フットハットがゆく【189】「あつッ、悲鳴」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2009年10月1日号の掲載記事です。
あつッ、悲鳴
先日の日記より…
昨日の打合せでプロデューサーのN氏が、「スタッフを集めて『ブレスト』で会議をしたい」といったので、『ブレスト』とはなんぞや?と悩みました。
僕は昔、競泳をやっていたので『ブレスト』といわれるとそれは『平泳ぎ』のことです。
平泳ぎで会議とはどういう意味だ?足も手も開いて、オープンな会議って意味?
結局よく分からなかったので「『ブレスト』って何です?」と聞いたところ、『ブレイン ストーミング』=批判、否定的な意見は出さずに、とことんアイデアを出し合う会議方法…とのことでした。
ふむふむ、なるほど、勉強になりますね…。
さて話変わって、先ほど友人のダンサー、Iくんのブログを読んでいると、昨日、『セアカコケグモ』らしきクモに刺された、と書いてありました。
『セアカコケグモ』とは、近年日本に発生した外来種の毒蜘蛛で、関西を中心にたびたびニュースにもなりました。
Iくんはあつッと悲鳴を上げて大騒ぎしたようですが、読んでいるとどう考えても『セアカコケグモ』ではなかったし、それよりも僕が気になったのは、『セアカコケグモ』だったか『セアカゴケグモ』だったか?というところです。
『コケ』か『ゴケ』か? というところです。僕の記憶では確か『ゴケ』だったような…。
昔、『ジョロウグモ(女郎蜘蛛)』のことをずっと『ジョウログモ』って間違えてましたからね。
こういう虫1匹の名前でも気になるんです。
『コケ』なのか『ゴケ』なのか、『苔(こけ)』なのか『苔』がなまって『ゴケ』なのか、『転<こ>ける』か『痩<こ>ける』からきた『コケ』なのか?
で、調べましたところ、正解は『セアカゴケグモ』で、『後家(ごけ)』でした。
『背(せ)の赤(あか)い後家(ごけ)の蜘蛛(くも)』ということです。『後家』というのはいわゆる未亡人のことで、夫をなくした妻のことです。
で、夫がもしその蜘蛛に刺されると毒で死んでしまい妻が後家になる…という俗説、あるいはその蜘蛛はメスが非常に強く、交尾のあとにメスがオスを喰ってしまい結果的にメスが後家になるとか、とにかく外来種で英名が『widow spider』…直訳して『後家 蜘蛛』だそうです。
苔が生えるような場所に棲んでいるから苔蜘蛛かと思いきや、実は後家蜘蛛だったんですね。
カタカナにすればたった点々ふたつの違いですが、その意味はずいぶん違いますね。(笑)
余談ですが、ダンサーのIくんの奥さんは、これまた元ダンサーのNちゃんで、僕は昔から彼女のファンだったので、 Iくんがゴケグモに刺されてNちゃんが後家さんになったら僕個人は嬉しいです。
でもそれは望めそうにありません。
なぜならIくんは普通のクモをゴケグモと間違い、さらにそれをコケグモと書くようなズッコケ者ですから、その性格上とても長生きしそうな感じなので…(笑)。
※日本に侵入したセアカゴケグモは毒性が弱く人が死亡した例は聞きませんが、海外では致死毒を持つゴケグモもいるそうなのでお気をつけ下さい。
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