エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【376】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【376】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2019年8月1日号の掲載記事です。

 

 

本だけ眺めて暮らしたい

かつて『旅と鉄道』という雑誌を長らく購読していた。社会に出て働くようになっても、休暇にはまだ鉄道で旅ができたころのことだ。
そのうち、忙しくて汽車旅に出る余裕もなくなり(というか、仕事が楽しかった)、いつしか雑誌も手にしなくなった。
その後、休刊になったらしいが、オタクのイメージがあった「鉄ちゃん」(鉄道ファン)に陽があたるようになり、そう自認、表明する人も増えたからか、後に復刊されたようだ。
今は一般人でも口にする「〇〇鉄」という言葉で言うなら、乗り鉄か。私自身にそのような認識は昔も今もないが。
観光地や宿やグルメの情報に興味はなく、鉄道のハード面や細かな知識にも関心がなかった私には当時の『旅と鉄道』の乗り鉄的編集が気分にあっていたのだろう。
多くのいろんな本を読むので、そりゃあ、その中には鉄道の本もあるでしょうよ――だから、読み鉄だとも思ってはいないが、確かに、汽車旅をしていたころは時刻表のおもしろい読み方なんて本を読んでたし、全線全駅の情報や話題を網羅した本を鞄に入れて旅をしていたので、「それこそ立派な読み鉄です!」と言われてしまえば、否定のしようもないが。
蔵書データベースで検索すると、鉄分高目な本をまだいくつか所有していたので一部をご紹介。
『STB(ステビー)のすすめ』。ステビーはステーション・ビヴァークの略で、駅のベンチや床に寝て泊まること。そう、昔はそんなことができたのだ。その可否、全国各駅の施設や環境、トイレの有無などの情報を掲載する。
『全国駅前銭湯情報』はステビーや夜汽車などで、宿に泊まらない人向けの地図入り実用本。
『消えた鉄道』は廃線跡を訪ねる一般向けガイド本の先駆け。三十六年前の昭和五十八年発行。
『鉄道未成線を歩く』は構想・計画段階、建設途中で挫折し開業できなかったかつての予定地の今をたどる本。
『国鉄糞尿譚』は非売品の貴重なもので、新書判九十六頁の小冊子。
若い人は信じられないだろうが、かつての列車は走行中に便所の糞尿を線路に垂れ流していた。ドアには駅で停車中は使用禁止という札が掲げられていたっけ。
線路の保守などに従事する現場の労働者による「黄害」(公害)問題の提起、改善要求の書で、国鉄労組が昭和四十三年に発行している。
ちなみにウィキペディアによると、JRの垂れ流し便所付車輌は平成十四年(二十一世紀!)まで走っていたという。
『されど鉄道文字』は駅名標や行先表示、車輌番号、案内や注意書きの札などに記された独特の文字、書体を愛でる本。これは近年……三年ほど前に出版されたもの。

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

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