フットハットがゆく【298】「とある1日の戦い」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【298】「とある1日の戦い」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2018年9月1日号の掲載記事です。

 

とある1日の戦い

8月のある日、仕事でダンスのコンテストを撮っておりました。
撮り続けて9年目になるイベントです。
出演者は、コンテスト上位を目指し、必死に戦うわけですが、僕もまた裏方で戦っておりました。

 

僕はカメラマン兼ディレクターとして、出演するチームのテレビ用インタビューと、記念写真撮影を担当しておりました。
約7時間のイベントで、90チームを撮り続けました。
撮影場所が暑いため、毎年汗だく。水は500mlのペットボトル3、4本、換えのTシャツは2、3枚必要、という状況が毎年続いておりました。
しかし今年は新兵器を導入しました。空調服です。
見た目は密閉されたビニールジャケットで、夏場に着ている人を見かけると、とても暑苦しいです。
しかし、背中に小型の換気扇がついており、服の内側に空気を取り込み、袖口と首元から風が抜けていくので、とても涼しいという優れものです。
リチウムバッテリーで満充電5~6時間。実は2年前にこの空調服を導入したのですが、その時はソフトコンタクトレンズをしており、撮影中に両手がふさがった状態からの、首元から吹き上げる風圧で、次第にレンズが剥がれ、飛びさりそうになるのを必死にまぶたでキャッチして、撮影を続けるという滑稽な状況に陥りました。
おまけにバッテリーが途中で切れて、余計に汗だくになるという目に遭いました。
今年はコンタクトからメガネに変え、バッテリーも買い足して万全な体制で臨みました。
おかげで、ほとんど汗をかかず、水も500mlのボトル1本で済むという、暑さ対策は万全でした。
その代わり、常にモーター音を鳴らし、風圧で上半身が膨らんでおりますので、子供から大人までいろんな人に丸い目をされ、一日中空調服の説明をする羽目になりました(笑)。

 

さて、毎年この大型イベントの際に苦労するのが、持病の痔です。
ぢの話というとなんとなく汚いので、僕は「おぢーちゃん」と呼んでいます。
僕の祖父はとても気前が良く、大型イベントの時はしょっちゅう出血大サービスをします。
激しいときはズボンにまで染み出して大変なので、恥ずかしながら女性用生理用品をネットで購入して、あてがっています。
男性用尿もれパッドを購入して試したこともあったのですが、形状的、位置的に女性用の方がフィットすることがわかり、それ以来そちらを使用しています。
今回のイベントでは、しっかり準備していたにもかかわらず、祖父の出血が激しく、ズボンにかなり染み出しました。
今まで自分がどれくらい出血しているのかわからなかったのですが、今回、使用していた用品が150cc用だったので、それが溢れたということで出血は約200ccと想像します。
牛乳瓶一本分くらいですね。献血の際は400ccくらい取られますから、200cc程度で死ぬことはないですが、おぢーちゃんとの戦いの中で、90組ぶんのインタビューを撮るのは、我ながら必死の戦いでした。
風圧で膨らみ涼しい顔をしつつも、ズボンを血だらけにしての裏方の戦い。
来年は300ccのものに変えるか、手術をするか…。祖父に相談します。

 

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