フットハットがゆく【236】「迷信の真実」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【236】「迷信の真実」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2013年7月1日号の掲載記事です。

迷信の真実

獅子は我が子を谷に落とし、上って来た子を育てる、という迷信があります。
厳しくしつけた方が強い子に育つ。かわいい子には旅をさせろ、的な意味で使われることが多いです。
色々調べると、獅子というのは中国の伝説の生き物だという説と、ライオンだという説とあり、現代のイメージではやはり、ライオンが谷に子どもを突き落とす絵が思い浮かびます。

さて、実際にライオンは我が子を谷に突き落とすのかというと、それは嘘らしく、どちらかというと窮地に立った子どもは即座に助けるそうです。
最近話題になった動画で、崖に落ちた我が子を助ける母ライオンの姿が撮影されました。
逆に、オスライオンが子ライオンを殺す、という衝撃の事実もあります。
ライオンは群れで生活し、リーダーのオス一頭とメス数頭、いわゆる一夫多妻制で暮らします。
もちろん強いオスのみがその群れを支配できるわけで、他のオスは群れの外から虎視眈々とリーダーの座を狙っています。
どんなに強いオスも、いずれは老いて弱くなるわけで、そうすると縄張りを荒らしに来た若いオスライオンに負けて、リーダーが入れ替わります。
メスはそのまま新リーダーに従います。
さぁその群れに旧リーダーの血を引く赤ちゃんライオンがいた場合、新リーダーはその子らをすべて殺してしまいます。
ライオンの子殺し、は有名で、映像にもたくさん撮影されています。
なぜ子殺しを行うかというと、授乳中の子がいるとそのメスが自分を受け入れてくれないから、だとか、とにかくオスの本能として自分以外の血は残させない、などの説があります。
平家物語ではないけれど、無抵抗な子どもたちを何も殺さなくても…と思うのですが、自然界の掟は厳しいものです。
威風堂々とした百獣の王が、かわいい赤ちゃんライオンを次々とかみ殺す姿は、見たくありませんね。
僕の想像では、このシーンを最初に見た人が、まさか殺しているとは思わず、父が子を厳しくしつけている風景と見てとったのかも知れません。

種の保存のため、子殺し、のシステムがとられている他の動物として、一部のサル、クマ、カバ、イルカなどがいます。
イメージとのギャップが大きく、にわかには信じられませんね…。
他にも、子を殺してしまう生き物がいます。
例えばメダカやグッピーなど飼うと分かるのですが、自分で生んだ子どもを、餌と間違えて食べてしまうことがあります。
また、ハムスターやリスなど、これも飼うと分かりますが、子を産むとヒステリックになり、それがエスカレートして自分の赤ちゃんを食べてしまうことがあります。
ハチの種類によっては、天敵に巣を襲撃された場合、敵に食われるくらいならと、自分で子を食べてしまうらしいです。

あぁ、同じ種族の子を殺すなんて、動物って残酷だな。馬鹿だな。と思ってしまいそうですが、人間はどうでしょう。
昔は間引きの風習がありましたし、戦争では子どもが必ず犠牲になります。
捨て子や、育児ノイローゼ、出産前に中絶するのも、どうなんでしょう…?
動物ばかりを責めていられない気もします。

 

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