フットハットがゆく【324】「ミニヤギ」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2020年11月1日号の掲載記事です。
ミニヤギ
田舎暮らしを始めて、現在ニワトリ3羽、猫1匹、メダカは100匹ほど飼っているのですが、今度はヤギを飼うことになりました。
普通のヤギより一回り小さい、ミニヤギという種類です。
もともと僕は田舎暮らしをする上で、ニワトリとヤギは絶対に飼いたいと思っていました。目標とする循環型生活の一翼を担うからです。
しかしニワトリと違って、ヤギはなかなか高価で、子ヤギの相場は1頭7~8万円。
しばらく購入は無理だと諦めていたのですが、知り合いの知り合いが、子ヤギを貰ってくれる人を探しているということを聞き、これもご縁と思い手を挙げ譲り受けました。
生後3ヶ月ほどのオスとメス、2頭を飼うことになりました。
ヤギは、「草刈りいらず」といわれるほど雑草をよく食べます。
うちの2匹も、庭に出しておくと延々と雑草を食べています。
時折座って休憩していますが、その時もずっと口をモゴモゴと動かしています。
これは反芻(はんすう)といって、一度胃袋に入れたものを口に戻して、もう一度噛んでまた胃に戻す作業です。
この様子を間近に見ると面白いです。
喉がオエッと鳴り、ほっぺたがぷくっと膨らみます。そしてそれをモゴモゴと噛み続けた後またごっくんと飲み込みます。
人間でいうなら、お酒を飲みすぎて吐きかけたが、なんとか口から外に出さずに気合いで飲み込み直した、という経験がある人もいるかと思いますが、そんな感じです。
ヤギはそれを日々やっています。それも胃が4つあるという反芻動物ならではの技で、牛やシカなども同じ食べ方をします。
こうやって植物を粉々に噛み砕き、さらに胃の中のバクテリアでドロドロに分解して吸収します。
だから栄養価の低そうな雑草だけでも生きていけるのです。
とにかくよく食べて、よく糞をします。
糞はポロポロとした小さな楕円形であまり臭くないです。
身近なもので見た目を例えると「麦チョコ」のような感じです。これは植物の肥料になります。
僕はヤギとニワトリの糞をかき集めて、自家菜園の肥料にしています。
ちなみに鶏糞の方が臭いですが、土に触れるとすぐバクテリアに分解されて臭くなくなります。
鶏糞の見ためを身近なもので例えると「カニミソ」をひとつまみ盛り上げた感じです。
猫も飼っていますが猫の糞尿が一番臭いです。さすがにこれは肥料にはしていません。
最近聞いた話ですが、ヤギの糞は乾燥させると良い燃料になるそうです。
もともとペレット状なので、ペレットストーブに使えるかもしれません。ヤギ(Goat)だけにごうごうと燃えるのでしょうか?
ヤギを飼うには草以外に塩も必要です。
ペット用の岩塩を購入し、小屋においてあります。ペロペロとよく舐めます。
僕は高血圧なので塩分を控えめにしていますが、ヤギが飽きもせず塩を舐めている姿を見ると、それだけで血圧が上がりそうです。
でもヤギはそれで問題ないそうです。猫に関しては人間の食べ物を与えると塩分過多になり腎臓病になるそうです。
猫に塩はあかん、ヤギには岩塩をたっぷり、僕は高血圧で塩あかん。塩の量を見極めるのも一苦労です…塩見だけに。
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