フットハットがゆく【221】「ヤマハのホンダ」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【221】「ヤマハのホンダ」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2012年4月1日号の掲載記事です。

ヤマハのホンダ

先月、撮影の仕事でベトナムのサイゴン(ホーチミン市)に行ってきました。
3月上旬、日本の気温は3℃でした。
サイゴンに着くとおなじ北半球にも関わらず36℃!飛行時間4時間で気温差33℃は辛かったですね(汗)。

サイゴンについて最初の印象は誰もが同じだと思うのですが、「バイクが多いなぁ!」です。
一回の信号待ちに100台以上のバイクが並ぶ、と想像してもらえばいいと思います。
あまりにバイクが多いので、家にクーラーがない人がバイクを走らせて涼んでいる、という都市伝説も出るほどですが、実際にはみな用があってバイクに乗っているのです。
サイゴンは700万人が住む大都市ですが、市内を走る地下鉄や鉄道はなく(市を結ぶ鉄道はあります)、交通手段はもっぱらバイク。
東京都内に地下鉄と電車がなかったら? と考えたら、バイクの量が増えるのもうなずけると思います。
ちなみに、サイゴンだけで300万台のバイクがあると聞きました。
最近でこそ中国産のものが多く出回るようになったらしいですが、やはりホンダ製のものが圧倒的に多いらしく、世代によってはバイクをバイクと呼ばず、「ホンダ」と呼ぶそうです。
だからヤマハのバイクは、ヤマハのホンダ。
それを鈴木さんが持っている場合は、スズキのヤマハのホンダ…ということになります。

ベトナムで次に印象に残るのが通貨ですね。
ベトナム・ドンという通貨が使われており、だいたい今の為替で、1万ドンが40円くらいです。
1万円を両替すると、250万ドンになるわけですから、ちょっとリッチな感覚になりますが、実際に買い物する時は非常にややこしいです。
値札も、ゼロ3つが省かれて表示されていたりするので、慣れるのに時間がかかりました。
通貨の単位がでかい分、ベトナムの方はお金の勘定がおおざっぱだそうで、おつりも1万ドンを切るような端数はくれません。
例えば19万5000ドンの商品を買ったとして、20万ドン札で支払ったとすると、普通はおつりが5000ドンですが、くれないとのことでした。
5000も損した!といっても日本円で20円くらいの話ですが。
でも日本なら1円たりとも間違わずにおつりを出しますから、このへんは国民性の違いといえるでしょう。

国民性といえば日本とベトナムで似ているのは、アメリカを相手に大きな戦争をしたにもかかわらず、現在は親米国である点だと、何かで読みました。
圧倒的兵力で劣っていても、自爆攻撃などで相手を恐怖に陥れたという点でも、日本とベトナムは似ています。
歴史的には、日本の政治介入によりベトナム国民が何万人も餓死する事件などがあったようですが、現在それを蒸し返して政治利用するそぶりもなく、根に持たない国民、といえるそうです。
食べ物に関しては、これは日本人にとって賛否あると思います。
まずパクチー(香菜)嫌いの人には向きませんが、僕は結構口に合うものが多かったです。
3日ほどしか滞在できませんでしたが、僕はベトナムという国がけっこう好きになりました。

 

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