フットハットがゆく【190】「魚くん2」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【190】「魚くん2」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2009年10月16日号の掲載記事です。

魚くん2

魚が一生いいそうもない言葉…「のどかわいた…」。
逆に、魚がしょっちゅう使っていて人間が一生いいそうもない言葉…「背ビレかゆい」。

関西人なんかはちょっと走ったりして呼吸が乱れると、「肺がエラい」といったりしますが、これ魚の場合だと、「エラがエラい」ってことになり、その言葉も人間は一生使わないでしょうね。
あと何ですか、エラが機能マヒを起こした際、「エラ・エラー」なんて魚たちはいうでしょうが、それも人間は使いませんね。

さらに、魚がいったら面白いだろうなぁ、って言葉を並べてみます。

「ツメ切り貸して…」
ないない。魚にツメないでしょ!指そのものがないし。

「耳掻き貸して…」
耳もないって。いや、あるにはあるけど、いわゆる動物のような「これが耳」っていう外見上ハッキリ分かる耳(外耳)はないんです。
水中は空気中よりも音が伝わりやすいので、泳ぐのに邪魔になる外耳は必要ないんですね。

「浮き輪 貸して…」
あんたすでに持ってるでしょ! 魚は体の中に浮き袋を持っていて、それで浮力を調節するんです。
魚の仲間でもサメなんかは浮き袋を持っていませんね。
だから常に泳いでいないと沈んでしまい、呼吸も出来なくなって死んでしまいます。
寝ている間も泳ぎ続けるわけですから、そんな彼らがいわない言葉は「まくら貸して…」になりますね。

「おれ、カナヅチやねん…」
魚でカナヅチっておかしいでしょ! カナヅチっていうと泳げない人のことですから、魚がそれだと致命的じゃないですか。
あ、でも「ハンマーヘッド シャーク」っていうサメはいますね。
直訳すると「カナヅチ頭のサメ」で、和名「シュモクザメ」のことです。
彼が「おれ、カナヅチやねん…」といっても一応まぁ筋は通りますがね…。
ちなみに、頑固で融通のきかない人のことを「カナヅチ頭」といいますから、もしそういう頑固な魚がいたら彼もカナヅチってことになりますね。あぁややこしや。

「ギョッ!」
魚が驚いた…「ギョッ!(魚)」っていうオヤジギャグは昔からありますねw。
じゃぁ漁師さんが驚くとどういうでしょう?…答えは「ギョギョッ!(漁業)」です。
魚が気合い入れる時は「ウオーッ!(魚)」って叫びます。
エイの場合は「エイエイオーッ!」。サメは「さめざめ」泣きます。
座っていてもタチウオ。寝ていてもオキアミ。明るくてもクラゲ。東を向いてもニシン。みすぼらしくてもカレイ。二匹でもサンマ。千匹でもマンボウ。理解してもゴカイ。火を通してもナマコ。タラの肝臓はタラレバー…。

いつもこういうアホらしいことを考えているわけではないのですが、ぼく、枕元に水槽置いてますんで、秋の夜長にふと眠れなくなると、寝酒ちびちびやりながら魚を眺め、ぼーっとそういうことを考えたりします。
これを、「魚<さかな>を肴<さかな>に飲む」といいます。

さかなクン 1975〜 タレント兼お魚らいふコーディネーター。五千種以上の魚の知識を持つ。

さかなクン 1975〜 タレント兼お魚らいふコーディネーター。五千種以上の魚の知識を持つ。

 

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