エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【398】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【398】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めてくらしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2021年6月1日号の掲載記事です。

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本だけ眺めてくらしたい

本を読み終わったら、ただ単に「あー、おもしろかった」で済ませて次の本を読み始めるというのではなく、その本をもし他人にすすめるとしたら……そんな文章を皆さんも一度書いてみてはいかがだろうか。
個人的な感想文や評論家の批評というより、雑誌などに掲載されている「おすすめ本」や新刊の紹介記事のような肯定的でわかりやすいものを。
どんな本か。どういうところがどんなふうにおもしろいのか。限られた字数で(例えば八百字と仮定しましょうか)、注目ポイントをしぼって要領よくまとめる。
あくまで、記事を読んだ人がその本を読みたくなるように書くのだ。
もっとも、私も仕事でなければ、たぶん、というか、決して(笑)しないだろうが。

しかし、幸か不幸か私はこれまで新刊紹介の類を他の媒体に数多く書く機会があった。
そして、その執筆作業を通じて毎度実感することがある。それは、自分にとってその本が、よりおもしろかった本になるということだ。
全体として「おもしろかった」という抽象的な印象でとらえるのではなく、おもしろかった個別の要素をそれぞれ具体的な言葉にしてみる。
そして、それが他人にも伝わるよう表現を試行錯誤してみる。
そうすると、その過程において、その本のおもしろさを再認識することになる。
意識を集中して読み解いたり、分析したりするうちに、頭や心に強く刻まれることになる。
さらに、当初気づかなかった新たなおもしろさを発見したりもする。
もちろん、おもしろくなかった本をおもしろそうに紹介したらウソになるけど、極端に言えば、まぁまぁおもしろかった本が、おすすめ紹介文を書いているうちに、すごくおもしろかった本に変わることがある。
というか、そのためにもやったほうがいいと思えてくる。ただし、考えるだけでなく、文章に記すことが重要だ。

これは映画でも同じことがあてはまる。
皆さんも雑誌ライターになったつもりで、本を読んだ後や映画を観た後には、おすすめ紹介文を書いてみては?
書き溜めておけば、友人へのメールや、呑み会での雑談の話題として使えるので、無駄にはなりませんよ。
「すっごく、おもしろかったよ」だけより、気が利いてるし。

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

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