フットハットがゆく【319】「夜のサファリパーク」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【319】「夜のサファリパーク」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2020年6月1日号の掲載記事です。

 

 

夜のサファリパーク

 

京都府南丹市園部町で素人田舎暮らし進行中!…
さて、最近生活費を稼ぐためにアルバイトを始めまして、夜勤なので、自家用車で帰宅するのは夜中の2時、3時になります。
すると山道に出ます、出ます、野生動物が。シカ、タヌキ、キツネ、アライグマ、イタチ。
最近は田植えのシーズンも始まったので、道にカエルがピョンピョンと飛び出してきます。
僕はどちらかというと、カエル1匹でも轢き殺したくない方なので、避けて走ります。
遠くから僕の車のヘッドライトを見ると、フラフラと右に行ったり左に行ったりするので酔っ払い運転かと思われるかもですが、これは一生懸命カエルを避けているのです。

 

ある夜中、山道のカーブに差し掛かったところにネズミが飛び出してきましたので、びっくりしてとっさにハンドルを切ったら、対向車線にダンプカーがッ!
間一髪でハンドルを戻した時にスローモーションのようにネズミの姿を見たのですが、それはネズミではなく葉っぱでした。
風に吹かれて地面を這うように滑ってきた葉っぱ、ちょうど柄の部分が尻尾に見えて、ネズミだと錯覚しました。
それにしても、万が一ダンプと正面衝突していた場合、僕は病院で警察の取り調べを受け、「葉っぱをネズミと見間違えてハンドルを切りました。」と正直に答えるしかありません。
もし僕が即死だったとしたら、警察はドライブレコーダーを調べ、まさか葉っぱを避けてハンドルを切ったとは思わないでしょうから、居眠り運転、と判断されてしまうのでしょうね。
いずれにしても悲しすぎます。生き物を轢き殺したくないあまり、自分が犠牲になってしまっては元も子もないので、結局は、生き物がいそうな道はゆっくり走る、につきます。

 

いろんな人の話を聞くと、シカとタヌキが轢かれることが多いようです。
シカなどは、轢いた車もどえらく破損するそうで、軽自動車などは廃車になってしまうそうです。
僕が実際に目撃した生き物の逃げ方の特徴ですが、キツネやイタチはヘッドライトに対して真横に逃げるので、すぐに視界から消えます。
一方タヌキは、ライトに対して遠ざかる方向に逃げようとするので、(しかも走るのが遅い…)車にすぐ追いつかれて轢かれる結果になるようです。
シカは集団でいることが多いですが、びっくりしてパニックになり、ライトの方すれすれに走ってくるものもいるので、これも車に当たる確率が高そうです。

 

シカは奈良公園で昼間歩いている姿が印象的ですが、実際は夜行性で、田舎では夜中にウロウロしています。
先日、山道で逃げ遅れた子鹿に遭遇しました。ヘッドライトに驚いて、一本道の中央にへたり込んでしまったので、しょうがなく車を止めて抱きかかえて道の端に放しました。
生まれて何日も経っていないであろうバンビ…、あばら骨の間から心臓がバクバク鳴っているのが、かかえた手に感じられました。
いずれ僕は狩猟やハンターの資格を取り、シカとも戦っていくことになると思いますが、直接対峙していない限りは、人間の都合でむやみに殺したくない方です。

 

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