フットハットがゆく【320】「トトロとドキンちゃん」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2020年7月1日号の掲載記事です。
トトロとドキンちゃん
京都府南丹市の田舎暮らしを始めて半年少々…。
人生51年も生きていながら、始めて知ることのオンパレード。
田舎無知ぶりを発揮しています。
『サシガメ』…
田舎は本当に虫が多く、僕は虫好きなので嬉しいのですが、やはり嫌いな虫もいてその代表はカメムシです。
部屋の中に入ってきてブンブン飛びまくるので、素手で捕まえて外に放ります。
四角っぽい奴は臭くて、細長い奴は特に臭くありません。
僕はこの細長いカメムシをこの地で初めて見たので、調べると、『サシガメ』だとわかりました。
なるほど、確かに口の先が細長く水差しのようで、それでサシガメなのだなと勝手に思い込み、臭くないから『やさしいカメムシ』というイメージを持っていました。
しかしよくよく調べると、こやつは『刺すカメムシ』だからサシガメだそうで、人間が刺されるとハチより痛いそうです。
そんな虫を僕は平気で素手で掴んでいたと、後から無知ぶりに震えました。
『ソラニンとチャコニン』…
庭を耕して自家菜園にして、今年は第一弾として素人でも栽培が簡単というジャガイモに挑戦しました。
3月の下旬にタネイモを植え、4月に芽が出て、5月には青々とした葉が茂り、花も咲きました。
半自給自足生活を目指し、自分の土地の食べられるものはなんでも食べてやろう! という気持ちでいますので、せっかく茂ったジャガイモの葉っぱと茎を採ってきて、ラーメンの具として食しました。
苦味がきいて美味しかったです。
次の日、朝から動悸と、体のだるさ…。なんか変だなと感じて調べると、ジャガイモの芽に含まれる有毒物質『ソラニンとチャコニン』は、ジャガイモの葉や茎にも少量含まれるので、食さないほうが良い、とのことでした。
どっかのゆるキャラの名前みたいなソラニンとチャコニンですが、摂取量によっては下痢、嘔吐、食中毒、動悸、めまい、場合によっては死亡するそうで、反応は個人差があり数時間後から数日後…ということで調べれば調べるほど心配になり、すぐに医者に行きました。
結局大事には至りませんでしたが、自分の無知が恥ずかしい。
『テトロドトキシン』…
アカハライモリというその名の通りお腹の赤いイモリが裏山の水たまりにたくさんいます。
僕はトカゲやヤモリ、イモリといった生き物が大好きで、見つけたら捕まえてスマホで撮っては逃がす、ということをよくやります。
飼っているニワトリがアカハライモリを食べるかどうか実験したりもしました。
漢方の原料にもなるといわれるイモリですから、僕もイモリ喰いに挑戦しようと思っていました。
でも先日のソラニンのこともあるので一応調べますと、アカハライモリは『テトロドトキシン』というフグと同じ毒を体内に持っており、食べると危険。
触るくらいは大丈夫だが、その手で自分の目や口は触らないほうがいい、とのことでした。
『トトロとドキンちゃん』みたいな可愛い名前ですが、300度の熱でも死なない毒らしいので、焼いて食ったりしたらえらいところでした。
あぁ我が無知を反省の日々。
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