フットハットがゆく【111】「上昇陣」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2006年6月16日号の掲載記事です。
上昇陣
僕がこの原稿を書いているのは6月8日…FIFAワールドカップの開幕前夜。
これが紙面になる頃、いったいどんな展開になっているのだろう?
今回は現地に行けずテレビ観戦のみだが、あぁ、眠れない日は続きそう…。
今日は実際に現地観戦したフランス大会(1998年)の思い出を書く。
8年前のワールドカップフランス大会は、日本が記念すべき初出場を果たした大会で、岡田監督が率いていた。
カズ、北沢といったJリーグでも人気のドーハ組を外し、城、ロペス、のツートップで臨んだ。
中心選手はいわずと知れた若き日の中田(英)。
センターバックに井原、左サイドに相馬、突撃隊長にゴン中山、スーパーサブに野人岡野、というようなメンバー構成だった。
当時18歳の小野伸二も控え選手として登録されていた。
日本が入ったグループには優勝候補のアルゼンチン、今回も同グループのクロアチア、そしてジャマイカがいた。
3戦のうちの緒戦アルゼンチン戦と、第2戦クロアチア戦を僕は現地で見た。
アルゼンチン戦は、南フランスのトゥールーズで行われた。
南フランスはとてもいい。気候がよく、街・風景が美しく、食べ物がおいしい。
おまけに美人が多いときている。ぜひ、もう一度行きたい…。
さて、試合会場に行くと、『チケット問題』で観戦チケットを持たないサポーターが会場の外にあふれかえっていた。
そんな中には、本来1万円程度のチケットをダフ屋から30万円で買っている人もいた…。
ピッチに最初に選手が現れた時、アルゼンチンの選手は赤いシャツに黒いズボンを着ていた。
僕は「今日はサブユニフォームか…」と思ってがっかりした。
ところが練習が終わり、いったんピッチから引き上げ、再度正式に入場してきた時、アルゼンチンのユニフォームは白と水色のストライプになっていた。
あのマラドーナを生んだあのアルゼンチンのあのカラーである。
「あぁ、本当にワールドカップでアルゼンチンと試合するんや!!!」と大変感動し、異様に興奮し、その時点で泣きそうになった。
試合内容は興奮しすぎてほとんど覚えていない。
結果はバティにゴールを決められ、0-1で惜敗した。
0-5で負けても不思議ではないと思っていたので、0-1は善戦だと思うけど、それでも負けは負け、とても悔しかった。
クロアチア戦は、ナントという街で行われた。
クロアチアのサポーターはめちゃめちゃ大柄で、小柄な日本人をおおいに馬鹿にしていたので、ぜひサッカーでは勝ってほしかった。
席に着くと城彰二のファンの女の子から「入場の際これをまいてくれ」と、『城彰二』と判のついた青紙をもらった。
この日はとにかく暑かったので、相手選手たちは後半バテバテ、日本にも勝てそうなチャンスはあったのだが、あぁ残念…相手エース、スーケルにゴールを決められ、0-1で負けた。
実際に現地でWCを見たことがあるだけに、今回ドイツ行きのチケットを手にしたサポーターが本当にうらやましい!
常勝軍団ブラジルを撃破し、上昇していく日本陣を見たい、見たい! 見たい!
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