フットハットがゆく【214】「年ちゃうん?」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2011年9月1日号の掲載記事です。
年ちゃうん?
私、42歳ともなると年々老ける一方…体力、思考、精神力も含めて、「もう年ちゃうん?」と思ってしまうこと多々。
これではいかんと思いまして、何がいかんといって平凡な日々の繰り返しがいかんと思うのです。
子どもの頃は、毎日が冒険、毎日が新しいこととの出会い…そんな時期は楽しくてしようがなかったですね。
とうことで毎日とはいかないまでも、せめて月に1回は、「これまでに経験したことのないことをする」と決めました。
先月、肺気胸で入院して、手術して、そして点滴を引きずったままよれよれの浴衣で鏡に映った自分を見て、嫌気が差したのです。
このまま老いさらばえるか?もう一度青春を取り戻すか?
…つうことで後者を選んだわけです。
月1回の初体験が、人生を新鮮に保つと信じて…。
さて、今月の僕の初体験は、え〜と、男1人でスイーツを食べにいってみました。
そして、その店の売れ筋№1のチョコレートパフェを頼んで食べました。
元々僕は大の酒好きで、左党というか辛党というか、甘いものはほとんど食べず、男のくせにチョコやパフェを食うやつはオカマや!とさえ思っていました。
それが手術後お酒をやめて…やめるとなぜかアリのように甘いものが食べたくなって、ソフトクリームやまんじゅうを毎日食べるようになりました。
そういう流れで、男1人のスイーツに挑戦したわけです。
甘いものが好きになったとはいえ、まだ甘党初心者なので、さすがに800円もするチョコレートパフェ1個を食べ切るのはキツかったです。
単純に考えて、アイスの上に生クリームやチョコレートをかけて食べるのは、焼きそばの上にお好み焼きをのせてその上にたこ焼きをトッピングして食う…という感覚に似てませんか?
そもそも無理があると思いましたが、なんとか食いきりまして、鼻血が出てないか心配になるほど、甘さの刺激が鼻から脳天をつんざきました。
以前なら2度と食うまいと思うところですが、今回はまた来よう…と思いました。
さて、1人でそのパフェを食べているとき、横の席にOL風の女子2人組がおりまして、日焼けした男が好きだけど、明らかに日焼けサロンで焼いたような日焼けは嫌いだ…という話をしておりました。
僕はその『日焼けサロン』というものを、言葉としては聞くけども、実際に行ったことはないな…と思い、次の日いってみました。
蛍光灯がずらり並んだ感じの宇宙カプセルのようなものの中に素っ裸で入って、何十分かかけて焼くのですが、ぼくは『日サロ』初体験だもんで、弱火の短め時間の設定で焼きました。
素人がいきなり強めに入ると、火傷のようになってしまうのは、太陽光と同じ。
ということで一回目はおそるおそるの初心者設定で、見た目にはほとんど焼けたのかどうかわからないほどでしたが、夜は体が火照ってなかなか寝付けませんでした。
『日サロ』でキレイに焼くには何回か通わねばならず、また行こうと思います。
明らかに日焼けサロンで焼いたような格好で、またパフェを食べに行きたいと考えています。
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