フットハットがゆく【264】「楽苦日」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【264】「楽苦日」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2015年11月1日号の掲載記事です。

 

楽苦日

ラグビーの日本代表が、イングランドでのワールドカップで3勝1敗の好成績で帰国、した次の日に書いています。
今回は4試合全部生放送で見て、生活が乱れるくらい興奮しましたね(笑)。ということでラグビーネタです。
僕は高校時代、京都の弱小校でしたがラグビー部で、まじめに3年間頑張りました。今回はそんな中から知られざる苦労の想い出を。

高校からラグビーを始める人はかなり多く、僕もその一人。
最初のうちは基礎練やルールを覚えるのに必死でしたが、あるとき、1年生だけのチームを組み、他校と練習試合した日のことを今でも忘れません。
タックルが決まったときの快感、トライが決まったときの感動を覚えました。
また、相手のタックルで尻餅をついた際に肛門に痛みが走り、試合後トイレに行くと出血で便器が血だらけになり、それ以来、僕は切れ痔に悩むことになりました。
うちの高校は、練習試合用のラガーパンツは黒で、公式試合用のパンツは白でした。
僕は幸い、1年生からレギュラーになり、白のパンツをはく機会が多かったのですが、そのつど、切れ痔の出血がしみ出さないか不安のタネでした。
「今日は絶対出血するな…」と思う試合の日は、市販の女性生理用品を肛門に当てて、それがずれないようにピチピチのパンツをはいて、その上に普通のパンツをはいて、その上にラガーパンツをはく念の入れよう。
しかし、激しい試合の後などは、挟んでいたはずのものがどこかへ無くなっていて、グラウンドのどこかに落ちているのであろうけれども、わざわざ探すのも恥ずかしくて、それを見つけて驚いた人、すみません。

また別の試合では、激しく顔面をぶつけて口の中が切れて、血が止まらなくなりました。
ジャージの右袖でその血を拭い、袖は血だらけに。
僕は右ロックというポジションで、スクラムでいうと2列目になります。
1列目はプロップといって、僕は右プロップ選手の股間に右手を回して、固くパックして押す役目でした。
試合後、右プロップのKくんが絶叫し、自分の股間が血まみれなので驚いていました。結果的に、それは僕の右袖についていた血だったとわかるのですが。
それでもしばらくKくんは、生理男、と呼ばれる羽目になりました。僕のせいですみません。

さてその生理男のKくんが、水虫になりました。
ラグビーは全天候スポーツで、雨でどんなに地面がぬかるんでいても試合は開催されます。
雨の日の試合の後はスパイクがグチャグチャで、乾かすのに苦労します。
それをさぼって次の試合もぬれたスパイクで出たりしたら、もう〜、水虫にもなりますよ。
そしてカユいうちはまだしも、だんだん痛くなり、Kくんは歩けないほどの水虫になり病院通いになりました。
ドクターストップで学校を休む場合には書類を提出しないといけませんが、その理由に「水虫」、と書かれていた時は爆笑しました。
でもKくんにとっては真剣な痛みであったわけで、すみません。

勝って華やかに見えるラグビー日本代表も、きっと人知れず苦労しているかと思います。
そう思うと感動もひとしお。リスペクトも5倍丸!

 

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