フットハットがゆく【188】「不自然な表題」｜MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2009年9月16日号の掲載記事です。
不自然な表題
ビデオ撮影の仕事ではインタビューを撮ることも多いです。
インタビューに答える人のパターンはだいたい３つに別れるので、今日はそれを紹介してみたいと思います。
仮に回答者を30代男性とし、同じ３つの質問をしたとします。
Ａさんの場合
Q1.「好きな色は？」
Ａさん「赤です」
Q2.「好きな食べ物は？」
Ａさん「寿司です」
Q3.「座右の銘は？」
Ａさん「一期一会です」
Ｂさんの場合
Q1.「好きな色は？」
Ｂさん「基本的には暖色系、特に赤が好きですが、その時の気分や季節によって寒色系を好む場合もあります」
Q2.「好きな食べ物は？」
Ｂさん「これも気分や季節によりますが、基本的には素材の良さを生かした料理が好きです、例えば寿司とか。でもたまに焼肉とか濃い味のものも食べたくなりますね」
Q3.「座右の銘は？」
Ｂさん「仕事をする上では誠心誠意、一期一会などの言葉を大事にしていますが、家庭に帰れば絆、家族愛、そういった言葉を意識しています」
Ｃさんの場合
Q1.「好きな色は？」
Ｃさん「僕ですか？」
Q.「あなたの好きな色です」
Cさん「僕の好きな色…何色やろ？（と、まわりにいる自分の知人に聞く）」
知人「赤のＴシャツたくさん持ってるよね」
Ｃさん「そうそう、赤の服が多いってよくいわれます」
Q.「じゃぁ赤が好きなんですね？」
Ｃさん「赤が好き…ってわけではないんですが、まぁ赤の服が多いってことですね」
Q2.「はぁそうですか。では、好きな食べ物は？」
Ｃさん「僕ですか？」
Q.「あなたの好きな食べ物です」
Ｃさん「ハンバーガー」
Q.「はい、では…」
Ｃさん「あ、でもあれも好きですね。あれ、クルクル回るやつ」
Q.「回転寿司ですか？」
Ｃさん「そう、それ」
Q3.「では座右の銘は？…あなたの！」
Ｃさん「ザユ〜ノメ〜って何？（と、まわりにいる自分の知人に聞く）」
Q.「えっと、人生において大切にしている言葉というか。教えというか」
Ｃさん「大切にしている言葉…何やろう？（と、まわりにいる自分の知人に聞く）」
知人「一期一会にしといたら？」
Ｃさん「イチゴイチエ…って何？」
Q.「もういいです…」
以上、いろんな人がいますんでね、ビデオ編集する時は本当に苦労します（笑）。
かつて街頭インタビューの達人といわれた越前屋俵太さんが、街ゆく素人相手にとても面白いインタビューを引き出し、究極には動物園で様々な生き物にインタビューして笑いを呼ぶという名人芸というか達人技を見せていました。
僕ももっと修行して、きっちりインタビューを撮れるようにしたいですね…。
越前屋俵太 1961～ 探偵!ナイトスクープなどで活躍したタレント。街頭インタビューの達人。
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