「祇園祭」で京都は祭ムード一色に!京都人の誇りであり生活の一部
目次
京都人にとって、7月は特別な一ヶ月です。
もちろん、祇園祭が始まるからです。7月の京都は祇園祭一色に染まります。
千年の長きにわたり続いている祇園祭は、山鉾巡行だけではありません。京都人にとって生活の一部であり、祇園祭への誇りを感じずにいられません。
「祇園祭」で京都は祭ムード一色に!京都人の誇りであり生活の一部
挨拶は「祇園祭どすな~」「しっかり、暑おすな~」
生粋の京都人の間には「祇園祭どすな~」というあいさつがあります。
これは、祇園祭の人出が最高であると同時に、暑さも最高であってほしいという京都人の願いが込められています。
暑い祇園祭であってほしいという京都人の期待のあらわれなのです。
言われた京都人は「しっかり、暑おすな~」と返します。
夏の暑さに負けないようにしましょう、という京都人の心構えなのです。
もっとも、近年の異常な暑さの前では、祇園祭といえども京都人といえどもそんなことも言っていられないというのもまた本音です。
このような京都人の季節のあいさつひとつをとっても、祇園祭が京都人にとって、いかに重要な行事であるかがわかります。
17日と24日の山鉾巡行やその前夜の宵山だけが祇園祭だと思っている人もいますが、京都人にとっては1ヶ月にわたる長い祇園祭なのです。
1日の「吉符(きっぷ)入り」から始まって31日の「夏越祭(なごしさい)」で締めくくられます。
山鉾巡行もその間に行われる祇園祭の行事のひとつです。
しかし京都人にとって、祇園祭の楽しみはそういった行事だけではないということを知っていただきたいと思います。
コンチキチンの祇園囃子
7月の日暮れ頃になると、あちこちから聞こえてくるのが祇園囃子(ぎおんばやし)。
いわゆるコンチキチン。祇園祭の宵山と山鉾巡行で京都人にはおなじみです。
練習自体は年間を通じて行われていますが、7月になると各山鉾の会所での本格的な練習がはじまります。
「二階囃子」とも言われ、四条界隈をぶらりと歩いていると、山鉾の会所二階から囃子が聞こえてきます。
祇園囃子が聞こえてくると、京都人でなくとも京都を訪れた人々は一気に祇園祭モードへと突入します。
二階囃子も実施日程が公開されています。
山鉾によって違いはありますが、例えば長刀鉾の場合、7月1日~4日、6日~8日の18時~21時に行われます。
http://www.gionmatsuri.or.jp/news/133
西洋から来たものを取り入れている京都人の“粋”
安土桃山時代から江戸時代にかけて、祇園祭の各山鉾は豪華な飾り付けを競うようになりました。
西陣織はもちろんのこと、ゴブラン織(フランス織物の一種。精巧さとあざやかな色彩で有名)の飾りをつけたの祇園祭山鉾が登場しました。
山鉾を装飾する飾り物や幕地を、懸装品(けそうひん)と言います。
例えば鶏鉾(にわとりほこ)の背面に飾られる懸装品(けそうひん)の見送りは、16世紀にベルギーで製作されたタペストリーです。
元は1枚のタペストリーだったのを3分割したもので、残りは霰天神山(あられてんじんやま)の前掛と長浜祭(滋賀県)の鳳凰山の見送りとして使われています。
同様に、白楽天山の前懸は、16世紀にベルギーで製作されたタペストリーです。こちらも三分割され、残りは大津祭(滋賀県)の月宮殿山と龍門滝山の見送りとして使われています。
これらのタペストリーは、16世紀末頃に南蛮貿易によって日本に渡来したと考えられていますが、詳細は不明です。
当時でもすでに数百年の歴史を持つ祇園祭に、西洋から来たものを何のためらいもなく山鉾へ取り入れているところが京都人の“粋”を感じさせます。
京都人というと、保守的な人々だと思われがちです。
京セラや任天堂、日本電産などを生み出したり、パンの消費量が日本一であることからもわかるとおり、京都人には新しいもの好きな気質があるのです。
今も伝統技術の粋を凝らして新調される懸装品
古くから伝わる織物は重要文化財の指定を受けるものも多く、祇園祭の山鉾が「動く美術館」と呼ばれるゆえんです。
祇園祭の山鉾は側面や後方など四方から鑑賞するのが長年見続けている京都人的なポイントです。
毎年どこかの山鉾では懸装品が新調されており、新しい懸装品をチェックするのも楽しみのひとつです。
元のデザインのまま復元新調されることもあれば、全く新しいデザインで新調されることもあります。
どちらにしろ職人へのプレッシャーは半端ありませんが、それにこたえるのが祇園祭にたずさわる職人の心意気です。
前述の祇園祭の鶏鉾の見送りも、2003年に2年の歳月と3,000万円の費用をかけて新調されたものが今は使われています。
もちろん原品も大切に保管されています。
新調にあたっては、どれも京都が誇る伝統技術の粋を凝らして作られたものです。
古いものを順次新しいものに交換していくことで、京都人は1,000年以上にわたって祇園祭を維持されてきたのです。
常に新しいものを作ることで、貴重な技術が現在にいたるまで京都人によって長らく京都で伝承されてきました。
2022年は、鶏鉾の下水引が新たに新調されました。
2017年から1年に1枚のペースで製作されていたのが、ようやく完成したのです。
神紋などがならぶ緋色の羅紗でできた二番水引と、その下の四季の花鳥が描かれた三番水引です。
新しい三番水引の下絵は、以前の下水引と同じく、松村景文の絵が用いられています。
実に約200年ぶりの新調となります。
京都人にとって山鉾巡行や宵山だけではない祇園祭の楽しみ方
7月10日から順次、祇園祭では各山鉾が建てられはじめます。これを境に、一気に京都人には祇園祭のムードが盛り上がります。
山鉾建てがはじまると、各山鉾町ではそれぞれが所有する山鉾の御神体が披露されます。
17日の祇園祭、山鉾巡行ではゆっくりと見ることのできない御神体を間近で鑑賞できます。
13日には山鉾の曳き初めが行われます。山鉾巡行は成人男子のみが曳くことができますが、祇園祭の曳初めは女性や子供でも参加できます。
関係者以外であっても誰でも参加することができます。
京都人であっても曳き初めでしか山鉾を曳けない人たちがこぞって参加します。
たまたま街を歩いていたところ、曳き初めに出くわして参加し「綜(ちまき)」をもらったなんて人もいます。
京都人であっても京都人でなくても祇園祭にはこのような楽しみ方もあります。
山鉾巡行や宵山だけが祇園祭ではないことを京都人は知っています。
注:2022年の曳き初めは、関係者のみで行われます。一般参加は不可です。
宵山の屋台も大好き
お祭りのにおいといえば、やっぱり屋台!
京都人も宵山の屋台は大好きです。
年中いろんな祭事で屋台が出る京都ですが、やっぱり祇園祭の宵山は別格。
祇園祭の宵山ほど多彩な屋台がでるお祭りは他にありません。
子どもも若い人たちも家族連れも年配の人も、みんな宵山の屋台を楽しみにしています。
特に中学生や高校生にとっては、1学期の期末テストが終わったタイミングです。
晴れ晴れとした表情で宵山に繰り出す中高生の姿をよく見かけます。
たこやきやベビーカステラなど定番ものも楽しめますが、注目は周辺の名店が期間限定で店先に出す屋台。
本格的な賀茂ナス田楽や豚まん、甘味・・・・・・気軽に味わうことができます。
これも京都のど真ん中で行う祇園祭ならではの特長です。
20歳以上の人は、ビールを片手にエネルギーを補給しながら歩きましょう!
伏見産の日本酒も乙ですよ!」
とはいえ、祇園祭の宵山や宵々山ともなると、いつも大混雑。
お目当てのお店にたどり着くのも大変です。
ようたく着いても大行列なんてことも。
祇園祭の屋台で食事を満喫したいなら、宵山ではなくお昼もおすすめです。
もちろん、歩行者天国はありませんので、屋台の数は限られますが、比較的混雑なく食事を楽しむことができます。
ただし、日中はかなり暑いので要注意。
食べられない祇園祭の粽(ちまき)
祇園祭の縁起物と言えば、厄除けの「綜(ちまき)」です。
綜といえば、あんこの入った餅を笹で包んだ和菓子を思い浮かべるのが一般的。
祇園祭で売られている粽は笹の葉を開いても中身はわらが入っているだけです。
祇園祭の粽は厄よけのために門口に飾って邪気を払うものです。
京都の家やお店の玄関に祇園祭の厄除け粽がつるされている光景はよく見かけます。
厄除け粽の有効期間は1年間。もちろん食べ物ではありません。
知らない人が笹をほどいて、餅が入っていないと文句をつけたという話も祇園祭の風物詩です。
京都人にとっては当たり前なのですが、仕方ないことです。
「ちまき、どうですか~」という愛らしい少女たちの掛け声を聞くと買ってしまいそうになります。
1つあれば大丈夫ですので、買い過ぎないようにご注意を。
ちなみに、最近では「食べられる」粽も売っています。
2007年から、食べられる“生ふ”のちまきが黒主山から売り出されました。
食べられる粽は評判を呼び、黒主山以外の会所でも売られはじめ、どんどん広がりつつあります。
今では結構多くの山鉾で売られるようにはなっていますが、人気で早々に売り切れてしまうことも多いそうです。祇園祭の粽を食べてみたいという方はお早めに。
祇園祭で粽が厄除けになる理由は、蘇民将来伝説によります。
八坂神社の祭神であるスサノヲが旅の途中で蘇民将来という人の世話になり、お礼に蘇民将来の子孫は疫病にかからないと言い残しました。
蘇民将来とその子孫は、目印として茅の輪を付けるよう伝えたことから、茅の輪のかわりに粽を使うようになったのです。
勇壮な神輿渡御で一体感を味わう
1ヶ月にわたる祇園祭で最も重要な行事は、山鉾巡行でも宵山でもありません。
17日と24日の山鉾巡行のあとに行われる、神幸祭(しんこうさい)と還幸祭(かんこうさい)の神輿渡御(みこしとぎょ)です。
祇園祭における山鉾巡行の本来の役割は、神輿渡御の露払いに過ぎません。テレビ等で有名なのは山鉾巡行ですが、京都人にとっては同じくらいか、それ以上に重要なのがこの神輿巡行です。
八坂神社の三基の神輿が氏子区域を練り歩き、厄を祓う神輿渡御こそが長い祇園祭の中でも中核となる行事なのです。
昼の山鉾巡行は観光客であふれかえりますが、同じ日の夜に行われる神輿渡御は一転し、揃いの法被を着た2,000人近い男たちであふれかえります。
優雅な山鉾巡行とはうって変わり、「ホイットー、ホイットー」の掛け声とともに2トンもある神輿が高々と担ぎ上られる勇壮な行事です。
誰でも参加できるわけではありませんが、周囲で一緒に「ホイットー、ホイットー」と声を出すだけでも一体感を味わうことができます。
参加こそできなくても、湯気の出るような熱い男たちの集団を前に、一緒になる瞬間。
これを見ずして京都人に限らず祇園祭のことは語れません。
注:2022年の神幸祭及び還幸祭は、八坂神社と四条御旅所を往復するのみで氏子地区の巡行はありません。担ぎ手も例年の半数以下の1基あたり200~300人です。
子供たちの一大イベント
祇園祭は、京都の子供たちにとっても夏の一大イベント。
前祭では、宵山の2日ほど前から、四条通が堀川通から河原町まで祇園祭による歩行者天国となります。
大通りだけではなく路地まで夜店が並び、街中が神社の境内のようになります。
夕方ごろから歩行者天国になりますが、子供たちは「祇園祭に行くから」といえば、京都人の子供たちは正々堂々と夜遊びができるのです。
たまにバスや電車がなくなって困り果てている子供たちを見かけます。
時のたつのも忘れて遊び過ぎ、更には夜店でお小遣いを使いきったのでしょう。
これもまた京都の風物詩です。
山鉾町に住む子どもたちにとっては、さらに重要な生活の一部です。
祇園祭では、子供たちが活躍する場面もあちこちで見られます。
例えば四条傘鉾では、子供たちによる棒振り踊りが披露されます。
四条傘鉾は1987年に117年ぶりに山鉾巡行に復帰した新しい山です。
棒振り踊りもかつて資料や絵画には残りながらも、伝統は途絶えてしまっていました。
復帰にあたって、かつての記録をもとに復元されたものです。
棒を持った2人と楽器を持った6人の1組8人です。
山鉾巡行のほか、宵山などでも披露されます。
それほど難しい踊りではありませんが、小さな子供たちが一生懸命踊る姿は、とてもかわいらしいです。
代々受け継がれてきた役割と町衆の心意気が、親から子、そして子から孫へと伝えられていきます。
祇園祭期間中には、あちこちで小さな子どもが大人の手伝いをする姿が見られます。
小さな時から経験を積んで、将来の祇園祭の担い手へと成長していくのです。
祇園祭は、今も昔も変わらずに京都人の生活の一部です。
こうして新しい祇園祭の担い手である京都人が再生産されていくのです。
京都人の冷めた気質を考えると、これほど盛り上がる行事はほかにはないでしょう。
その要因が何かは分かりませんが、現実に祇園祭が千年の長きにわたり続いているということに、京都人としての誇りを感じずにはいられません。
おわりに
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2021年7月15日(木)12:15より、MKタクシー公式インスタグラムで「祇園祭の山鉾めぐり~四条界隈を歩きながら~」のインスタライブを配信しました。
祇園祭山鉾連合会と南観音山保存会の役員にガイドいただきながら、山鉾を巡りました。