フットハットがゆく【211】「死と恩3」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【211】「死と恩3」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2011年6月1日号の掲載記事です。

死と恩3

ふと、生き物の寿命について調べた、シリーズ最終回です。

よく、地球最強の生命力を持った生き物は?・・・という話題になった時に最初に名前が出るのがゴキブリですね。
何でも食べますし、逆に何にも食べなくても1ヵ月くらい平気で生きています。
繁殖力もあり、脳が胴体にもあるらしく、頭が取れても何日かは生きている。
放射線にも強く、核戦争を引き起こして人類が滅亡しても、ゴキブリは生き残るといわれています。
そんな生命力満点のゴキブリですが、寿命そのものは半年〜1年くらいといわれています。

生命力と寿命が必ずしも一致しないという点では、クマムシが顕著です。
ムシといっても特殊な分類の生き物で、1mm以下の大きさ、見た目はダニのような感じです。
クマムシは乾燥して仮死状態になると、なんとそのまま120年経っても蘇生可能といわれています。
仮死の状態で摂氏150℃になろうと零下数百℃になろうと、大丈夫。
人間の致死量の1000倍の放射線をあびても平気で、真空、宇宙空間もオーライ。
水がある場所に戻ると蘇生して動き出すそうです。
もし仮に地球が大爆発を起こして破裂しても、乾燥状態でそのかけらに乗り、何百年か後に水のある惑星にたどり着いて蘇生する、そんなSFチックなことも可能なのです。
もしかしたら、そうやって他の星からやって来たのかも知れません。
そんなクマムシも、普通に生きていれば、半年くらいの寿命だそうです。
無意識なら100年生き延びるが、有意識なら半年で死ぬ、なかなか含蓄のありそうな生命体です。

もしかしたら宇宙からやってきたのではないかと思う生き物に、クラゲがいます。
クラゲの一種には、いったん老化した後、若返って幼体に戻るものがいるそうです。
幼体にもどると再び大人に成長し、老化していく。
老化しては若返り、老化しては若返る、地球の常識では考えられないような生命体、宇宙人かも?と思っても不思議ではありません。
しかしそんな、寿命のない特殊クラゲも、他の生き物に食べられたら死ぬわけで、決して不死というわけではないのです。

細胞分裂をして増える単細胞生物、たとえばゾウリムシのようなもの、これは寿命が分かりにくいですね。
ゾウリムシはどんどん細胞分裂をして増えていきます。
全く同じコピーが、分裂によって生まれます。
そうやって新鮮なコピーが生まれ続けることにより、生命体としての寿命、限界点が分からなくなるのです。
かりに今、筆者塩見が分裂コピーされて、全く同じ塩見が二人になって、一人の塩見が死んだとしても、もう一人の塩見が生きていれば、塩見そのものは死んだことにならず、また分裂を繰り返して塩見がどんどん繁殖して、そのうち何人の塩見が死のうと、一人でも塩見が生きていれば、塩見は死んだことにならないのです。
ゾウリムシ的に考えるとそうなります。
最後は完全に禅問答のようになってしまいましたが、様々な生き物の、様々な生き方を尊重しつつ、これからも生きていこうと思います。

 

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