京都で蓮を見るなら「法金剛院」の早朝拝観!美しく開花する理由とは
目次
京都で「花の寺」といえば法金剛院です。7月の蓮(ハス)の開花期には、早朝7時から拝観できる「観蓮会(かんれんえ)」が開かれることで京都でも法金剛院の名は良く知られています。
早朝に開花し、昼ごろには元気がなくなってしまう蓮は、早朝のうちに見るに限ります。
蓮の開花は京都で最も暑い時期なので、法金剛院の早朝拝観で少しでも涼しい時間帯に観光できるのもうれしいですね。
2023年は7月8日(土)から30日(日)まで法金剛院で朝7:30から観蓮会が開催予定です。
夏の花、蓮(ハス)について
早朝に訪ねたい蓮(ハス)の花
夏を彩る花の代表といえば蓮(ハス)の花。
京都では7月に入ると咲き始めます。
蓮(ハス)は古くから清浄の象徴として仏教とも縁が深く、仏像を支える蓮台は、文字どおり蓮(ハス)の花を模したものです。
極楽浄土に咲く花とされ、実際に蓮(ハス)が一面に咲き誇る光景は「浄土」のようです。
蓮の地下茎はレンコンとして食用になります。
蓮は早朝に開花し、昼ごろには元気がなくなってしまう花です。蓮を見るなら朝のうちがおすすめです。
朝のうちの美しい蓮を見られるように、法金剛院では観蓮会を開催してくれます。
法金剛院の「観蓮会(かんれんえ)」
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夏の風物詩、観蓮会とは
法金剛院は、普段は9時開門ですが、蓮の開花期にあわせて「観蓮会」として7:30から早朝拝観ができます。
2023年は、7月8日(土)から30日(日)まで法金剛院の観蓮会が開催されます。
観蓮会とは、蓮を楽しむ行事です。江戸時代から始まった夏の風物詩です。
拝観情報
開苑時間 | 2023年6月15日~7月7日 平日 9:30~12:30(受付は12:00まで) 土日 9:00~12:30(受付は12:00まで)2023年7月8日~30日(観蓮会期間) 7:30~12:30(受付は12:00まで) |
拝観料 | 大人 500円 小中高生 300円 |
TEL | 075-461-9428 |
住所 | 京都市右京区扇野町49 |
アクセス | JR「花園」より徒歩3分 |
公式ホームページ:法金剛院 | 関西花の寺 第一三番霊場
珍しい観蓮会
京都には法金剛院以外にも蓮で知られる寺社が多くあります。
蓮が最も美しいのは朝のうちですが、法金剛院をのぞく多くの寺社が開門になる9時や10時には既にピークは過ぎてしまっています。
そこで、法金剛院では、蓮の開花にあわせて観蓮会として早朝開門しています。京都の寺社でもわざわざ観蓮会のように、蓮のためにそこまでやってくれているのは法金剛院くらいです。
なお京都の法金剛院など寺社以外では、京都府立植物園や宇治市植物公園でも2~3日の短期間だけですが観蓮会として早朝開園が行われます。
いずれにしろ観蓮会として長期間の早朝開門をやっているのは京都では法金剛院のみです。
蓮の観蓮会と同じように、梅の観梅会(小野隨心院など)や観桜会(京都府庁や毘沙門堂など)もありますが、全国的に見ても観蓮会が最も多く開催されています。
日本人は蓮の花が大好きなのです。
猛暑の京都でも涼しい早朝
最近の京都は7月でも昼間は35度を超える猛暑日が普通になってきましたが、さすがに法金剛院で観蓮会の行われる早朝はひんやりとし、快適に蓮を見ることができます。
例えば、7月17日の京都の時間ごとの気温の平年値は
7:00 25.2度
14:00 30.9度
と、6度も低いです。
とはいえ、法金剛院の観蓮会の早朝でも京都で長時間直射日光を浴びると危険なことは間違いありません。
場合によっては早朝といえども暑さ対策もお忘れなく。
法金剛院内各所に咲く蓮
法金剛院を「蓮の寺」にしたのは、住職だった川井戒本さんです。
川井戒本さんは1998年~2000年には律宗総本山の唐招提寺長老も務めました。
2022年8月13日に99歳で亡くなりました。まるで蓮のシーズンが終わるを待っていたかのようです。
川井戒本さんは、蓮の研究や普及活動を行う京都花蓮研究会の顧問も務めていました。
境内案内
京都市右京区花園にある法金剛院。
「花園」という地名自体が古くから京都でも花で知られる法金剛院に由来するものです。
法金剛院の拝観は丸太町通に面している南側の表門から入り、中門内に拝観受付があります。
主役である蓮は、法金剛院の苑池内と礼堂東側に並べられる鉢植えで咲いています。
苑池の北にあるのが有名な法金剛院庭園の「青女の滝」です。
礼堂(らいどう)前の鉢植えの蓮
鉢植えの蓮が並ぶ新しい蓮スポット
早朝7時ぴったりに法金剛院へと到着(2023年の開門は7:30)。
開門されたばかりの法金剛院観蓮会・早朝拝観受付を過ぎ、観蓮会が行われている法金剛院の境内へと入ります。
参道を進んで苑池に突き当り、左に曲がるとずらりと並んだ鉢植えの蓮(ハス)が目の前にあらわれます。
もとは法金剛院でも蓮は苑池にしかなかったそうですが、鉢植えの蓮を置き始めたところ人気となり、どんどん増えていったそうです。
まずは本堂の仏殿に参拝
蓮が主役の観蓮会なので、すぐにでも蓮を楽しみたいのもやまやまですが、まずは法金剛院の礼堂から仏殿へ向かいましょう。
寺社を拝観するときは、まず本堂(本殿)からお参りするのがマナーです。
法金剛院には、本堂という名称のお堂はありませんが、礼堂が法金剛院の本堂に相当します。
礼堂とは、普通は本堂の前の礼拝用のお堂のことです。
1970年前後の丸太町通りの拡幅工事のため、法金剛院の境内南側が削られた際に本堂が移築され、礼堂と改称されました。
あわせて法金剛院の本尊である阿弥陀如来坐像は新築されたコンクリート造の仏殿へと移されました。
通常は仏殿が本堂のことを指しますが、法金剛院の仏殿は収蔵庫の役割を果たしています。
そのため、実質的に法金剛院の本堂ではあるものの、本尊が安置されていない本堂を礼堂と改めたのでしょう。
移築とあわせて、西側の双ヶ岡側を向いていた法金剛院の本堂は、東側の苑池側向きへと改められました。
蓮に背を向けて、収蔵庫の仏殿内に安置されている法金剛院のご本尊である阿弥陀如来をお参りします。
法金剛院の阿弥陀如来像は平安後期の作です。
典型的な京都の定朝様(じょうちょうよう)の仏像として重要文化財に指定されています。
法金剛院のご本尊の穏やかなお顔とたおやかな体に心が癒されます。
仏殿の法金剛院のご本尊のお参りを終え、礼堂前に並ぶ蓮を楽しみましょう。
鉢植えならではの、下から見上げた蓮の花。
青い空に映えます。さすが観蓮会。
見頃が長く続く鉢植えの蓮
法金剛院では実に90品種もの蓮(ハス)が早朝から咲きます。
順次開花する鉢植えの蓮(ハス)は、観蓮会の7月上旬から下旬まで見頃が続きます。
法金剛院の蓮はレンコン用ではなく、観賞用品種の花蓮(ハナハス)です。
赤に白に一重八重、様々な色、形の蓮(ハス)が法金剛院を彩ります。
一部を除いて蓮の品種名が書かれていないのは少し残念です。
法金剛院の鉢植えの蓮の見頃は、7月上旬~下旬と観蓮会の期間いっぱいです。
実際、観蓮会中だといつ訪れても見頃の蓮が出迎えてくれます。
京都の法金剛院では開花状況に応じて観蓮会中は蓮(ハス)を入れ替えてくれているのかもしれません。
ありがたいことです。
苑池の蓮(ハス)
法金剛院の苑池の蓮の見頃は7月中旬です。
苑池の蓮は、鉢植えと違って開花状況によって入れ替えることはできません。
年によっては、法金剛院の観蓮会のはじめごろには見頃前で、終わりごろには早朝でも見頃過ぎになっていることもあります。
とはいえ法金剛院でも蓮の品種によってばらつきがあります。
1つの茎から2つの花が咲くという珍しい蓮である「双頭蓮(そうとうれん)」は、開花期は7月の初めごろです。
双頭蓮は、法金剛院の観蓮会が始まってすぐくらいに行かなければ見ることはできません。
蓮と言えば、見た目だけではなく甘く爽やかな香りも魅力です。そよ風とともにもわっとするくらいの香りが法金剛院の境内のあちこちを包みます。
法金剛院の観蓮会では、視覚と嗅覚で極楽浄土へといざなわれます。
法金剛院の苑池を中心とした池泉回遊式庭園は、京都の典型的な浄土式庭園として知られます。
しかしこの時期は一面大きな蓮の葉で覆われていて水面が見えません。元気すぎる蓮によって、他の季節とは様相が異なります。
関西花の寺二十五ヶ所にも選ばれる法金剛院
法金剛院は、関西花の寺二十五ヶ所の第13番霊場に選ばれています。
二十五ヶ所のうち、蓮がメインで「花の寺」に選ばれているのは、実は法金剛院だけです。
その意味では関西でも随一の蓮が美しいお寺と言ってもおかしくはないでしょう。
意外なことに、関西花の寺二十五ヶ所選ばれている京都のお寺も、法金剛院だけです。
関西花の寺二十五ヶ所は、それほど歴史があるものではなく、1993年に始まったまだ新しいものです。
しかし、今や二十五ヶ所を何回かに分けて順番に巡る日帰りバスツアーが人気を博しています。
専用の御朱印帳も人気を集めています。
第1番霊場は、「丹波あじさい寺」として知られる丹州観音寺です。
2023年6月10日には、丹州観音寺で三十周年記念法要が営まれました。
蓮(ハス)以外も美しい「花の寺」
法金剛院は、関西花の寺にも選ばれるくらいなので、蓮(ハス)だけでなく同時期に多彩な花が早朝から咲いています。
法金剛院の境内図前のアジサイが出迎えてくれます。
アジサイも雨に濡れて美しいです。
受付からの参道は、雨に濡れたオニユリが彩ります。
法金剛院から歩いて10分も離れていない妙心寺退蔵院も蓮で知られます。
あわせて行ってみましょう。
法金剛院(ほうこんごういん)とは
法金剛院について
平安時代の初めの貴族である清原夏野の山荘だった地に、大治5年(1130年)、鳥羽天皇の中宮である待賢門院璋子(しょうし/たまこ)が寺院を建立したのが法金剛院の始まりです。
璋子は、2012年の大河ドラマ「平清盛」では檀れいさんが演じました。崇徳天皇と後白河天皇の生母です。
法金剛院境内の庭園にある青女の滝(せいじょのたき)は、日本最古の滝石組として特別名勝に指定されています。
春は待賢門院桜、夏は蓮(ハス)が有名で法金剛院は「関西花の寺二十五ヵ所」の第13番霊場にも選ばれています。
法金剛院は、京都でも珍しい律宗(りっしゅう)の寺院です。
律宗は、鑑真が中国から伝えたことに始まる南都六宗のひとつで、奈良の唐招提寺(とうしょうだいじ)が総本山です。
律宗は全国でも26箇寺しかありません。京都では法金剛院の他には壬生寺くらいです。
創建当初は四宗兼学の寺院でしたが、13世紀に唐招提寺の円覚によって再興されました。
特別名勝の「青女の滝」
特別名勝に指定されている法金剛院の滝石組「青女(せいじょ)」の滝。
日本最古の人工滝と言われ、国の特別名勝に指定されています。
特別名勝は、京都でも龍安寺石庭や天龍寺曹源池庭園、天橋立などわずか14件しか指定されていません。
数でいえば17ある世界遺産「古都京都の文化財」よりも希少価値が高い文化財と言えます。
今回のテーマは観蓮会なので、青女の滝については簡単に触れるだけにしますが、観蓮会の法金剛院にはそんな貴重な京都の文化財があるのです。
青女の滝は長らく土に埋もれていたのが丸太町通の拡幅に伴う調査で1968年に法金剛院で発掘され、今のように整備されました。
もともと薮の中に巨石が2つあるのは知られていましたが、発掘調査によりさらに地中に三個の石があり、二段の滝石組であることが判明しました。
大きさからも位置からも長承2年(1133年)に築かれたことが「長秋記」にも記載されている青女滝であることが明らかになりました。
平安時代の滝石組が完全な姿で残っているのは青女滝しか例もなく、しかも作られた経緯も記録に残っているというきわめて貴重なものです。
1987年に国の特別名勝に指定されました。
数年前までは水は流れておらず、大雨の直後だけ往時のように滝が見られると聞いていましたが、常時水が流れるようになりました。
おわりに
暑い京都の夏は涼しい早朝がおすすめです。かぐわしい香りとともに咲き誇る法金剛院の観蓮会で視覚と嗅覚で早朝から楽しんでください。
早朝7時の観蓮会で法金剛院まで行くのは大変だという方は、24時間営業のMKタクシーが便利です。京都在住や京都泊でも早朝7時はなかなかしんどいです。
MKタクシーなら迎車料金も不要です。
MKタクシーのご予約は075-778-4141まで
便利な配車アプリも是非ご利用ください! → MKスマホ配車
京都観光には観光貸切タクシーもおすすめです。
法金剛院以外の2023年の早朝開園情報
京都市内で蓮の早朝拝観を行っている寺院は法金剛院だけですが、その他に早朝開園を行っている植物園があります。
2023年の情報を紹介します。
宇治市植物公園(7月15(土)・16日(日)・17日(月祝)「観蓮会」開催)
例年7月中旬に宇治市植物公園で開催されている「観蓮会(かんれんかい)」。
2023年は各種イベントも例年通り開催予定です。
公式ホームページ:宇治市植物公園(公式ホームページ)
京都府立植物園(7月7日(金)~9日(日)「観蓮会~蓮を楽しむ3日間~」開催)
例年開催の碧筒杯、折り花等も4年ぶりに開催されます。
公式ホームページ:京都府立植物園 Kyoto Botanical Gardens/京都府ホームページ
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