エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【399】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2021年7月1日号の掲載記事です。
本だけ眺めてくらしたい
電車なんかで、若者のスマホの画面が見えたときにビックリすることがある。よくもまぁ、そんな小さな文字が読めるもんだなぁ、と。
私も視力はよかったほうだが、近年、急速に衰えてきたという自覚を持つようになった。
もっとも、昨年の自動車免許更新の検査では、「眼鏡等」の条件はまだ付かなかったが。
それでも、古書店で買った昔の文庫本や二段組の本は、目を細めてみたり、文字を追うにも時間がかかったりで、読むのに難儀する。疲れる。
だから、そういった本は、むしろ積極的に電子書籍化するといい。
そもそも電子書籍として制作、発売された本は、文字のサイズを自由に変えられるが、そんなものは自身の蔵書においても、人類の遺産たる地球上の全書籍においても、例外中の例外だ。
しかし、自ら紙の本をコンピュータでスキャンした手づくりの電子書籍でも、元の本のサイズよりも大きな画面でページを表示すれば、文字もそれだけ拡大される。
また、タブレットのアプリには、ページの周囲の余白をカットして、文章の部分だけを画面ぎりぎりいっぱいまで大きく表示してくれる機能を持つものもある。
これまでは、蔵書を置いておく場所がないから電子書籍化していたが、視力が衰えた今では、読みやすくするために電子書籍化するという理由も加わってきた。
参考までに、文庫本とタブレットとデスクトップPCのモニター(縦置き)を並べて写真に撮ってみた(同じページが表示してある)。
また、私の自宅の居間にあるテレビには、PCのモニター端子がついているので、ノートPCとつなげば、デスクトップPCよりもさらに大きな画面に本のページを表示することができる。
さすがに、大型テレビを縦置きすることはできないけれど。
MK新聞について
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MK新聞への大西信夫さんの連載記事
1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。
1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)