フットハットがゆく【266】「ロケ車の会話」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2016年1月1日号の掲載記事です。
ロケ車の会話
僕は京都のストリートダンス・スタジオが制作する、テレビ番組のディレクター兼カメラマンです。
スタジオのオフィシャルチームを乗せてロケ車移動するときの、運転手兼引率もかねています。
オフィシャルチームは小学生、中学生、高校生のチームに分かれています。それぞれのチームによってロケ車内の会話が色々で面白かったので書いてみます。
行きはだいたいダンスの話ですが、帰りは日も暮れた高速道路の中で、ダンス以外の会話に花が咲いたりします。
僕は運転手として会話には混じりませんが、聞こえてくるものは、聞こえます。
小学生チームの場合…男子1人(小6)、女子3人(小4〜小6)の車内。
チームの中で誰が好きか? という小学生らしいかわいい会話になっていました。
直接誰が好きだ…とはなかなか言いにくいので、人物ヒントの出し合いです。
ヒントも遠回し遠回しで、なかなか当たらないところが初々しくて楽しげでした。
僕も小学生の頃はこんなんやったかなぁ? 思い出してみると…
「僕が好きなんは…右利きの子です!」
「そんなん、みんな右利きやん!」
「髪の毛は黒い」
「長いか短いかだけでも言うてぇな」
みたいな…。
中学生チームの場合…男子1人(中2)、女子4人(中1〜中3)の車内。スマホで検索した、ひっかけエッチクイズ大会になりました。
「男の人が、なめられると立つのはどこ?」
「そんなんぜったい言われへん!」
「答えは『腹』、腹が立つ、でした!」
「も〜!!!ちょーむかつく!」
僕もヒヤヒヤしながら聞いておりましたが、完全にひっかかりました…笑。
「では、好きな人といると、すぐにたってしまうものは何?」
「また変な答えさせるやつ?」
「変じゃないで、大事なものがたつ…」
「全然わからん」
「答えは『時間』でした」
う〜んなるほど、それはあっという間にたつ…と妙に納得しました(笑)。
高校生チームの場合…女子5人(高1〜高3)の車内。
小学生から中学生へとエスカレートして来たので、どうなることかと思いきや、お菓子の吹くとピーピー鳴るフエラムネを吹き始めて、何の曲を吹いているか当て合う、という独自のゲームが始まりました。
フエラムネというのは、勢いよくピーピー音が出ますが、口笛と違って音階が出しにくいので、メロディーはわかりづらく、なかなか当てにくいもんです。
ギャーギャーわーわー言いながら、ピーピー鳴らしまくって、そのうちフエにツバがたまって、ズ〜〜! と汚い音が鳴り女子高生大爆笑。
箸が転んでもおかしい年頃ですからいいんですが、やっていることが小学生より幼いという…(笑)。
まぁ、僕はそういう元気なよそのお子さんを預かって運転しているので、とにかく無事に家に帰せるよう、会話に気を取られないように安全運転を心がけています。
しっかり聞いちゃっているのですが…笑。
田舎暮らし公開中! YouTube『塩見多一郎』で検索!
MK新聞について
「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。
ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。