梅の花に集まるメジロなどの小鳥たち|ヒヨドリ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリも
目次
梅といえば、美しい見た目と華やかな香りとともに、梅に集まる鳥たちが魅力です。
梅を大好きなのは、人だけではありません。鳥たちも梅の蜜は大好物です。
梅の蜜を求めてちゅんちゅん飛び回るメジロなどの小鳥の姿は見ていて飽きません。
小鳥が梅に集まる理由や、梅に集まってくる小鳥たちを紹介します。
梅に集まる小鳥たち
梅の蜜は小鳥たちの大好物
花樹は、主に鳥媒花と虫媒花にわかれますが、梅は鳥媒花です。
鳥たちが梅の蜜を吸うときに体に花粉を付着させ、別の花へと運んでもらことで繁殖します。
鳥がいなければ、梅は子孫を残すことができません。
梅の蜜は鳥たちを呼びよせるだけの魅力を備えています。蜜の量も味も鳥を引き寄せるために進化してきました。
梅の蜜を求めてたくさんの小鳥たちが群れ集います。
かわいい小鳥がちゅんちゅん飛び回る光景は、梅ならではの魅力です。
梅が早春に開花するのも鳥のため
梅が桜をはじめとした花樹と比べて早く開花するのも、鳥媒花であるためです。
梅が開花する早春は気温が低く、まだミツバチをはじめとした虫たちはあまり活動していませんが、小鳥は年中活動しています。
多くの虫媒花が開花前の早春は、いち早く開花した梅の独壇場となります。
先駆けて咲いている梅には、多くの小鳥が群がり、効率的に子孫を残すことができるのです。
基本的には虫媒花である桜は、虫たちが活動をはじめる春になって咲き始めます。
梅と桜の開花期の違いは、鳥媒花と虫媒花という繁殖戦略の違いが原因なのです。
ただし、梅も虫媒花としての性質もあり、桜も鳥媒花としての性質もあります。
梅にウグイスは来ない?!
梅と言ってまず思い浮かぶ小鳥と言えば、鶯(うぐいす)ではないでしょうか。
「梅に鶯」と言えば、「松に鶴」「竹に雀」と並んで定番です。
万葉集の時代から、梅とウグイスを詠んだ歌が13首もあるくらいです。
しかし、実は梅にウグイスが来ることはあまりありません。
ウグイスの食性は、虫や種子類です。梅の蜜ではありません。
もちろん、梅に集まる虫を目当てにウグイスが来ることもありますが、まれです。
しかも、ウグイスは警戒心の強い鳥です。
春になると、「ホーホケキョ」の鳴き声はあちこちで聞きますが、ウグイスが姿をあらわすことはほとんどありません。
「梅に鶯」は画題としても人気ですが、そこに描かれている鳥は、たいていウグイスではなくメジロです。
メジロの美しい姿とウグイスの美しい鳴き声が混同されたとも言われています。
たしかにメジロとウグイスはシルエットは似通っていますが、メジロが「ホーホケキョ」と鳴いていないことは一目瞭然ですが、不思議なことです。
「うぐいす色」という色も、ウグイスの灰色がかった緑褐色を指すときと、メジロの黄緑色っぽい色を指す場合があってややこしいです。
もともと「梅に鶯」という組み合わせは、中国からやってきた文化です。
「竹に雀」の竹もスズメもよく見かけますが、竹とスズメを同時に見ることはあまりありません。
ツルはめったに見かけないのでよくわかりませんが、「松に鶴」もよくある光景というわけではないでしょう。
「梅に鶯」も、よくある光景というよりは、めったにないからこそ縁起の良い組み合わせということを意味していたのかもしれません。
だとしたら「梅に鶯」という定型句にも納得いきます。
梅に集まる虫を狙う鳥たちも
前述のとおり、梅は一般に鳥媒花に分類されます。
しかし、梅は虫媒花としての性質もあわせもっています。
虫媒花である証拠として、梅の香りが挙げられます。
鳥はほとんど匂いを感知できないため、鳥媒花は一般に匂いがしません。
一方で虫媒花は、虫を招き寄せるために良い香りを出すことが多いです。
梅と言えば、見た目とともに香りも魅力の花です。
鳥だけでなく虫も誘うことで、より効率的に子孫を残しています。
梅の花に集まる虫を目当てに集まってくる鳥もたくさんいます。
ジョウビタキやムクドリなども梅の花に集まってきますが、狙いは梅の蜜ではなく虫たちです。
他にもモズやツグミなども虫を狙って集まります。
結果として、梅の花には梅の蜜狙いの鳥や虫狙いの鳥など、多種多様な鳥たちが集まってくるのです。
梅とメジロ(目白)
メジロとは
梅と言えばメジロです。
もしかしたら梅の花よりもメジロのほうが人気かもしれません。
梅+メジロで「うめじろー」などと言われることもあります。
メジロは、スズメ目メジロ科メジロ属の小鳥です。
日本から東南アジアにかけて分布する留鳥です。
メジロのチャームポイントいくつかあります。
まずは、眼の周りのアイリングという白い部分です。
目白(メジロ)という名称もこのアイリングに由来します。
アイリングのおかげで、メジロは誰でも容易に識別可能です。
メジロは鮮やかな黄緑色をした羽も魅力です。まるで宝石のような色です。
うぐいす色ということもありますが、実際のウグイスはまた別の色をしています。
赤や白、ピンク色をした梅をバックに、メジロの美しさはよりいっそう映えます。
かわいらしいメジロの魅力
メジロは小鳥らしいかわいい動きも魅力です。梅のあちこちで、メジロたちが軽やかに飛び回ります。
しばらく蜜を吸ったかと思うと、別の花へと次々と飛び移ります。
梅のあっちでもこっちでもメジロが飛び回っています。
梅の蜜を吸うときのメジロの姿勢も面白いです。
逆さになったり、背伸びして遠くまでくちばしをのばしたり、とてもかわいい姿でメジロたちが一生懸命に梅の蜜を吸っています。
本当に見ていて飽きません。
鳴き声も魅力のメジロ
メジロは鳴き声もまた魅力です。
「チーチー」となく地鳴きと「キュルキュル」と鳴くさえずりの二種類の鳴き方がメジロにはあります。
小鳥らしく、とてもかわいい鳴き声です。
メジロの鳴き声は古くから日本人を魅了してきました。
明治時代からはメジロの鳴き声の美しさや鳴く回数を競い合う「鳴き合わせ」という会も開かれるようになりました。
近年まで多くの愛好者がいましたが、今はメジロの捕獲や飼育は禁止になっています。
梅に集まるいろんな野鳥
ヒヨドリ(鵯)
ヒヨドリは。スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属のハトより少し小ぶりな鳥です。
東アジアを中心に分布しますが、最も多く生息しているのは日本です。
春は花の蜜や果実を食糧とするため、梅や桜とともによく見られます。
メジロと並んで梅には付きものの鳥ですが、メジロとは違ってあまり人気はありません。
灰色をした地味な羽の色と「ヒーヨ、ヒーヨ」というちょっとどすのきいた大きな鳴き声のせいどあまり好かれてはいません。
花の蜜が食糧なので、競合するメジロを体の大きなヒヨドリが追い払っているところもよく見かけます。
メジロ目当ての人にとっては、ヒヨドリは邪魔者になってしまいます。
でも一心不乱に梅の蜜を吸っている姿は、メジロと同じくかわいいものです。
ヒヨドリは蜜を吸う過程で花の受粉をさせたり、果実に含まれる種を広範囲にばらまいたりしています。
植物にとっては、子孫を残すために大切なパートナーなのです。
シジュウカラ(四十雀)
スズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属の鳥です。
東アジアに分布する留鳥で、メジロよりもやや大きいくらいの小鳥です。
メジロほどではありませんが、比較的人気の高い美しい鳥です。
全身が白と黒できれいに分かれ、背中上部はやや黄色っぽくなっています。
小さな体ですが、「ツーペ、ツーペ」とかなり大きな声でさえずります。
「ジュクジュクジュク」という地鳴きがシジュカラという名前の由来です。
主に虫や木の実などを食べますが、花の蜜も食糧とします。
梅に限らず、春にはいろんなところで見かけます。
ジョウビタキ(尉鶲)
スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属の鳥です。
メジロと同じかやや大きい程度の小鳥です。
日本には冬にシベリアなどから飛来する渡り鳥です。
メジロやヒヨドリほどではありませんが、梅とともに見かけます。
ジョウビタキの魅力はカラフルな色です。
オレンジ、黒、白、茶色と小さな体にいろんな色があります。
ジョウビタキは虫や木の実を食べ、花の蜜は吸いません。
梅に集まって来るのは、梅についた虫を食べるためです。
梅にとっては害虫を駆除してくれるうれしい存在です。
スズメ(雀)
ハトやカラスと並んで、スズメは最も身近な鳥です。
スズメはイネ科の種子や虫などを食べる雑食性です。
種子がなく虫も少ない時期は、花の蜜も好みます。
しかし、スズメにとって花の蜜は主食ではないため、花にくちばしを突っ込んで蜜を吸うことができません。
そこで、スズメは特殊な方法で蜜を吸います。
スズメは「盗蜜」と言って、花を根元から食いちぎって蜜を吸います。
花ごと食いちぎられてしまうと、梅にとっては受粉には何の役にも立たないので、「蜜を盗む」と書いて盗蜜といいます。
桜では盗蜜をしていることを頻繁に見かけますが、梅ではあまり見ません。
おそらく梅は桜と比べて花と枝の間の花柄が短いためにうまく食いちぎれないのでしょう。
その代わりつぼみを丸ごと食べてしまう姿を見ることもあります。
いずれにしろ、梅にとって花粉を媒介しないスズメは厄介者です。
ムクドリ(椋鳥)
スズメ目ムクドリ科。
都市部では前述のスズメと並んでお馴染みの鳥です。
街路樹に大量に止まっている姿を見ることもあります。
ムクドリは蜜を吸うわけではなく、種子や果実、虫などを食べます。
梅に集まってくる虫をねらっているのでしょう。
生息数が多いだけあって、梅とムクドリを一緒に見られることもあります。
その他の鳥
梅には蜜を吸いに集まってくる鳥だけでなく、梅に集まってくる虫を狙った鳥や、たまたま通りかかった鳥など、いろんな鳥が集まってきます。
中には素人では種類がわからない鳥もたくさんいます。
梅に限らずその辺でよく見かけるお馴染みの鳥を紹介します。
セキセイインコ
野生の鳥ではなく、ペットとして連れられていたセキセイインコです。
ルチノーという黄色い品種です。
もちろん、梅の蜜を吸いに来たのではありません。
セキセイインコは種子類などが主食です。
モズ(百舌鳥)
スズメ目モズ科の小鳥です。
メジロをはじめとした梅に集まる小鳥たちと同じくスズメ目ですが、梅の蜜に集まってきたのではありません。
虫や小型の鳥獣を主食とした動物食です。見た目と違って獰猛さで知られます。
おそらく、梅に集まってきた虫を目当てにやってきたのでしょう。
モズといえば、大阪府の鳥でもあります。
ツグミ(鶫)
スズメ目ヒタキ科ツグミ属の鳥です。
梅林でも比較的よく見かけますが、多くの場合は樹上ではなく地面にいます。
ツグミは主に虫や果実を食べるため、梅の蜜目当て集まってのではありません。
地表や土中にいる虫たちをついばんでいます。
カケス(橿鳥)
おわりに
京都で長年観光に携わってきたMKタクシーには、京都の文化や歴史に詳しい観光ドライバーが多数います。
会社の座学や現地勉強会などを通じて、観光ドライバーをするのに基本的な知識を習得することができます。でも、基本から先は人それぞれの努力次第です。
観光ドライバーによって得意分野は様々です。同じ歴史であっても得意な時代があったり、文化でも伝統文化や現代文化、美術や工芸など様々です。
もちろん、グルメや花に詳しい観光ドライバーもたくさんいます。
なかには、メジロなど鳥に詳しめの観光ドライバーというご要望にも応えられる場合もあるかもしれません。
観光・おもてなしのプロといっしょに一味ちがう京都旅行を体験してみませんか?
京都の梅の関連記事