものが大多数ですから、平均、という観点ではかなり低くなります。

たとえば、マンボウという海水魚ですが、寿命はだいたい20年といわれています。
この魚のすごいところは、脊椎動物最高といわれる卵の数で、一度に3億個産むといわれています。
マンボウは成長すると3mくらいの大きさになりますから、産まれた卵が全部成長したら、まぁ海という海がマンボウだらけになってしまいます。
そうならないのは、卵や稚魚の時代にほとんど他の魚に食べられてしまうからで、3億のうち数匹しか成魚になれないといわれています。
ということはですよ、仮に10匹が20年生き残るとして、他の2億9999万9990匹のマンボウが卵や稚魚の間、つまり0歳で死んだとするならば、マンボウの平均寿命は…0・0000007歳。よくわからない数字になってしまいましたが、とにかく、生命体として生きる可能性を持って産まれたにもかかわらず、ほとんどが世に放たれた瞬間に死んでいくのです。
逆に、生き残ったマンボウ1匹は、3000万分の1の確率で生きているわけです。
首都圏の人口のうち、たった一人が生き残る、という感覚でしょうか? まさに奇跡的な存在です。
そのマンボウは人間のかけた定置網などで混獲され、鮮度が落ちると臭みが出てまずいため市場に流通することはないと、WEB辞書に書いてありました。
首都圏で1人生き残るくらいのミラクル生命を、人間様は意図せず殺し、それを不味いと片付けるわけです。

話が脱線しました。
まぁ、マンボウの例は極端にせよ、仮に人間と同じくらい生きる自然界の生命体があったとしても、生存確率自体は低いので、平均年齢はぐんと下がるということです。
たとえば、長寿の生き物というと、やはりカメ、それもゾウガメの種類は100年以上生きるものが多いです。
中には250年生きたという記録もあり、地球上の最高齢生命体であったことは確かでしょう。
しかしそんなゾウガメも、平均寿命はおそらく人間より低いと思われます。
リクガメであるゾウガメが生きていける条件はずばり、天敵がいない、ということです。
天敵のいない島に移り住み、そこで長寿を全うしていたのは大昔のことで、大航海時代に人間という天敵が現れて以来、乱獲! 乱獲! また乱獲!
なんせ、動きが鈍いので捕獲が簡単、しかも美味、しかも捕獲後えさを与えなくても長く生きるので、いつでも新鮮な肉として食えるという、帆船時代の人間には超好都合な生命体。
乱獲しすぎて絶滅した種も多数。
結局、人間という天敵出現で、その平均寿命を著しく下げたわけです。
人は誰だって長生きしたいし、頑張って生きています。でも数々の犠牲の上に成り立っているということを忘れずにいきたいものです。

 

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