山の一家*葉根舎「葉根たより」【48】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【48】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2020年12月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

 

葉根たより

秋の土用が明け、雨の立冬。色づき濡れた葉が一枚、また一枚と土に還ってゆく、霧の揺らめく静かな節目を過ごしました。
霧や雲、蒸気、雨…山はこれらが刻々と変化しながら姿を現すので、このものたちも山に棲む生き物のように感じます。
「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」虹が現れなくなり、北風が木の葉を散らす頃。今年は大きな変化に応えるように、たくさんの虹が出ました。
大変な変化もよい変化のための一歩であると、伝えてくれているように感じました。

12月21日はいよいよ冬至。大きな節目を迎えるための、よき準備をしていけますように。

 

<冬支度>

たわわに実る柚子や柿など様々な木の実。今年は生り年。
子供たちとたくさん採り、柚子は手搾りゆずぽんに。
大量の柚子にお部屋はすっと心地よい香りでいっぱい。昔ながらの製法のお醤油、みりん、昆布を漬け、ひと月ねかせます。
冬のお鍋にかかせない手仕事です。

青や紫、混ざり合う色の美しいノブドウの実は、食べられないけれど玄米焼酎に漬け、効能をアルコール抽出し、腰痛、肩こり、関節痛のお手当に。眠る前に患部へぬると、翌日とても楽になります。
その他、季節ごとにいろいろな薬草をつけるのは、魔女になったような気分になる楽しさです。
里芋、生姜も農薬や肥料を入れず、落ち葉だけでプリプリと綺麗によくできました。
寒さに弱いので早めに収穫、麦を播いたり、草刈りもしたり、少しづつ冬支度へと入ってゆきます。

 

<あしもとのめぐみ>

春に準備したものの、まだできていなかった薪割り。軽トラ9台分の薪を割り終えました。
かまど、お風呂、ストーブ、パン窯、それぞれに合わせて長さ、細かさを調整し割ります。その薪を割る広場から軽トラと一輪車で薪小屋へ運び、積む。
大変な作業ですが、子供たちも薪割りが上達し、運んで積むのはほとんどしてくれるので本当に助かります。
たくさん積み終わると、貯金ができたような気分に。

わいわいとにぎやかに作業した子供たち、戻ってくるとお腹ペコペコ。
自家製はちみつジュースを飲み、かまどで炊いたわが家の新米のおにぎりもりもり。
子供らしい姿、あしもとの自然から頂いた恵みを子供に与えられる喜びに、胸がいっぱいになります。

 

<小さな変化から>

にぎやかなのは子供だけではありません。
この数年、ずいぶんウサギが増えました。昼も田畑で見かけますが、夜、運転している時も必ず出会うようになりました。
そう言えば、ウサギの天敵のキツネの声がしなくなりました。
秋の初めに毎年聴こえるキツネの声。コンコン、ならば可愛らしいのですが、ギャーギャーと。
いなかった山蛭も少し見かけるようになったり、気候の変化に生き物たちも毎年少しづつ変化しているようです。
私たち人間も変化する時なのかもしれません。まずは、ウサギにたくさんかじられる野菜の対応を考えなければいけませんが…。

 

<からだのーと>

寒さで腎臓と膀胱が弱まりやすい時期。じっくりコトコト炊いた根菜類がおすすめですが、満月の翌日から新月までは解毒作用が高まる時。
春菊などの青菜でデトックスすることも意識しましょう。

そして、北半球で一番昼が短く、夜が長くなる冬至。
昔からお日様へ感謝する大きな節目とされてきました。
山の木々も冬至までに切ったものと、その後に切ったものでは、春の芽吹き方が全く違います。冬至までに切ったものは、春になると元気よくひこばえが芽吹き、山に新たな命をもたらします。

冬至を意識して整えてゆくと、年末年始も心に余裕を持って迎えられる気がします。
大きな節目、世界中の方が気持ちよく迎えられますように。今年も山のたよりを読んでくださり、ありがとうございました。

(2020年11月10日記)

 

■葉根舎

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

 

 

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)

 

葉根たよりのバックナンバー

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