梅の花に集まるメジロなどの小鳥たち|ヒヨドリ、シジュウカラ、スズメ、ムクドリも

目次
梅といえば、美しい見た目と華やかな香りとともに、梅に集まる鳥たちが魅力です。
梅を大好きなのは、人だけではありません。鳥たちも梅の蜜は大好物です。
梅の蜜を求めてちゅんちゅん飛び回るメジロなどの小鳥の姿は見ていて飽きません。
なぜ小鳥たちは梅の木に集まるのでしょうか? ここでは、梅と小鳥の関係、そして梅の木を訪れる小鳥たちについて詳しく紹介します。
梅に集まる小鳥たち

梅とメジロ(大懸神社〈愛知県犬山市〉) 2018年3月11日 撮影:MKタクシー
梅の蜜は小鳥たちの大好物
鳥が花粉を媒介する鳥媒花の梅
花樹は、主に鳥媒花と虫媒花にわかれますが、梅は基本的には鳥媒花です。
鳥たちが梅の蜜を吸うときに体に花粉を付着させ、別の花へと運んでもらことで繁殖します。
鳥がいなければ、梅は子孫を残すことができません。
梅の蜜は鳥たちを呼びよせるだけの魅力を備えています。蜜の量も味も鳥を引き寄せるために進化してきました。

梅の蜜を吸うメジロ 2023年2月20日 撮影:MKタクシー
早春、まだ寒さが残る中、梅の木の周りでは小鳥たちがせわしなく飛び交い、蜜を求めて枝から枝へと移動します。その中でも、特に目を引くのが小鳥たちの姿です。
かわいい小鳥がちゅんちゅん飛び回る光景は、梅ならではの魅力です。
一本の梅に十羽以上の小鳥が群れ、梅の木を次々と移動していきます。
小鳥たちにとって、梅の蜜は非常に魅力的です。梅の蜜は糖度が高く、まだ餌が少ない早春の時期にとって貴重な栄養源となります。
特にメジロのように花の蜜を主食とする小鳥は長い舌を持っており、花の奥にある蜜を器用に吸い取ることができます。

メジロと枝垂梅(城南宮〈京都市伏見区〉) 2024年2月29日 撮影:MKタクシー
梅が早春に開花するのも鳥のため
梅が桜をはじめとした花樹と比べて早く開花するのも、鳥媒花であるためです。
梅が開花する早春は気温が低く、まだミツバチをはじめとした虫たちはあまり活動していませんが、小鳥は年中活動しています。
多くの虫媒花が開花前の早春は、いち早く開花した梅の独壇場となります。
先駆けて咲いている梅には、多くの小鳥が群がり、効率的に子孫を残すことができるのです。

梅とメジロ(大懸神社〈愛知県犬山市〉) 2018年3月11日 撮影:MKタクシー
基本的には虫媒花である桜は、虫たちが活動をはじめる春になって咲き始めます。
梅と桜の開花期の違いは、鳥媒花と虫媒花という繁殖戦略の違いが原因なのです。

枝垂梅にミツバチ(三室戸寺〈宇治市〉) 2023年3月5日 撮影:MKタクシー
ただし、梅も虫媒花としての性質もあり、桜も鳥媒花としての性質もあります。
特に果樹としての梅の生産には、受粉にミツバチが活用されています。

梅とジョウビタキ(神戸北野天満宮) 2019年3月3日 撮影:MKタクシー
梅にウグイスは来ない?!
梅と言ってまず思い浮かぶ小鳥と言えば、鶯(うぐいす)ではないでしょうか。
「梅に鶯」と言えば、「松に鶴」「竹に雀」と並んで定番です。
万葉集の時代から、梅とウグイスを詠んだ歌が13首もあるくらいです。

梅とメジロ(興正寺〈京都市下京区〉) 2021年2月22日 撮影:MKタクシー
しかし、実は梅にウグイスが来ることはあまりありません。
ウグイスの食性は、虫や種子類です。梅の蜜ではありません。
もちろん、梅に集まる虫を目当てにウグイスが来ることもありますが、まれです。
しかも、ウグイスは警戒心の強い鳥です。
春になると、「ホーホケキョ」の鳴き声はあちこちで聞きますが、ウグイスが姿をあらわすことはほとんどありません。
普段のウグイスは藪の中にひっそりと隠れて生活しており、人前に出ることを極端に避ける習性があります。
そのため、ウグイスを目にする機会は非常に少なく、たとえ梅の木に来ていたとしても、すぐに気づくことは難しいでしょう。

広重「梅・鶯」出典:国立国会図書館デジタルコレクション
「梅に鶯」は、絵画や工芸品の題材としても人気があります。
掛け軸や陶磁器、着物の柄などにもよく使われる、縁起の良い組み合わせです。
しかし、これらに描かれている「鶯」は、実はウグイスではなく、ほとんどがメジロです。
メジロの美しい姿とウグイスの美しい鳴き声が混同されたとも言われています。

広重「梅に鶯」出典:国立国会図書館デジタルコレクション
メジロは黄緑色の美しい羽を持ち、梅の蜜を好むため、梅の花の間を飛び回る姿をよく見かけます。
一方で、ウグイスの羽の色は、実際には地味な緑褐色をしており、メジロのような明るい色合いではありません。
また、ウグイスは花の蜜を吸わないため、梅の花にとまっている姿を見ることはほとんどありません。
このように、梅の花とともに描かれる「ウグイス」は、実際にはメジロの姿に近いことが多いのです。
メジロの美しい姿とウグイスの美しい鳴き声が混同された結果、「梅に鶯」という表現が生まれたのではないかとも言われています。
また、「うぐいす色」という色も混乱を招く要因の一つです。
一般的に「うぐいす色」として知られる黄緑色っぽい色合いは、実はメジロの羽の色に近く、実際のウグイスの羽はもっとくすんだ灰緑色をしています。
このような色の認識の違いも、「梅に鶯」と「梅にメジロ」の混同を助長したのかもしれません。

広重「梅に文鳥」出典:国立国会図書館デジタルコレクション
もともと「梅に鶯」という組み合わせは、中国からやってきた文化です。
「竹に雀」の竹もスズメもよく見かけますが、竹とスズメを同時に見ることはあまりありません。
ツルはめったに見かけないのでよくわかりませんが、「松に鶴」もよくある光景というわけではないでしょう。
「梅に鶯」も、よくある光景というよりは、めったにないからこそ縁起の良い組み合わせということを意味していたのかもしれません。
だとしたら「梅に鶯」という定型句にも納得いきます。

メジロと梅(万博公園梅林〈吹田市〉) 2018年3月17日 撮影:MKタクシー
鶯宿梅の伝説
ウグイスと梅と言えば、「鶯宿梅(おうしゅくばい)」の故事も有名です。
平安時代の歴史物語である「大鏡」に収録されています。

梅とメジロ(大懸神社〈愛知県犬山市〉) 2018年3月11日 撮影:MKタクシー
10世紀の中頃、内裏の清涼殿前の梅の木が枯れてしまったため、ときの帝である村上天皇が代わりの梅を探すように命じました。
ようやく見事な梅の木が見つかり、掘り取って内裏へと持ち帰ろうとしたところ、梅のある屋敷の主人が梅の枝に短冊を結び付け、そのまま持ち帰るように言いました。
梅を内裏へと持ち帰ったところ、村上天皇は大変喜びましたが、枝についていた短冊に気づきました。
短冊を調べたところ、
「勅なれば いともかしこし鶯の 宿はと問はば いかが答へむ(勅命なので畏れ多いことではありますが、ウグイスに私の宿はどこへ行ったと問われたら、どう答えたらよいのでしょう)」
という和歌が記されていました。
村上天皇は「残念なことをしてしまったものだ」と漏らしました。

鶯宿(月ケ瀬梅林〈奈良市〉) 2019年3月21日 撮影:MKタクシー
実梅の代表品種のひとつである「鶯宿(おうしゅく)」もこの故事から名前がとられています。
ややこしいですが、鑑賞用の花梅にも同名の「鶯宿」という品種があります。実梅の鶯宿が白の一重なのに対し、花梅の鶯宿は白の八重なので全く異なる品種です。
梅に集まる虫を狙う鳥たちも
前述のとおり、梅は一般に鳥媒花に分類されます。
しかし、梅は虫媒花としての性質もあわせもっています。虫媒花である証拠として、梅の香りが挙げられます。
鳥はほとんど匂いを感知できないため、鳥媒花は一般に匂いがしません。
一方で虫媒花は、虫を招き寄せるために良い香りを出すことが多いです。
梅と言えば、見た目とともに香りも魅力の花です。
鳥だけでなく虫も誘うことで、より効率的に子孫を残しています。

梅とジョウビタキ(神戸北野天満宮) 2019年3月3日 撮影:MKタクシー
梅の花に集まる虫を目当てに集まってくる鳥もたくさんいます。
ジョウビタキやムクドリなども梅の花に集まってきますが、狙いは梅の蜜ではなく虫たちです。
他にもモズやツグミなども虫を狙って集まります。
結果として、梅の花には梅の蜜狙いの鳥や虫狙いの鳥など、多種多様な鳥たちが集まってくるのです。

メジロと枝垂梅(城南宮〈京都市伏見区〉) 2023年3月5日 撮影:MKタクシー
梅とメジロ(目白)
メジロとは
梅と言えばメジロです。
もしかしたら梅の花よりもメジロのほうが人気かもしれません。
梅+メジロで「うめじろー」などと言われることもあります。
メジロは、スズメ目メジロ科メジロ属の小鳥です。
日本から東南アジアにかけて分布する留鳥です。
主に低山や森林、都市部の公園や庭園にも生息し、人々の生活圏内でもよく見かけることができます。比較的警戒心が薄く、人の近くでも活動するため、観察しやすい小鳥の一つです。

梅とメジロ(京都御苑) 2020年3月3日 撮影:MKタクシー
メジロのチャームポイントいくつかあります。
まずは、眼の周りのアイリングという白い部分です。
目白(メジロ)という名称もこのアイリングに由来します。
アイリングの白さが際立つことで、顔全体が明るく見え、つぶらな瞳と相まってとても愛らしい表情を作り出しています。
アイリングのおかげで、メジロは他の小鳥と区別しやすく、初心者でも識別が容易です。

梅とメジロ(祇園白川〈京都市東山区〉) 2019年2月15日 撮影:MKタクシー
メジロは鮮やかな黄緑色をした羽も魅力です。まるで宝石のような色です。
「うぐいす色」ということもありますが、実際のウグイスはまた別の色をしています。
赤や白、ピンク色をした梅をバックに、メジロの美しさはよりいっそう映えます。
メジロの姿は梅の花の色と絶妙に調和し、日本画や写真の被写体としても人気があります。

梅とメジロ(梅宮大社〈京都市右京区〉) 2019年3月2日 撮影:MKタクシー
また、メジロの体は小さくて丸みがあり、動きが俊敏なのも特徴です。スズメよりもひとまわり小さく、体長は約11〜12cm、体重は約10gほどしかありません。
手のひらに収まるサイズ感で、小さな羽をパタパタと忙しそうに動かしながら飛び回る姿がとても愛らしいです。
かわいらしいメジロの魅力
メジロは小鳥らしいかわいい動きも魅力です。梅のあちこちで、メジロたちが軽やかに飛び回ります。
しばらく蜜を吸ったかと思うと、別の花へと次々と飛び移ります。
梅のあっちでもこっちでもメジロが飛び回っています。
メジロは、群れで行動することが多い鳥でもあります。
特に冬場は「メジロ団子」と呼ばれるように、数羽が寄り添って枝に止まる姿も見られます。これは寒さをしのぐための行動で、仲間同士の絆が強い鳥であることを示しています。
春になるとペアを作り、繁殖期に入るため、群れを離れることもあります。

梅とメジロ(松花堂庭園〈京都府八幡市〉) 2021年2月21日 撮影:MKタクシー
梅の蜜を吸うときのメジロの姿勢も面白いです。
逆さになったり、背伸びして遠くまでくちばしをのばしたり、とてもかわいい姿でメジロたちが一生懸命に梅の蜜を吸っています。
この独特の仕草がまた可愛らしく、見ていて飽きることがありません。

梅とメジロ(北野天満宮梅林〈京都市上京区〉) 2019年3月2日 撮影:MKタクシー
メジロは非常に器用な鳥でもあります。長い舌を使って花の奥の蜜をすくい取るようにして吸うことができるため、桜やツツジ、サザンカなど他の花の蜜も好んで吸います。
都会でも見かけることができるため、春の花が咲く季節には、どこかでメジロの可愛らしい仕草を目にすることができるでしょう。
鳴き声も魅力のメジロ
メジロは鳴き声もまた魅力です。
「チーチー」となく地鳴きと「キュルキュル」と鳴くさえずりの二種類の鳴き方がメジロにはあります。
小鳥らしく、とてもかわいい鳴き声です。
地鳴きは主に仲間とのコミュニケーションに使われ、短く控えめな「チーチー」という音が特徴です。
一方、繁殖期になるとオスは「キュルキュル」「チュルチュル」と美しく響くさえずりを繰り返し、メスにアピールします。
さえずりには個体差があり、地域ごとに微妙な違いがあるため、注意深く聞くとそれぞれのメジロの個性を感じることができます。

梅とメジロ(青谷梅林〈京都府城陽市〉) 2021年2月21日 撮影:MKタクシー
メジロの鳴き声は古くから日本人を魅了してきました。
明治時代からはメジロの鳴き声の美しさや鳴く回数を競い合う「鳴き合わせ」という会も開かれるようになりました。
近年まで多くの愛好者がいましたが、今はメジロの捕獲や飼育は禁止になっています。

梅とメジロ(興正寺〈京都市下京区〉) 2021年2月22日 撮影:MKタクシー
かつては、江戸時代や明治時代の庶民にとってメジロのさえずりは風流な趣味の一つでした。
しかし、野生のメジロを捕まえて飼うことが禁止された今では、自然の中でその美しい声を楽しむことが唯一の方法です。
都市部の公園や庭木でもさえずる姿が見られるため、春先に耳を澄ませば、どこかでメジロのさえずりを聞くことができるかもしれません。
ところで、東京の地名である目白は、鳥の目白ではなく目白不動と呼ばれる金乗院に由来します。
目白不動は青・白・赤・黒・黄の五色不動のひとつであり、目の周りが白いお不動さんというわけではありません。
梅に集まるいろんな野鳥
ヒヨドリ(鵯)
ヒヨドリは。スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属のハトより少し小ぶりな鳥です。
東アジアを中心に分布しますが、最も多く生息しているのは日本です。
日本全国の森林、公園、市街地など幅広い環境に適応しており、都会でも見かけることができます。
特に庭木や街路樹の果実や花の蜜を好むため、住宅街でも頻繁に目にする鳥の一つです。
春は花の蜜や果実を食糧とするため、梅や桜とともによく見られます。
さらに、冬には寒さを避けるために日本列島を縦断するような移動をする個体も多く、季節によって見られる地域が変わることもあります。
都市部に住むヒヨドリも、冬になると温暖な地域へ移動することが知られています。

梅とヒヨドリ(梅宮大社〈京都市右京区〉) 2019年3月10日 撮影:MKタクシー
メジロと並んで梅には付きものの鳥ですが、メジロとは違ってあまり人気がありません。
その理由の一つが、地味な灰色の羽色と、「ヒーヨ、ヒーヨ」と響くやや濁った鳴き声です。
この独特の鳴き声は、人によっては風情を感じることもありますが、静かに鳥を観察したい人にとっては少しうるさく感じることもあるかもしれません。

梅とヒヨドリ(北野天満宮〈京都市上京区〉) 2019年3月15日 撮影:MKタクシー
ヒヨドリは花の蜜を主食とするため、蜜を吸いにやってくるメジロと競合することがよくあります。
体がメジロよりもずっと大きく、体長は27~30cmほどにもなるため、メジロにとっては圧倒的な体格差があります。
そのため、ヒヨドリが梅の木に現れると、メジロが追い払われてしまうこともあります。
メジロを見たい人にとっては、ヒヨドリは少し厄介な存在になりがちです。
でも一心不乱に梅の蜜を吸っている姿は、メジロと同じくかわいいものです。

梅とヒヨドリ(北野天満宮〈京都市上京区〉) 2019年3月12日 撮影:MKタクシー
ヒヨドリは蜜を吸う過程で花の受粉をさせたり、果実に含まれる種を広範囲にばらまいたりしています。
植物にとっては、子孫を残すために大切なパートナーなのです。

梅とヒヨドリ(北野天満宮〈京都市上京区〉) 2017年3月28日 撮影:MKタクシー
シジュウカラ(四十雀)
スズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属の鳥です。
東アジアに分布する留鳥で、メジロよりもやや大きいくらいの小鳥です。

梅とシジュウカラ(北野天満宮〈京都市上京区〉) 2019年3月20日 撮影:MKタクシー
メジロほどではありませんが、比較的人気の高い美しい鳥です。
全身が白と黒できれいに分かれ、背中上部はやや黄色っぽくなっています。

梅とシジュウカラ(京都府立植物園) 2019年3月24日 撮影:MKタクシー
小さな体ですが、「ツーペ、ツーペ」とかなり大きな声でさえずります。
「ジュクジュクジュク」という地鳴きがシジュカラという名前の由来です。

梅とシジュウカラ(北野天満宮〈京都市上京区〉) 2018年3月23日 撮影:MKタクシー
主に虫や木の実などを食べますが、花の蜜も食糧とします。
梅に限らず、春にはいろんなところで見かけます。

梅とシジュウカラ(北野天満宮〈京都市上京区〉) 2019年3月20日 撮影:MKタクシー
ジョウビタキ(尉鶲)
スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属の鳥です。
山地から都市部の公園や庭先にまで適応し、人の生活圏でもよく見かける身近な野鳥の一つです。
特に森林や雑木林を好みますが、公園の樹木や住宅街の庭木にもよく現れ、人との距離が比較的近い鳥として親しまれています。
体長は約14cmほどで、メジロよりもやや大きく、スズメと同程度の大きさです。
そのため、バードウォッチング初心者にも比較的見つけやすく、特徴的な羽の色合いからも識別がしやすい鳥といえます。
メジロやヒヨドリほどではありませんが、梅とともに見かけます。

梅とジョウビタキ(京都府立植物園) 2022年2月26日 撮影:MKタクシー
シジュウカラはメジロと並んで人気の高い美しい鳥です。
全身が白と黒できれいに分かれ、背中上部はやや黄色がかった緑色を帯びています。
お腹には黒い帯のような模様(ネクタイ)があり、オスの方がこのネクタイ模様が太くてはっきりしています。この違いを利用して、オスとメスを見分けることができます。
また、翼には白い斑点が入っており、飛ぶときに羽を広げるとその模様が美しく見えます。
シジュウカラは活発に動き回る鳥で、木々の間を飛び移りながらエサを探す姿が観察できます。

梅とジョウビタキ(京都府立植物園) 2022年2月26日 撮影:MKタクシー
シジュウカラは、小さな体ながらもかなり大きな声でさえずります。
「ツーペ、ツーペ」「ツツピー」というリズミカルな鳴き声が特徴的で、春先になると特によく聞こえるようになります。
ジョウビタキは虫や木の実を食べ、花の蜜は吸いません。
梅に集まって来るのは、梅についた虫を食べるためです。
梅にとっては害虫を駆除してくれるうれしい存在です。

梅とジョウビタキ(京都府立植物園) 2022年2月26日 撮影:MKタクシー
スズメ(雀)

梅とスズメ(梅宮大社〈京都市右京区〉) 2019年3月2日 撮影:MKタクシー
ハトやカラスと並んで、スズメは最も身近な鳥です。
公園や街中、田畑など、どこでも見かけることができるため、日本人にとって最も親しみのある野鳥の一つと言えるでしょう。
スズメはイネ科の種子や虫などを食べる雑食性です。
種子がなく虫も少ない時期は、花の蜜も好みます。
しかし、スズメにとって花の蜜は主食ではないため、花にくちばしを突っ込んで蜜を吸うことができません。
そこで、スズメは特殊な方法で蜜を吸います。
スズメは「盗蜜」と言って、花を根元から食いちぎって蜜を吸います。
花ごと食いちぎられてしまうと、梅にとっては受粉には何の役にも立たないので、「蜜を盗む」と書いて盗蜜といいます。
桜では盗蜜をしていることを頻繁に見かけますが、梅ではあまり見ません。
おそらく梅は桜と比べて花と枝の間の花柄が短いためにうまく食いちぎれないのでしょう。
その代わりに、スズメが梅のつぼみを丸ごと食べてしまうことがあります。
つぼみを食べることで蜜を味わうだけでなく、栄養価の高い花弁やガクの部分を摂取しているのかもしれません。
いずれにしろ、梅にとって花粉を媒介しないスズメは厄介者です。
ムクドリ(椋鳥)

梅とムクドリ(京都御苑) 2018年3月12日 撮影:MKタクシー
スズメ目ムクドリ科。
都市部では前述のスズメと並んでお馴染みの鳥です。
街路樹に大量に止まっている姿を見ることもあります。
ムクドリは蜜を吸うわけではなく、種子や果実、虫などを食べます。
梅に集まってくる虫をねらっているのでしょう。
生息数が多いだけあって、梅とムクドリを一緒に見られることもあります。
その他の鳥
梅には蜜を吸いに集まってくる鳥だけでなく、梅に集まってくる虫を狙った鳥や、たまたま通りかかった鳥など、いろんな鳥が集まってきます。
中には素人では種類がわからない鳥もたくさんいます。
梅に限らずその辺でよく見かけるお馴染みの鳥を紹介します。
セキセイインコ

梅とセキセイインコ(大阪城公園梅林) 2018年3月6日 撮影:MKタクシー
野生の鳥ではなく、ペットとして連れられていたセキセイインコです。
ルチノーという黄色い品種です。
もちろん、梅の蜜を吸いに来たのではありません。
セキセイインコは種子類などが主食です。
モズ(百舌鳥)

梅とモズ(大阪城公園梅林) 2022年2月27日 撮影:MKタクシー
スズメ目モズ科の小鳥です。
メジロをはじめとした梅に集まる小鳥たちと同じくスズメ目ですが、梅の蜜に集まってきたのではありません。
虫や小型の鳥獣を主食とした動物食です。見た目と違って獰猛さで知られます。
おそらく、梅に集まってきた虫を目当てにやってきたのでしょう。
モズといえば、大阪府の鳥でもあります。
ツグミ(鶫)

ツグミ(梅小路公園梅林〈京都市下京区〉) 2022年3月3日 撮影:MKタクシー
スズメ目ヒタキ科ツグミ属の鳥です。
梅林でも比較的よく見かけますが、多くの場合は樹上ではなく地面にいます。
ツグミは主に虫や果実を食べるため、梅の蜜目当て集まってのではありません。
地表や土中にいる虫たちをついばんでいます。
カケス(橿鳥)

幸野楳嶺:梅・橿鳥 「楳嶺花鳥画譜」出典:国立国会図書館デジタルコレクション
おわりに
京都で長年観光に携わってきたMKタクシーには、京都の文化や歴史に詳しい観光ドライバーが多数います。
会社の座学や現地勉強会などを通じて、観光ドライバーをするのに基本的な知識を習得することができます。でも、基本から先は人それぞれの努力次第です。
観光ドライバーによって得意分野は様々です。同じ歴史であっても得意な時代があったり、文化でも伝統文化や現代文化、美術や工芸など様々です。
もちろん、グルメや花に詳しい観光ドライバーもたくさんいます。
なかには、メジロなど鳥に詳しめの観光ドライバーというご要望にも応えられる場合もあるかもしれません。
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