フットハットがゆく【152】「アナーキー棲む界隈か!?」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【152】「アナーキー棲む界隈か!?」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2008年3月1日号の掲載記事です。

アナーキー棲む界隈か!?

今回は、『それはアカンやろ?』という話である。

回転寿司に行きカウンター席に座ると、隣りの席のおじさんが、1皿取るごとに新しい割り箸を割って食べていた。
テーブルの上は皿とともに割り箸だらけ…。
『…それはアカンやろ?』
目上の人だったが一応、「おじさん、割り箸使い過ぎですよ」と注意したら、酔った感じのおどろおどろしい目で「何本使おうとわしの勝手やろッ!」といってきた。
このおじさんにいったい何があったのか知れないが、関わるのもしょうもないので、そのまま席を立った。

これは昔テレビで見た話…。
とある会社員Aさんは非常に貧乏性で、たまに出張でホテルに泊まるとその備品(石けんや歯ブラシ)は、その時使わないものも全て持ち帰る。
まぁ使い捨ての備品であれば、なんとなく許せる。
しかしその人にとって一番の楽しみは、洗面台とシャワーの水を全部出しっぱなしにすることなのだそう。
使おうが使うまいが、部屋に入った瞬間から水道は出しっ放し。
テレビを見ていようが、寝ていようがずっとである。
普段、水道代に気をつかいながらせせこましい生活をしているので、ホテルで水を出しっぱなしにすると、非常に快感なのだそうだ…。
でも、
『…それはアカンやろ?』
マイ箸を使ったり、水や電気をこまめに節約したり、地球規模のエコも個人の小さな努力から…と頑張る人がいる一方、悪い意味でアナーキーなこんな人々も界隈に棲んでいるのである。
人類の未来っていったい…。

さてこれは高校時代のこと…。
友人と街を歩いていると急に、「あ、カギついてる」といって、駐輪してあった自転車のカギをサッと抜いた。
そしてそれを、近くにあった花壇の土の中にズボッと埋めてしまった。
僕が「オイオイ、何なん? 誰の自転車なん?」というと、彼は「誰のか知らんけど、こうしたったら困りよるやろ」と、笑った。
…聞くと、彼はカギがついたままの他人の自転車を見つけると、それを抜いてどこかに放ったり埋めたりするという…。
『…それはアカンやろ?』
それ以来、彼と友人付き合いはない。
そして僕はどんな短時間でも、必ず自転車のカギをかけるようになった。

『…それはアカンやろ?』という人々…
彼らが実在するのは事実であり、紙面で書けないようなえげつない人も色々見てきた。
これらは必要悪なのか?
世の中には性善説、性悪説があって、人の本性は善なのか?悪なのか?という学説が様々あるが、僕は性善悪混合説を唱えたい。
反論を受けるかもしれないが、世の中には性善と性悪の人がバランスよく50%-50%に存在していると考えるとつじつまが合うことが多い。
陰と陽。光と影。ダークサイドとジェダイ…である。人
間社会の難しいところは、本性は悪だが善人のような顔をしている人がいたり、本性は善なのに何かの拍子に罪を犯してしまう人がいたりするところである。

今回はとてもせちがらい話になってしまったが、とにかく世の中には色々な人がいるのである。

 

アナキン・スカイウォーカー 映画『スターウォーズ』の登場人物。正義のジェダイ騎士であったが、やがて悪の化身ダース・ベイダーとなる。

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