フットハットがゆく【187】「不安ブル3」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【187】「不安ブル3」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2009年9月1日号の掲載記事です。

不安ブル3

生まれ変わってその虫になってしまったらどうしよう?不安でブルブル…ということで、人間の常識からは考えられないような昆虫の生態を紹介するシリーズ最終弾は、2匹の虫の一生について考えてみます。

短命?長命?『セミの一生』…

先日、甥っ子と山登りをしたとき、セミがよく鳴いていたので「セミはどれくらい生きると思う?」と聞くと、1週間、との答えでした。
もののあはれ、はかなさの代表にあげられる短命イメージのセミですが、その寿命は3年から17年といわれています(種類によります)。
日本で最も一般的なアブラゼミで6、7年といわれます。

セミのメスは木や朽ち木の隙間に卵を産みます。
翌年孵った幼虫は土中に潜り、木の根っこから樹液を吸い取って生きます。
土の中でぬくぬく過ごすと思われがちですが、モグラ、ケラ、など天敵も多く、そりゃぁどんな世界でも、生きていくのに楽ばかりなんてことはありませんよ。
で、何年も何年もかけて、あの抜け殻で有名な幼虫の形になります。
そしてついに土を出て木に登り、最終脱皮をして成虫になるんです。

成虫になったらなったで、鳥、スズメバチ、虫取り少年など天敵も多く、そりゃぁ1週間くらいで死ぬ場合もあるでしょうが、普通は1ヵ月ほど生きるそうです。
セミは他の昆虫と比べ飼育が非常に難しく、飼おうとするとすぐ死んでしまうので、一週間しか生きない、という俗説が出来たそうです。
とにかく、日本では一年虫(1年しか生きない虫)が大多数であるのに対し、6年も7年も生きるのはかなりの長命だといえますね。

幸せ?不幸せ?『カイコの一生』…

カイコはガの仲間で、絹糸(シルク)をとるために人に家畜化された虫なので野生には存在しません。
仮にカイコを森に逃がしても、枝につかまることさえ出来ず、白色で防衛本能がないためにあっという間に他の動物の餌食に…。
5000年もの昔から人に飼われてきたカイコは、人が育てないと生きていけない虫なのです。

カイコの幼虫は人に与えられた桑の葉をモリモリ食べて育ち、やがて口から糸を吐き出してマユを作ります。
幼虫はマユの中でサナギになり、羽化した自分を夢見て眠っているわけですが、人はそのマユを熱湯にぶち込んで茹でます。
そしてほぐれたマユ糸を紡いで絹糸にするのです。死んだサナギはコイやニワトリ、ブタなどの餌にされます。
国によっては、そのサナギを人が食べる場合もあります。
タンパク質たっぷりで美味しいらしいですよ。

繁殖用にマユを破って出てきた成虫のカイコガは、羽が退化して飛ぶことが出来ず、食べ物を食べるための口もありません。
飲まず喰わずで生殖活動を行なうのみです。
ガになっても防衛本能はなく、人が近付くと寄って来るそうです。
成虫の寿命は約10日、生まれてから死ぬまで約50日という一生…。
人なしでは生きていけず、さんざん利用されて殺されても逃げるどころか寄って来る虫。
彼らは幸せなんでしょうか?不幸せなんでしょうか?

 

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