フットハットがゆく【123】「無事、火急時」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【123】「無事、火急時」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2006年12月16日号の掲載記事です。

無事、火急時

僕の趣味はスポーツ観戦なので、今年一年のスポーツを振り返ってみたい。

まずは2月に行われたトリノオリンピック。
荒川静香選手の金メダルにはとにかく感動した。たしか朝方までテレビ観戦した。
試しにイナバウアーに挑戦してみて、腰をグキっとやってしまい改めて荒川さんの凄さを実感した。

3月は、WBC!
ワールドベースボールクラシックでの王ジャパン優勝は、感激の嵐だった。
二次リーグでの日本vs韓国戦、僕は仕事中にも関わらず携帯で逐一経過をチェックしていた。
そして負けが決まった瞬間、思わず絶叫してしまいスタッフに迷惑をかけてしまった。
その時点で日本が決勝リーグに勝ち進む確率はほんの数パーセントとなってしまったが、しかし翌日奇跡が起きた。
なんと同グループのアメリカがメキシコにまさかの敗退、日本が決勝リーグ進出を果たした。
オールメジャーリーガーで優勝候補最右翼だったアメリカがまさかメキシコに負けるとは、世の中わからないものだ。
決勝リーグでは今大会2度負けている韓国に快勝、決勝でキューバも退け歓喜の胴上げへ!
あのクールなイチローの、無邪気に喜ぶ姿が忘れられない。

さて、6月になるとお待ちかねのサッカーFIFAワールドカップドイツ大会が開催された。
僕は再三このコラムでも『ドイツに観戦に行く!』と宣言していたのだが、チケットがとれず断念。京都のスポーツバーで観戦した。
とにかく日本のふがいない戦いに、ストレスが溜まった。
バーでも応援というよりほとんどヤジのようになってしまい、まわりの客に迷惑をかけてしまった。
それにしても、スクリーン画面に向かって声がかれるまで絶叫する30代後半のおっさんも、なかなか元気なもんや。
あのクロアチア戦でのゴールキーパー川口のPK阻止のシーンは、当分の間忘れないだろう…。

ワールドカップが終わり、中田英寿選手の引退が発表されると、なんか、僕自身も抜け殻のようになり、スポーツ観戦意欲も低迷…。
そんななか僕をまた熱くしてくれたのが、高校野球夏の甲子園、早稲田実業と駒大苫小牧である。
ご存知ハンカチ王子こと早実の斎藤くんはマスコミに騒がれ過ぎてかわいそうだった。
心ない評論家からは批判もされていたが、そういうひとに限って野球のことをよく知らないし、実際に試合も見ていない。
もしあの延長15回、引き分け再試合に至る田中、斎藤両投手の真っ向勝負を見たならば、誰だって興奮せずにはいられない。
し、わしもミーハーだから青いハンカチ欲しくなったで!

秋には我が阪神タイガースの猛追及ばず中日にリーグ優勝を譲ってしまった。
しかしそれにしても、今年の藤川球児投手の速球はもの凄かった。
あの清原選手に「火の出るような豪速球」といわしめたストレートは魅力。
阪神の火急のピンチもまさに炎をもって火消し、無事を保つという、まさに頼りになるファイアマン。
ちなみに、藤川投手は僕が来年最も生で見たいアスリートである。あぁ来年のスポーツも楽しみやな!

藤川球児 1980〜 高知県出身のプロ野球選手。阪神タイガース所属。

藤川球児 1980〜 高知県出身のプロ野球選手。阪神タイガース所属。

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