フットハットがゆく【118】「鋭敏シャン」|MK新聞連載記事

よみもの
フットハットがゆく【118】「鋭敏シャン」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2006年10月1日号の掲載記事です。

鋭敏シャン

久しぶりに会った知人(20代の女の子)の髪型がかわっていたので、「お、髪型かえたん? かわいいやん…」といったところ、「エクステみたいでしょ?」といわれた。
僕はその『エクステ』という言葉を知らなかった。
ドリカムやらマイラバ(ふ、古い…)的なバンド歌手の略語かなと思い、「え? それ、最近の人?日本人?」と聞いてしまった。
女の子はもちろん「は?」という顔。
正直にエクステがどんなんか知らない、といったところ、「ヘア・エクステンションのことですよ」という答えだった。
ちなみにその言葉も知らなかったので、もっと詳しく聞くと、おしゃれ用の「つけ毛」ということであった。
茶髪であったり、くりくりにカールしてあったり、エクステは若い女の子にとって大きなファッションアイテムなのである。
彼女がいったのは「この髪型はつけ毛みたいに見えるけど、実は地毛なんですよ…」という意味だったのだ。

さて、僕は嬉しがりなので、そういう言葉を覚えるとすぐに使いたくなる。
そしてつい先週のこと。仕事が忙しくて散髪に行けず、ぼさぼさになった頭で人に会ったら、「ずいぶん髪が伸びましたね!」といわれた。
ここぞとばかりに、「おう、実はこれエクステやねん」と冗談でいってやった。
「どこがエクステやねん!」とつっこんでほしかったのだが、その人は「エクステって何ですか?」と聞き返してきた。
「つけ毛のことや!」というと、その人は目を丸くして「へ〜」といった。
そしてどぎまぎした目線で「知らなかったもので、すみません…」といった。
その人の発想では、「男のつけ毛=かつら」だったようだ。

さて今、若い女性のファッションリーダーといえば、「エビちゃん」である。
エクステがわからない世代にしてみれば、え?市川海老蔵(イチカワエビゾウ)?蛭子能収(エビスヨシカズ)?とか思ってしまうのだが、それはエビ違い。
「エビちゃん」とは雑誌「CanCan」の専属モデル、蛯原友里(えびはらゆり)さんのことで、某ハンバーガー店のエビバーガーのCMで一躍全国規模の人気者になった。
化粧品からお菓子まで、若い女性がターゲットの商品CMは総なめ状態。
シャン(美人)に鋭敏な人もそうでない人も、「エビちゃん、エビちゃん」と騒いでいる。
かくいう僕も嬉しがりなので、化粧品メーカーのホームページに行って「エビちゃん」の壁紙をダウンロードしたりして、時代に乗り遅れないようにしている。

明らかにエビちゃん意識の若い女の子と仕事で一緒になったりすると、「よ! エビちゃんに似てるね!」といいたくなるが、最近の子はプライドが高いので具体的な名前を出すといやがる場合がある。
そんな時は、
「お! なんかCanCanのモデルになれそうやなぁ!」と褒めることにしている。

ちなみに、サッカー日本代表監督に新しく就任したイビチャ・オシム氏は、一部マニアの間で「イビちゃん」と呼ばれている。

蛯原友里 1979~ 宮崎県出身のファッションモデル。通称「エビちゃん」

蛯原友里 1979~ 宮崎県出身のファッションモデル。通称「エビちゃん」

田舎暮らし公開中! YouTube『塩見多一郎』で検索!

 

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

フットハット バックナンバー

この記事が気に入ったらSNSでシェアしよう!

関連記事

まだ知らない京都に出会う、
特別な旅行体験をラインナップ

MKタクシーでは様々な京都旅コンテンツを
ご用意しています。