2011イギリス語学留学vol.3 授業以外にも毎日8時間の猛勉強|MKタクシー伊藤司朗
目次
1992年に始まり、時代に合わせて改善・強化し続けてきたMKの海外研修。
京都MK伏見営業所の伊藤司朗社員によるレポートを紹介します。
MKの海外研修制度
第20期となる今回は、京都MK伏見営業所の伊藤司朗社員、上賀茂営業所の荒木寿史社員、西五条営業所の清水伸人社員、ハイヤー課の福井俊裕社員の4名がイギリスで1ヶ月間学びました。
海外研修出発式
2011年9月16日に京都MK本社で「第20回海外研修出発式」を行いました。
出発前のひとこと
日本を語る英語から、世界を語る英語へ”―英会話ドライバーとして外国からのお客様に京都のこと、日本文化のことを英語で紹介してきました。
この英国留学で世界を語る英語力を身につけることができればと思っています。
頑張ってきます。
海外研修レポート
今回の英国留学で私が最も感じたことは、私を含めて日本人全体にいえることだと思いますが、あまりにも英国のことを知らなさすぎること。
そして、ヨーロッパを中心とした世界観の中で日本がどう見られているかという意識を持って、世界の政治、経済、文化もちろん観光も含めて考える必要性を深く感じたことです。
誇り高く親切な英国人の風格に感動
私にとって今回が初めての英国でした。
これまでの私の英国人観は、「英国人はきっと気位が高く、自信過剰で、きっと私のように第2次世界大戦で敵国であった日本人は差別的な眼で見られるだろう」といった固定観念をもっていました。
ところが、実際はポーツマス、ロンドン、ブライトンと、どこへ行っても英国人はすごく親切で、こちらから話しかけてもまず笑顔が返ってきました。
ロンドン塔の交差点で地図を広げて地下鉄の駅の場所を確認していたときも、通りがかりの人が「何を探しているのですか?」と話しかけてもらい親切に教えてくれました。
アメリカ、フランスなどで人種差別的な扱いを受けた経験のあるわたくしにとって、英国人の寛容さと親切さにはとても感動しました。
英国人と話していると、その長い歴史と文化に高い誇りを持ち、日々の生活においても、「私は英国人だからこう考えて、こういう風に行動する」とところどころで感じることがありました。
私がホームステイしていたデイビッドさんは、「最近の若者たちはすっかり英国人らしさがなくなってしまった」と嘆いていましたが、ポーツマス大学の学生も髪をきちんと散髪し、着ているものも決して高級品ではありませんがセンスの良い服装で、男らしくきりっとしていて風格を感じさせる学生が多く、女子学生もクール(かっこいい)の一言でした。
滞在先のポーツマスは、15世紀末に王立造船所ができて以来、英国海軍の軍港、要塞として発展してきた街です。
世界で初めてDri dock(乾ドック)が造られ、ドックの一角にはトラファルガーの海戦で活躍したネルソン提督の旗艦・HMSヴィクトリー号や世界初の鉄製甲板戦艦・HMSウォリアー号が保存されています。
イギリスを代表する作家であるチャールズ・ディケンズの生地としても知られ、人口は約18万人。
第2次世界大戦中の1944年、ノルマンディー上陸作戦出撃の基地となったことでも有名で「Dデー博物館」もあります。
日本のとは全く違い、ついていくのに必死な授業
LSI語学学校は、ロンドンの南西約100km、鉄道で約1時間45分のポーツマス中心部にあり、周辺にはポーツマス大学、ポーツマス・サウスシー駅などがあります。
最初の登校日に能力別のクラス分けテストが実施されました。
授業は1週間単位のカリキュラムで構成され、毎週月曜日に新しい生徒が入学し、金曜日には予定の学期を終了した学生が卒業していきます。
通常の授業のほかに、自習室でコンピューター、オーディオビジュアルを利用して、自分の弱点補強の自習が出来る設備がありました。
学校のコンピューターを使って、休憩時間にスカイプで家族や友達と連絡を取り合っている生徒も見かけました。
パソコンの使用は無料。私もロンドンへの日帰り旅行をする際にネットで往復の割安チケットの手配をしました。
私の所属したProficient(熟練)クラス4週間のカリキュラムは次のような内容でした。
- 第1週 説明文「自分の住む町を語る」
- 第2週 犯罪に関する表現・医療に関する表現
- 第3週 感情表現「国の特性と国民性の表現方法」
- 第4週 BBCニュースから英国の若年層の就職難と賃金の低下について
授業は難しく、スピードも速く、覚えなければならない単語はたくさん。英語学習の留学が初めてだった私にとっては、全てが日本の学校での英語の授業と違いました。
クラスメートは国際ビジネスの一線で活躍し、英国にもすでに何回も留学経験を持つ人たちでしたので、ついていくのが大変でした。
最初の1週間、ここで落ちこぼれてはいけないと、復習と予習、レポートの宿題をするのに授業以外に7~8時間勉強しました。
最初の11週間の頑張りが功を奏して、2週目からはずいぶん楽になり、クラスメートとも打ち解けてました。
午前中の授業の合間のコーヒーブレイクには、お互いの国のことなどを話し合い楽しいひと時を過ごしました。
朝食を巡って英仏間で火種が!?
ポーツマスでの4週間は、今から思えばまたたく間に過ぎていきました。
しかし私にとって生涯忘れることのない充実した毎日でした。
私がホームステイしたのはLSI語学学校から徒歩で約25分のジェンキンソンご夫妻宅です。
ご主人のデイビッドさんと奥さんのフェイさんの2人暮らしで、ご主人は元エンジニアで今はリタイアされています。
家は3階建ての一軒家でほかに同じLSIに通う3名がホームステイしていました。
英国といえば、イングリッシュ・ブレックファーストという言葉がすぐに思い浮かびます。
ハムと卵、サラダに様々なジャム、ママレードがついた豪華な朝食をあてにしていた私ですが、ホームステイ先の朝食は、トースト2枚とシリアル(コーン・フレーク)それとコーヒーか紅茶という内容でした。
裕福な家庭の奥様方だという同じホームステイメンバーのベロニカとインナは、自国では毎日サラダをいっぱい、それにチーズとハム、オレンジジュース、果物といった贅沢な朝食を食べていたとのことです。
朝食にたいそう不満を持ち、挙句の果て自分たちで勝手にチーズ、サラダ、果物などをスーパーマーケットで買いこみ、冷蔵庫に詰め込んだものだから、フェイさんが顔を真っ赤にして「冷蔵庫がいっぱいじゃないの、どうしてくれるの!!」と怒ってしまいました。
昼食時、学校のカフェテリアでフランス人の友人ジーンとベロニカと私との間でそのイングリッシュ・ブレックファーストの話で盛り上がり、「ポーツマスは好きだけど、あの朝食はちょっとひどいとガイ先生に言ったら『君は刑務所の囚人か?』とからかわれた」と、散々私がこきおろしていました。
それをそばで聞いていたショーン・コネリー似のビル先生が「お話し中たいへん申し訳ないが、確かにイギリスの上流家庭ではそういった豪華なEB(イングリッシュ・ブレックファースト)を出す。私も子供のころはそういったEBで育った。しかし、それは50年も前の話で、現代は、ほら、忙しい時代でしょう。EBは時間も手間もかかるでしょう。だから、最近のイギリスの一般家庭では、だいたいそんな簡単な朝食なんですよ」と。
私たちは「しかし、英国に来る人たちは誰でもEBに大いなる期待を持って来ているから、あれはちょっとがっかりですよ~」と切り返し、イギリス対日本・フランス連合の対決となった次第。
フランス人は食に対するこだわりが強く、フランス料理に対してたいそう誇りを持っていて、何かとイギリス料理との比較対照にしていました。
歴史的にみても、イギリスとフランスはジャンヌダルクで有名な百年戦争を戦うなど、昔から決して仲が良いとはとてもいえないような間柄です。
渡航前からイギリスへ行ったことのある人々から、「イギリスの食事はまずい」といったことを散々に聞かされていましたが、高名なフィッシュ・アンド・チップスはとても美味でした。
鱈の切り身に衣をつけて油で揚げたもので、チップスが付いてきますが、日本のポテト・チップスと違いマクドナルドのフライド・ポテトよりもやや大きめでかなりの量です。スモールサイズでも食べ切れないほどでした。
値段は6~8ポンド(日本円で700~900円ほど)で、持ち帰りにすると安くなります。
その他にも、サバの燻製、Kipperと呼ばれるニシンの燻製は、日本人向けの味でお勧めです。
まるで博物館のようなロンドンの街
週末のロンドン観光では2日間かけて歩きまわりました。街中がまるで博物館のようでした。
ロンドンは1666年に大火があり、その後に大建築家クリストファー・レンが建設したセントポール大寺院、大火記念塔、チェルシー王立病院といった古典的な建物と現代の建築家ノーマン・フォスターの前衛的な建物が共存する街です。
驚いたことに、ナショナル・ギャラリー、大英博物館、テート・ブリテン美術館といった有名な美術館、博物館はどこも入場無料です。
日本での高い入場料のことを考えるととても助かりました。
ロンドンでの移動には駅で「ワン デイ トラベルカード」という鉄道、地下鉄、バス一日乗り放題のパスを駅で購入すると便利です。
中心部周遊プランであれば6.6ポンド(約800円)です。その都度支払うと大体4ポンドかかりますのですごく重宝しました。
ロンドンの地下鉄で驚いたのは地下50m以上あるのではないかと思われるほど深い場所を電車が走っていることでした。長いエスカレータを乗り継いでプラットホームにたどり着きます。
これなら、核攻撃を受けても大丈夫といった様子でした。
実際、第2次世界大戦中のロンドン大空襲のとき市民は地下鉄のホームに避難していたそうです。
電車の形も天井部分が斜めにカットされた形で、日本の車両より幾分せまい感じです。
有名なロンドン・タクシーは、ブラック・キャブと呼ばれ黒塗りのクラシックな車体です。
特徴は運転席と後部座席の間がガラスの遮蔽板で完全に隔離されていることです。
メーター制で日本と同じく距離と時間で加算されるそうです。
ドアサービスはなく、支払いは目的地に着いてから車から降りて助手席の窓越しに支払いをするシステムです。
料金の10~15%のチップが必要です。ロンドン・タクシーのドライバーになるには地理の非常に難しい試験があり、それだけにドライバーは仕事に誇りを持っているそうです。
ポーツマスが英国王室海軍の本拠地であることからポーツマスの港の奥、ロイヤルネイビーのハーバーには航空母艦、巡洋艦、イージス艦といった最新鋭の戦艦が30隻近く停泊していました。
世界史の中で、常に最終的には戦勝国であり続けてきた大英帝国には、国中のいたるところに戦争に関する博物館があります。
他国の侵略に対して断固立ち向かうといった強い自負と決意を感じました。
おわりに
MKでは、外国語で観光案内をできるドライバーを養成するため、1992年から海外留学制度を開始しました。
営業所でもネイティブ講師によるサロン型の勉強会を毎月数回開催しています。
充実した研修制度によって育成したESD(Englishi Speaking Driver)は、海外からのVIPの対応や国際会議の送迎など豊かな経験を積んでいます。
海外からの大切なお客様の対応の際は一度MK観光タクシーにご相談ください!