フットハットがゆく【215】「かなわん」｜MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2011年10月1日号の掲載記事です。
かなわん
２０１１年の９月から10月にかけて、ラグビーのワールドカップがニュージーランドで開催されておりまして、僕もＴＶ放送にかじりついて見ています。
もう20年以上も前の話ですが、僕は高校時代ラグビー部でした。
ということで、自身の経験によるラグビー部『あるある』を書きたいと思います。
◎女子からのプレゼントはタオルが多い。
スポーツ選手というのは、何もしていない人よりは女子にモテます。
僕がラグビー部の時もそこそこモテました。
そして女子が何かをプレゼントしてくれる時、決まってタオルでした。
スポーツ選手→汗かき→タオル というシンプルルート。
高校時代はタオルの数が増えました。
かなわん！
◎顔面にケガをしているとなぜかモテる。
ラグビーはフルコンタクトのスポーツなので生傷が絶えず、顔面も傷だらけ…ジャニーズ系の美顔好みの女子には敬遠されるかもですが、意外と女性本能をくすぐるようです。
なぜか顔面にすり傷がある時に限ってモテたりします。
かなわん！
◎耳がつぶれる、痔になる、水虫になる。
普通にフォアード（スクラムを組むポジション）をやっていますと、耳がつぶれて柔道選手のようになります。
あと、スクラムで尻を押しまくるので、痔になる人がいます。
さらには全天候スポーツ（雨でも中止しない）なので、スパイクが蒸れて水虫になる人がいます。
顔面の傷と違い、これらのケガ（？）はモテる対象になりません。
いやぁマジかなわん！
◎泣くとカメラマンに狙われる。
試合に負けてグラウンドで泣きじゃくっていたりしますと、アマチュアカメラマンに狙われます。
カメラマンが撮りたいのは、ほとばしる青春の汗、涙…。
勝って歓喜の涙、負けて悔しい涙、いずれもカメラマンの欲しい画になります。
とくに雨の日の試合などは、ジャージも顔も泥んこになりますし、そんな中泣きじゃくりますと、まさに泥・汗・涙の青春三拍子！
美味しい写真が撮れます。僕もよく泣く方だったのでよく狙われました。
かなわん！
◎スクラムを組む…のリアルな意味が分かる
結束を固めることなどの意味で、しっかりスクラムを組んで行こう！などといったりしますが、実際にラグビーのフォアードを体験するとその意味がよくわかります。
スクラムは８人で組み（15人制ラグビーの場合）、個々の体重が重い方がもちろん有利です。
しかし体重のみでスクラムの強さが決まるなら、相撲取りを８人そろえればいいのです。
それよりも重要なのはまさに結束で、味方同士のジャージを指がちぎれそうになるほどしっかり握り、がっちがっちに体を密着させます。
そして８人全体を一つの固まりにして、パワーを前面に押し出します。
スクラムががっちり組めた時の気持ちよさは、やったものでないと分からないかもしれません。
他にも、トライ、ノーサイド、ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワンなどの言葉のリアルな重みを、ラグビー部では体感することになります。
辞書もかなわん、ラグビー金言の真意がわかります。
カーワン 1964〜 ニュージーランドの元ラグビー選手、ラグビー指導者。
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