フットハットがゆく【110】「労農神女」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2006年6月1日号の掲載記事です。
労農神女
いよいよ、サッカーワールドカップの時期がやってきた。
僕は実際にドイツで観戦しようと、いろいろ計画を練ってきたが、肝心のチケットが取れず断念。
一時期はサポーターをやめようかとも思ったが、ひねくれずにちゃんと日本からエールを送ることにした。
観戦のポイントは、いわずと知れたジーコジャパンの勝負の行方と、1986年メキシコ大会のマラドーナ以来となる、超超スーパースターが出現するか?である、もちろんロナウジーニョのことである。
日本はグループFで、優勝候補大本命のブラジルと対戦する。
ブラジルは過去3大会で2回優勝、1回準優勝と、サッカー大国にふさわしい成績を残している。
メンバー的にはロナウジーニョ、カカといったのりにのっているスーパースターに加え、ロナウドやロベルト・カルロスといった化け物的プレイヤーも健在。
その他にもアドリアーノ、ロビーニョなど1人で局面を打開できるような選手がうじゃうじゃといる。
今大会の優勝候補は?という話題で「ブラジル」と答えたらあまりに普通すぎてつまらない、という感じである。
でも、かならずしも優勝候補が勝つとは限らないのがワールドカップ。
例えば、前回大会の日韓WCの時は、優勝候補としてアルゼンチンとフランスの名前が挙げられており、この2カ国の決勝進出が堅いと見る人が多かった。
アルゼンチンにはベロンというスーパー司令塔がおり、オルテガ、アイマールといったMFも絶好調。
ベテランFWのバティストゥータ、クレスポなどの活躍もあり、圧倒的な強さで南米予選を勝ち抜いた。
一方フランスは、ファンタジスタのMFジダンを筆頭に、FWに英伊仏3カ国のリーグ得点王(アンリ、トレセゲ、シセ)を擁するという、まさにヨーロッパチャンピオンにふさわしいドリームチームだった。
ところがいざ本大会が始まると、両国ともグループリーグで敗退した。
アルゼンチンは因縁深きライバル、ベッカム率いるイングランドに屈して歯車が狂い、無念のリーグ敗退。
フランスに至ってはジダンの怪我が大きく響き、たったの1勝も、たったの1ゴールもできずにWCから去った…。
一方、南米予選でアルゼンチンにコテンパにされ、本大会が近づいてもチームの内輪もめがささやかれるなど、「今回のチームは弱い」といわれていたブラジルが、ふたを開けてみると快進撃。
これといったピンチがないままの、完全優勝だった。
ほんとサッカーとは分からないものである。
そう思うと、日本にも勝機はあるかな?と思う。
下馬評では、グループFのクロアチア、オーストラリアとも日本より格上であり、世界中の大部分の人が、日本のグループ最下位を予想している。
しかし逆にこういう時にこそチャンスがあったりするものだ。
初戦の豪州戦の乗り切り方によっては、世界を驚かすような展開もあり得ると思うし、ぜひそうなってほしい!
労を惜しまず動き回る農耕民族に、勝利の神女が微笑みますように!
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