フットハットがゆく【255】「掃除の詩」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2015年2月1日号の掲載記事です。
掃除の詩
年末に書いた個人ブログより抜粋…。
12月30日、会社の営業は終わっておりましたが、自分は仕事が残っていたので朝から事務所に出るなり、南北約50mにわたってカラスが生ゴミを引き散らかしていて、さすがに近所迷惑なので片付け始めました。
一応事務所前のゴミ捨て場のことだし、その日会社に出てきていたのは僕だけだったから責任を持って片付けるけど、最初はやはり、誰のかわからん生ゴミ、きたないゴミを片付けているとなんか悲惨な気持ちになりました…。
でも不思議なもので、一生懸命掃除して、ゴミも捨てて、見るも無惨だったゴミ捨て場がキレイに元通りになったときは、非常に清々しい気分になりました。
何かの詩でもあった気がします…トイレ掃除の詩だったと思います。
『便所掃除の詩』で検索したら出てきます。
さて、3時過ぎには2日前の大掃除で出た事務所の大型ゴミを投棄するために、南部のクリーンセンターへ行きました。
もともと僕の事務イスがぶっ壊れたのが原因で…。自費で購入した事務イスで、3年くらい使っていましたが先日突然壊れて、塩見のイスだから塩見がゴミ処理場に行くという流れになり、ついでに大掃除で出たゴミも便乗することになり、車いっぱい分粗大ゴミを積んで、南部クリーンセンターへ。
僕的には、1日で2回もゴミ屋処理班的ポジションになり、なかなかのイライラ気味でした。
でも…クリーンセンターに行くのは初めてだったのですが、行ってよかったと思いました。
30日が年内最後の営業ということでか、持ち込みゴミの車で長蛇の列。
本来は書類を用意しておかなければなりませんが、ない人のために書類を書くコーナーも設けられており、そちらでマークシート式書類を作成。再び列に戻り、書類を提出、車の重量を量ります。
捨てるものの種類によって番号のカードを与えられ、その番号の線に沿って車を進め、投棄場所へ。
指示通りに車をバックでつけた場所には、深さ30mほどのコンクリートの大穴が。
そこへ、係の人にゴミを手渡し、どんどんと放り込まれて行きます。何日か前までは現役で働いていた道具たちが、役目を終え奈落の底へ。
がしゃーん、がしゃーんと固いものが落ちてつぶれる音が、コンクリの大穴に響き渡り、何か諸行無常を感じました。
帰りはまた車の重量を量り、差重量でゴミの重量を割り出し、それに応じて手数料が決まります。
僕のところは100kg以下だったので1000円でした。
年末で持ち込みゴミが多いということで、おそらく職員さん総出な感じだったと思いますが、みなさん感じもよくテキパキ手際もよく、応対してもらって非常に清々しい気分になりました。
仕事というものは、人に夢を与えるとか、暮らしを豊かにするとか、未来を作るとか、愛にあふれているとか、目に見えてハッピーなものもたくさんありますが、今回クリーンセンターの様子を見て、社会のあり方というものを改めて思い返す気持ちになりました。
もちろんハッピーなものを作るためにも、努力や苦労がつきまといますが、もっと俯瞰(ふかん)した目で社会全体を見ることも忘れてはいけないなと思った45歳の年末でした…。
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